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<第1回> 「そこに悪女がいる」
 外資保険調査部に勤める廣川英器(竹野内豊)は、大手保険会社から引き抜かれ、モラルリスク(保険金詐欺)を見分ける独特の嗅覚を持ちながら、人間の命を金に換えていく矛盾との戦いの中に身を置いていた。
 以前、英器が調査して保険契約を通した家庭に事件は起きた。
 掛け金も保証額も低額だったために英器はさして疑いなどしなかったが、借金返済のために小学生の娘の命と引換えに保険金を騙し取ろうとした実母が逮捕された。母は実娘に火の油を注ぎ殺人を企てたのだった。少女は一命を取り留めたものの重度の火傷を負わされていた。が、少女は英器に懇願する。「自分の不注意だから保障金を払ってほしい。母親が幸せになるためにはお金が必要なんだ」と。
 英器は自責の念とやりきれなさの中で次の調査に取り組む。
 都内近郊の永和女学館の教師・池永苑恵(木村多江)の転落事故死についての死亡保険金調査だ。
 そのころ、一通の投書が町田南署に舞い込む。「永和女学館女教師・池永苑恵の死は他殺で、犯人は学校の内部にいる」と。その通告文に過剰反応したのがキャリア組の刑事課長・烏城武史(仲村トオル)だ。彼は出世コースから外され、妻の眞砂子(中嶋朋子)との関係も冷え切っていた。単なる事故死ではなさそうなこの事件を利用し、再び本庁へ起死回生を狙おうと彼は企んだ。
 その投書の存在を知った英器の恋人、交通課の警官・庄野月子(内田有紀)は職務違反を覚悟の上で英器のために、その内部情報を流す。月子は警官であることより女を選んでしまう自分が嫌いではなかった。
 英器は月子の協力もあり、調査を進めていくうちに女教師・苑恵の同僚、地学教師・江木塔子(松嶋菜々子)の婚約者で青年実業家の久松皓一(及川光博)が変死していたことに気付く。それも苑恵の事故死と同時期だったことも。

<第2回> 「恋人たちは死んだ」
 塔子(松嶋菜々子)と英器(竹野内豊)が飲んでいたバーに正午(金子賢)が現れた。塔子を前に正午は、久松(及川光博)が塔子を受取人にした生命保険に加入したと話していたことを思い出していた。保険金を受け取ったのかと塔子に尋ねる正午。塔子は久松に、解約してくれなければ婚約も解消すると言ったと言う。塔子に疑いの目を向ける正午。それを見つめる英器。
 翌日、英器は苑恵(木村多江)の報告書を上司に提出したが、事件に関する拭い切れない疑惑がくすぶっていた。その晩、英器は月子(内田有紀)と、苑恵の事件の話をしていた。久松(及川光博)、苑恵、その接点とも言える塔子・・・。塔子には絶対何かあると踏む英器。
 次の日、塔子の学校に烏城(仲村トオル)が事情聴取にやってきた。英器、烏城・・・次々と自分を疑りに来る男達を疎ましく思う塔子は、苑恵の事件に関する「犯人は永和女学館の内部にいる」という謎の投書の情報を聞き出すために、自ら調査に乗り出す。 
 苑恵の実家に行く塔子。そこで塔子は思わぬことを耳にする。永和女学館に勤務するようになって3年、苑恵は笑顔を全く見せなくなったこと、3年前に紹介したい人がいると言って以来、その男性については音沙汰なく、葬式にもそれらしい男性は現れなかったこと。それは塔子が学校で知っている苑恵とは別人とも思えるような事実だった。
 生徒からも苑恵の情報を求める塔子。生徒は、苑恵が自分の過去の失恋を涙ながらに語り、自分の恋人を奪った女に復讐を企てていることを匂わす言葉を残していたと言う。苑恵の思い掛けない側面を初めて知る塔子。
 明くる日、町田南署の烏城のもとに妻・真砂子(中嶋朋子)とその父親で警察官僚の高畑(津嘉山正種)が訪ねてきた。高畑は烏城に、出世のポストを条件に、離婚届けに判を押し、娘を自由にしてやって欲しいと言う。断る烏城。義父の力を借りなくても自分の力で這い上がってみせると烏城は言った。
 一方、ローズ生命で英器は、九条生命のデータに塔子の記録があったことを知る。塔子は3年前、婚約者であった精神科医の柴田の保険金の受取人だったのだ。だが柴田は自殺。しかも柴田は死の直前に保険を解約していた。久松と同じパターンを辿っている塔子に英器は更に疑惑を募らせる。

<第3回> 「監視された女」
 永和女学館へ出向いた英器(竹野内豊)は、塔子(松嶋菜々子)と対峙し、「恋人に次々死なれながらも強く生きるあなたの姿に興味がある」と挑戦的な態度で迫る。塔子は英器の言葉に虚を突かれた。
 その後、塔子は、転落死した同僚教師、苑恵(木村多江)の過去を調べ始める。苑恵が、異様な熱意を持って赴任を希望していたことを校長から聞き出し、また体育教師・登川(伊藤明賢)からは、かつてある女に恋人をに奪われ、その女が「自分と同じくらい不幸なら許す」と復讐を仄めかしていたことを聞き出す。
 一方、塔子への疑いを断ち切れない英器(竹野内豊)は詳細を知るために久松(及川光博)が契約していた自社の金沢支店へ飛ぶ。久松の大学時代の友人を訪ねるうちに、いつか塔子とバーで話していた正午(金子賢)は久松の後輩であることを知る。
 同じ頃、殺人事件として独自で調査を進めていた烏城(仲村トオル)は苑恵の遺留品から意外な事実を知ることになる。レストランのレシート・・・その場所は金沢。しかも久松の事故死当夜だ。
 塔子も、生前の久松の不審な行動を、母、久松暎子(泉晶子)から聞かされていた。
 そして久松の納骨式がしめやかに始まった。久松の親族らと墓に向かう塔子は驚愕する。その敷地内に、英器、烏城、正午、その妹・七海(片瀬那奈)が遠くから久松の墓を中心に塔子の様子を伺っている。各々の視線が幾重にも交錯していた・・・。
 丁度その頃、月子(内田有紀)は塔子と苑恵の知られざる接点を入手していた・・・。


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