あらすじ
<第1回> <第2回> <第3回>

<第1回> 「恋する女、温泉に売られる」
 東京・病院のおしゃれな診察室──。

 「悔しくて、悔しくて、コタツで寝ていたら風邪をひいてしまって・・」と、ハンサム医師に訴える田村希美(28)。  自動車整備工場に勤める希美は、婦人警官の宮城京子(25)に一方的に駐禁キップを切られた。その上、いわれのない無断欠勤を理由にセクハラ社長からクビを言い渡されてしまったのだ。会社の就業規則には、「無断欠勤は即クビ、罰金は給料一ヶ月分」と書かれており、社長は文句があるなら裁判でもなんでも起こせと言うのだ。

 隣りで診察を受けていた栄田千春(28)が希美に声をかける。「戦わなきゃダメ」。千春は、何か書き上げた原稿を希美に渡し、内容証明で送るように言う。

 希美と千春の出会いだった。

 数日後、希美の家に自動車整備工場の社長から書留が届く。中から大金が──。二ヶ月分の給料が出てくる。電話が鳴った。  「内容証明まで打ちやがって! おっそろしい女だな」。セクハラ社長だった。

 希美が訳も分からず出した内容証明には、『12月分給与金16万及び解雇予告金16万、計32万を請求する・・賃金受け取りの権利は神聖なものである』と書かれてあったのだ。「・・何者? あの女」。

 とあるファミリーレストラン──。

 「お願い、私が貸したお金を返して!」と、茸本健司(30)にすがりつく女・良子を、茸本は殴りつける。その様子を見かねたレストランの客・大野勇(42)が止めに入る。逃げ出す茸本と入れ違いに入ってくる栄田千春。泣き崩れる良子に大野は、「あいつから金を取り返してやる」と申し出る。「あなたは弁護士さんか何か?」「代書屋(行政書士)じゃ!」、大野は部下の代書屋に担当につけと命令する。それは、千春だった。

 千春から良子の借金返済と慰謝料を迫られた茸本に、金融業者は、あるアイディアを持ちかける。  追いつめられた茸本は、「旅行しよう」と自分の女を地方の怪しげな温泉宿に連れ出し、騙して借用書の判を押させる。何も知らず温泉につかる彼女に温泉宿の女将が言い放った。

 「あんた、今、売られたから」。

 広島から上京したばかりの希美の弟・田村雄太(16)は、姉・希美が残した名刺を頼りに行政書士事務所を訪ね、千春に「姉が・・行方不明なんです」と訴える。  温泉宿に売り飛ばされたのは、希美だった。希美は必死に抵抗するが、「この宿はヤバイ借金をした男が担保がわりに女を置いていくところなんだよ」と、酔ったエロオヤジが希美に襲いかかろうとする。

 そのとき──、ガラリと襖が開き、清掃員姿の千春が現れる。

 二人は走り出す──。  「優しさ」と「強さ」をそれぞれ持った二人の女の新たな人生の「冒険」が、今、始まった。

<第2回> 「暴走!包丁もったオバさん」
ある朝、千春(深津絵里)が希美(常盤貴子)のアパートへやってきた。親友が抜け駆けで医者と結婚する、それが悔しい、親友なんて信じられない、と言うのだ。と、隣家・大沢家のいつもの夫婦喧嘩(もたいまさこ・津村鷹志)が始まった。「いつになったら一戸建てが買えるのよ」「いつか買えるさ」「結婚する時約束したじゃない」・・・・。娘の一子(山田優)はため息をついて、うんざりの様子である。プロのダンサーになれたらと一途に夢を追う一子を希美だけは理解し応援していた。

 ともかく、千春の用件は、友人の結婚話なんかではなく、先日、温泉まくら芸者から希美を救ってやった報酬を請求に来たのだった。

 その日、千春の勤める大野コンサルティングに沢木という大工(川端竜太)が会社設立の相談にやって来た。千春が担当になった。いい男である。ほくそえむ千春だった。ところが、その時、事務所に希美も訪れた。朝、請求された報酬の一部を持参したのだったが、希美も沢木に秋波を送り、二人の女は火花を散らす。

 一方、東京の高校に編入した希美の弟・優太(山下智久)は学校でいじめられているようである。心配する希美だったが、優太は「心配なんかすることない」と言うのだった。

 さて、大沢家では、一子のダンススクール入学の話はそっちのけで、裁判所の住宅競売物件で盛り上がっていた。大変安く入札できるのだ。それを希美の部屋で聞いた千春は「競売物件には思いもよらないトラブルがくっついてる可能性があるのよね」と心配する。

 そんな最中、一子に30万円の損害賠償請求が持ち上がった。交渉の担当は何と千春。一子のお尻に触ったセクハラ男が、一子に押し返されて怪我をした、ついては30万円とってくれ、と大野コンサルティングに依頼。嫌々ながらも千春が承諾したのだ。一子はダンススクールの入学金を渡すはめになる。だが、家に戻った一子は、住宅を買うために両親が貯めた約1000万円の中から30万円だけを抜きとってしまった。

 運良く競売物件を入札した大沢夫婦がたんす貯金を確かめてみると、30万円足りない。警察まで呼んで調べたら、犯人は一子。事情を聞いたら、セクハラ男への慰謝料と分かり、大沢夫婦は、大野コンサルテイングへ包丁を持って押しかける。その場は千春がどうにか取り成したが、一体、千春は正しいことをやっているのだろうか・・・。  あきらめ気分で物件を見に行った大沢夫婦は、そこでとんでもないものを目撃する。千春の心配が当たった・・・・。

<第3回> 「あっ!と驚くいい男とカレーうどん」
 希美(常盤貴子)の働く喫茶店「イン・ザ・レイン」に若い男がやって来た。手にはナイフ。「俺と付き合ってくれ」・・・・・。その場は、大野(陣内孝則)の説得で事無きを得たが、どうも希美は、その正直者ぶりから災難を招いているようであり、一部始終を聞いた弟の優太(山下智久)からもたしなめられる始末。しかし、希美は、その場で高校時代の恋人・上里康太郎(加勢大周)との劇的な再会を果たす。

 そんなころ、千春(深津絵里)は、鎌田松雄(近江谷太朗ら)から仕事の依頼を受けていた。高齢の父親・菊男(伊藤幸純)が、引っ越し屋の仕事中にころんで、脳内出血で寝たきりになったのに、運送会社は、治療代も給料も払わない。ついては、会社にかけ合ってくれ、というものだった。千春は、「あなたは、私が持っていない何かパワーを持っている」と、希美に手伝いを乞う。希美は、意味が良く分からないながらも、千春が、温泉芸者救出作戦の報酬残額をチャラにしてくれるというので引き受ける。

 千春と希美が、運送会社に行くと、社長の横山(國村隼)は、けんもほろろの対応で、二人は、あっさり追い返される。千春は、従業員が仕事中に怪我をした場合、会社側には治療費を支払う義務がある、これは勝てると踏む。  事務所の外に出れば、横山の息子・光司(内田朝陽)が悪ぶった素振りでドスをきかせている。荒れた家庭のようである。しかも、光司は優太と同じ高校の制服を着ているので、希美は嫌な予感がする。

 希美と千春は、松雄やその姉たち鎌田一族と会合を持った。なんと、皆、父親の安否を気遣うわけでなく、金が要る、ちゃんと金を取ってきてくれ、と口々に勝手なことを言い出す始末。父親への愛情などひと欠片もない。それでも、希美と千春は仕事としてやらなければいけないのか。

 千春は、希美を連れて、病院で看病をする菊男の妻・昌代(草村礼子)の元を訪ねた。「子供ができた時、この人は、自分は何も食べずに、私におむすびと卵を食べさせてくれた。その時一生添い遂げると誓ったんです。私からも依頼します」と母親。千春は昌代の夫への愛情の深さに打たれてその仕事を引き受けることにした。

 一方、優太(山下智久)は、最近クラスメートの春奈(香里奈)がどうも気になる。彼女を何とか誘おうと思うのだが、なかなかその機会がない。今日も声を掛けようとしたところで、「大ゲンカが始まった」との騒ぎが邪魔に入る。  優太たちが駆けつけると、ゲームセンターで光司が取っ組み合いをしている。「お前の親父は従業員殺しだ」と囃されたのを怒ったのだ。なんと、それを優太が止めに入った。光司が言う。「親もいねぇやつが口挟むな」。優太の表情が変り、即座に光司を殴り飛ばす。「何も知らんもんが、カバチタレんな!」。殴り合う二人。やっと、千春や希美、横山夫婦、さらには警官の京子(篠原涼子)、サキ(猪俣ユキ)も到着し事無きを得る。だが、その時の様子では、横山家も、相当何かに困っている様子であることを希美たちは感じるのだった。

 実際、千春が、横山の会社に行くと、相変わらず強気で追い返しにかかる横山だったが、妻には「好き好んで払わないわけじゃない。金がないんだ。わしだって家族のために働いているんだ・・・・・」と弱気なところを見せるのだった。  そんな中でも、希美は、10年ぶりに再会した元恋人・上原とデートをしようと目論んでいる。千春のマンションで恋愛話に花を咲かせていると、希美の足に、何と、大蛇が巻き付く。怒り心頭で、管理人にねじ込む千春だったが、蛇の飼い主・風間(中沢昭泰)がいい男とあって、つい蛇を拝んでしまう二人だった。

 さて、希美と千春は、必要な書類を揃えて、再度横山の会社に向かった。さすがに横山は折れ、運転資金の半分以上の147万円を千春に渡した。会社は間違いなく倒産である。光司に「あんた、最低だな」と吐き捨てられても、希美は、横山一家に「元気出してください」と言うしかなかった。

 その金を、松雄たちに持っていくと、「こんだけか?」「はした金!」と身勝手な言い分をぶちまける。さらに、あろうことか、父親の遺言を開け、母親に相続放棄させろと、千春に依頼する。さすがに、ウンザリする千春だったが、同僚の長谷川(岡田浩暉)に「我々の仕事は依頼人が最優先だ」と戒められ、続行することにした。

 嫌々ながら相続放棄のサインをを求めて昌代に持っていくと、「子供たちの仕業と分かっているわ。でも、親はいくつになっても子供の幸せを願うもの。サインすることで子供たちが助かるなら、それでいい」と快く応じるのだった。その時だった。なんと、医者も見離した鎌田が息を吹き返したのだった。すがり付く妻。千春と希美は泣き出してしまうのだった。

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