あらすじ

<第10回> 「最後の聖戦〜別れ」
「どこ行ったんだよ!」「手がかりは?」。

その時、迫田(椎名桔平)、名波(二宮和也)、奈々子(瀬戸朝香)ら厨房の面々は血相を変え、詩央(鈴木京香)の部屋に集まっていた。
野口(勝村政信)、綾小路(石黒賢)、小向(高橋克実)に、詩央の部屋に入ることができたのはどんな事情であれ嬉しい大山(東幹久)も、やや興奮気味でそこにいた。
いきなり『平平樓』から姿を消してしまった詩央を探し出すために。
この騒ぎを聞きつけた岩田(伊東四朗)は、「いろいろあって、自分はもうここには必要ないと思ったのでは。二度とこの厨房に戻って来ないだろう」と言った。そして、すでに始まっている宴会のために料理を出してほしいと迫田らを促す。

今回の客は、この航海で引退をする機艦長ら『スターレオ号』の乗務員たち。まもなく日本に帰港、これが“食王”たちが迎える最後の客となるのだ。
一人いなくなったぐらいで出来なくなるはずはない!と迫田らは気を取り直して厨房に入った。もちろん気持ちは全員同じ。だが、いざ調理を始めたものの、そのうち誰とはなしに調理をする手が鈍くなり、やがてそれは完全に止まってしまった。

「今回の企画はもともとは詩央が言い出したもの・・・俺たちはそれに巻き込まれただけ、なのに当の本人がいなくなった今、なぜ俺たちが続ける必要がある?」。そのことに気づき、みんなは料理を作ることをやめてしまったのだ。
「コック服を脱ぎ厨房を出よう」と言う野口。だがその時、ふと奈々子の表情が曇った。自分を変えてくれたこのコック服を脱ぐことが寂しいと言う。「・・・名残惜しいなぁ」と小向も。
その後、厨房でみんなが話し始めたのは詩央のこと。「人に服着せるだけ着せて」「意外と大胆で・・・でも肝心なとこ抜けてて」。突いて出てくる悪口!? でも、やがてそれは「あいつがいなけりゃ・・・何も起こらなかった」という言葉に変わっていった・・・。

そして詩央によって仕立て上げられた“食王”たちは、詩央を探すため一斉に厨房を飛び出して行った。

誰もいなくなった厨房を眺め、岩田は思わずニヤリと笑った。そして用意してあったワゴンに自前の手品道具を乗せると、船長(山田明郷)と最後の客たちの待つフロアへと向かっていった。


戻る

バックナンバー
[第1-3回] [第4-6回] [第7-9回] [第10回]