あらすじ
<第4回> <第5回> <第6回>

<第4回> 「スープなき戦い」
 2人目の客のオーダーも何とか乗り切った詩央(鈴木京香)と俄か仕立ての偽食王の面々。詩央は「このまま育てればきっと最高のチームに成長するわ」とご機嫌。だが迫田(椎名桔平)は「こんな素人集団で」とこれ以上イベントに関わることから手を引こうとする。
 野口(勝村政信)、奈々子(瀬戸朝香)らもこれに賛同。大山(東幹久)も加わって麻雀をはじめてしまう。そこへやってきた岩田(伊東四朗)。新しい客の訪れを告げる。今回の客は、中国人の楊(大門伍朗)。怪しい風貌からして見るからにヤバい雰囲気を漂わせている。半端なものでは満足してもらえそうにない。しかも、楊はその店の善し悪しが判断できるというスープをオーダーしてきたのだ。「もし、マズかったらわかってるな」。挑戦的な視線を詩央に投げ掛ける楊。
 だが、今回ばかりは岩田もひと安心していた。厨房には『平平樓』自慢のスープストックが残っていたのだ。それを温め直せばOK!・・・のはずだったのだが、掃除していて味見をしそこなった名波(二宮和也)が皆に内緒でスープを温めていた時、誤って鍋に砂糖を入れてしまったのだ。
 「明日の予約はキャンセルしていただかないと・・・」岩田は意を決する。だが、名波は何としてもスープを仕上げる!と言うと一人鍋を手にした。それに協力しようとするのは最初は詩央だけだった。だが、まずは大山や奈々子がそして小向(高橋克実)が、その様子が気に掛かったのか厨房に戻ってきて名波を手伝いはじめる。そして迫田も、何気ない様子を装って厨房を出入りしては「ミンチはもっと細かく!」「鶏ガラスープには鶏ミンチだろうが」などと適格なアドバイスを与えた。
 そしてその度に一からスープ作りを繰り返す名波の熱意は、遂に迫田に秘蔵ノート『明日のために』を開かせた。しかし、ここで食材が不足してしまった。こうなってはスープ作りに参加していない食材係・野口の協力なくしては、完成はありえない。そこで相変わらず麻雀に夢中な野口のもとに走った詩央。だが、そこで詩央は、バラバラな手なのにまだ勝ちのチャンスを伺っていた野口の「普通なら真っ先に捨てられるクズの牌でも集められれば最高の手になるんだよ」という言い分を聞きハッとなった。
 “国士無双”なるその手、名波のスープに新たな奇跡を呼び起こすヒントになるかもしれない。詩央はふたたび厨房へと駆け戻った。

<第5回> 「スーパー麺」
 たびたびの危機を共に乗り越えてきて、同志としての気持ちも芽生えてきたのか、ある日大山(東幹久)が皆で写真を撮ろうと言い出し、詩央(鈴木京香)をも含めての撮影に成功する。そんな中に綾小路(石黒賢)もちゃっかり参加したものの、綾小路は「組織とか集団って苦手」と笑い飛ばして大山の神経を逆撫でする。そして、この時をきっかけに二人の間には不穏な空気が流れ始めるのだった。しかしそんな時でも食王の料理目当ての船長(山田明郷)の客はやってきて、まもなく厨房にはそのメニューが届けられるはずだった。だがいつもと少し違っていたのは、詩央が事前にVIPのメニューを聞いており、自らが担当者を割り当て、時間を十分取るために先手を打ったことだった。
 ひとまずは感心して見せる岩田(伊東四朗)。だが、岩田は安心仕切った詩央に船長のリクエストメニューを出してきて、「さらに今回は厨房のチームワークが要求される」と挑発的に言うのだった
 さて今回のメニューは4品。迫田(椎名桔平)、名波(二宮和也)、奈々子(瀬戸朝香)、小向(高橋克実)らはさっそく調理に取り掛かった。そして、リクエストメニューである長寿麺は、麺打ちの経験が買われて大山が担当することになった。だが経験してきたものとは違う技術を要する麺打ちに大山は大苦戦。そして順調な周りの様子とは裏腹に苛立ちを深めていった大山は、ついに口ばかり出す綾小路にブチ切れ、厨房の雰囲気を台無しにしてしまった。「チームワーク乱すようなら出ていってもらいます!」いよいよ客を招きいれる時になり詩央の声が厳しく飛ぶ。
 ある屋敷に40年も執事として勤め、その功労にと主人から送られた今回の船旅で、食王の料理を食すため招かれたこのたびの客は西園寺(角野卓造)とその息子夫婦だ。だが、『平平樓』に入ってきた西園寺は、そこにいた綾小路を見ると凍りついたようにその場に立ちすくんだ。そして、「公彦さん?・・・」とつぶやいたのだ。唖然として二人を交互に見つめる詩央。一方厨房では順調に料理が出来上がっていた。だが、「今回のメインは長寿湯麺、全部の料理と一緒に出して下さい」と岩田は言う。
 そこに西園寺と話し終えた綾小路もやってきて協力すると加わった。しかし・・・どうしてもあと一品が出来上がらない。それは大山の麺・・・。そして遂に大山も「悪いが・・・できない」とあきらめかけた時だった、綾小路が運ぶばかりになっていた料理をひっくり返したのだ。
 そして大山にむかうと「逃げるなよ、最後までやり通すのが男なんだろ!」と力強く言い放った・・・!

<第6回> 「わが“餃子”に悔いなし」
 その日『平平樓』に宛てて大きな壺の贈り物が届いた。蛙の描かれた巨大な壺はどう考えても邪魔。迫田(椎名桔平)、奈々子(瀬戸朝香)、野口(勝村政信)らは一目見て「迷惑な贈り物」で片付けようとする。だが贈り主が『平平樓』のお得意様と聞いては粗末に扱うこともできず、詩央(鈴木京香)の判断で壺は店の隅っこにひとまず置かれることになる。
 さて、こうして皆が壺でひと騒ぎしている時、厨房では小向(高橋克実)がまかないの餃子を作り上げていた。その香り・絶妙なこげ目に誰もが食欲をそそられる、もちろん味も絶品であった。一流店では餃子など出さないので名波(二宮和也)と共にどこからか鉄板を調達して作った、それは小向が経営してきた『悶々』30年の歴史の中で作り出した自慢の一品であった。
 みんなからその味を褒められいつもは自信なさげの小向も、そして詩央もどこか満足気であった。
 その後、この日の客・孫夫人(中尾ミエ)がやってきた。
 実はこの夫人、さきほどまで物議をかもし出していた壺の贈り主。亡き主人の形見の壺を端っこに置かれているのを見てまず憤慨し、前菜盛り合わせも一口食べて突き返し、続くフカヒレの姿煮も「亭主が死ぬとこんな扱いになるのかしらっ」と途中で箸を置いてしまったのだ。
 岩田(伊東四朗)からは味にうるさく手強い客とは聞かされていたが・・・。だが、この時小向は名波の料理図鑑を見て、自分がやったフカヒレ戻しが失敗だったことに気付き蒼白になっていた。餃子で意気揚々となっていた小向の自信がしぼみ始める・・・・・・さらにそんな時、迫田が例の壺を抱えた時に腰を痛めリタイア。詩央は料理長代理に小向を指名したのだ。
 だが、この状態を見た岩田が「ここは貴重な高級食材を使って手間かけてお客様をもてなす一流店、三流ではできるはずがない」と言う。 これにキレた小向は「下町の中華屋にも意地がある!」と言い切った。これに突き動かされ協力しようという面々。さっそく綾小路(石黒賢)が吟味した最高のアワビを使ったアワビで縁起物の蛙を作る細工料理作りにとりかかるのだが・・・。
 だが小向は、その作り方など全く知らず、料理図鑑頼みの調理になるとは詩央も他の誰も知る由もなかった。小向も厨房逃亡を企てようとする。が、それを制止した詩央が毅然と言い放ったのだ。
 「本当に美味しいと思ってもらえるものを作りましょう!!」。ついに全員が絶賛の小向の伝家の宝刀の一品が『平平樓』の料理として出されることになった。


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