2009年1月スタートの木曜劇場は、フジテレビ開局50周年記念ドラマ『ありふれた奇跡』。およそ11年ぶりに山田太一が連続ドラマの脚本を手がけることとなった。日本のドラマ界を代表する二人の脚本家・倉本聰と山田太一が10月クールから1月クールへとバトンを渡す。 主演は仲間由紀恵、加瀬亮という新鮮かつ豪華な組み合わせが実現する。仲間由紀恵がフジテレビの連続ドラマに主演するのは、2004年7~9月に放送した『東京湾景Destiny of Love』以来の約4年ぶり。一方、「それでもボクはやってない」、「硫黄島からの手紙」など、映画界で次々と話題作に出演している加瀬亮が、テレビの連続ドラマに出演するのはなんと今回が初めてとなる。映画中心の活動をしていた加瀬は、山田太一脚本ならと今回の連続ドラマへの出演を快諾したという。出演者はほかに、陣内孝則、井川比佐志、風間杜夫、戸田恵子、松重豊、岸部一徳、八千草薫など豪華なベテラン勢がずらりと顔をそろえる。 現在、日本の自殺者は年間3万人を超える。そんな現代社会に孤独と絶望を抱えながら生きる男女とその家族が不器用に交流し、心を開いていくことによって希望を見出していく人間ドラマだ。山田太一ならではのせりふ回しが、懐かしくもあり新鮮で、独特の空気感が流れる見応えのある上質なドラマになりそうだ。
また、このドラマの主題歌を、アイルランド出身の歌手・エンヤが担当することが決まった。11月12日にリリースされた7枚目のオリジナル・アルバム「雪と氷の旋律」(原題“And Winter Came…”)に収録されているその曲は、ドラマと同じ「ありふれた奇跡」(原題“Dreams Are More Precious”)という邦題がつけられている。エンヤは、「現代社会に生きる孤独な人間が不器用に交流し、心を開いていくことによって希望を見出していく」というこのドラマのテーマに深く感銘し、自らドラマの趣旨に合うこの曲を主題歌に起用してほしいと、楽曲提供することとなった。脚本の山田太一も、エンヤの曲が主題歌に決まる以前に、ドラマの登場人物の一人がアイルランドを愛しているという設定の脚本を書いていたという偶然に驚き、「“ありふれた物の中に奇跡が隠されている”という歌の一行は、まさに私の思いです」と喜んでいる。エンヤの楽曲ならではの世界観がこのドラマをより一層盛り上げてくれることだろう。