<第21回> <第22回> <第23回> <第24回> <第25回> <第26回> <第27回> <第28回> <第29回> <第30回>

<第21回>
 昭和17年、日本は太平洋戦争の真っ只中にあった。
 上京して8年、ひかるが学校をやめて、突然帰ってくる。村の子どもたちに歌を教えたいという。ひかるは猛との再会を喜び、猛も美しく成長したひかるに胸をふるわせる。
 ひかるの将来を心配した伝衛門が、ひかるに強引に見合いをさせる。相手は副知事の息子で海軍士官の山下。ひかるは、結婚はまだ早い、と正直な気持ちを伝えるが、山下はそんなひかるに好感を持つ。
 見合いが行われた旅館「大河原」の主人で、大河原商会を築き上げた勇作がひかるに一目惚れ。必ずひかるを自分のものにしてみせる、と母親の静子に断言する。

<第22回>
 ひかるはしぶしぶ見合いをするが、乗り気だった先方が断ってくる。猛との悪い噂のせいではないか、と勘ぐる絹。
 実は、勇作が陰で糸を引いていた。知人の陸軍中佐岩原に頼んで、山下を脅迫したのだ。
 まもなく、勇作がひかるに会いにくる。勇作は猛に「ひかるを嫁にする」と宣言する。
 アトリエでひかるが子どもたちに歌を教えていると、壮士風の男たちが因縁をつけてきて暴れまわる。そこへ、勇作が飛び込んできて、男たちを追い払う。
 実はそれも勇作の策略だった。
 猛はひかるに、勇作は信用できない、と忠告するが、ひかるは耳を貸さない。

<第23回>
 勇作からひかるに、高価なダイヤのネックレスが届けられる。ひかるはすぐに、ネックレスを返しにいくが、勇作に誘惑されそうになる。猛が駆けつけ、事なきを得る。
 勇作は小説家志望の文彦に近づき、味方につけようとする。文彦は自分を主人公にした小説の話をして、ひかると猛が恋をしていることを勇作に教える。
 三枝家は灌漑工事に莫大な投資をした結果、経済的にかなり逼迫していた。生活に苦しい小作たちを救うために、伝衛門は家屋敷を担保にいれて海運業に乗り出す決意をする。猛は危惧しながらも、伝衛門に協力する。
 そんなとき、ひかるは勇作に強引に唇を奪われる。

<第24回>
 勇作が静子とともに三枝家に乗り込んできて、ひかるに結婚を申し込む。伝衛門はひかるの気持ちを確かめた上で、にべもなく追い返す。
 まもなく、三枝家の命運を賭けた事業計画が始まる。猛は有能な番頭として伝衛門の支えになるが、文彦は相変わらず文学に現を抜かしていた。
 愛想をつかした伝衛門は、猛に三枝家を継がせることを考える。
 が、絹はひかると猛の結婚には絶対反対だった。
 そんなとき、大河原商会から借金をした小作人たちが、次つぎと夜逃げをする。伝衛門は苦しいながらも借金を肩代わりしようとするが、法外な利息で太刀打ちできない。

<第25回>
 小作人たちの借金を肩代わりしようとする伝衛門に、勇作が元金のみの返済でいいときりだす。訝しく思いながらも、伝衛門は借金を全て清算。勇作はさらに、返済金の半分を新事業へのはなむけとして差し出す。恐ろしくなったひかるはそれを叩き返す。
 船の買い付けのため、伝衛門は猛とともに横浜へ出かける。文彦は朝帰りのあげく、伝衛門の事業にケチをつける。
 その日、勇作が陸軍中佐岩原を連れてひかるに会いにくる。大陸へ出発する甲府の連隊の壮行会で、ひかるにバイオリンを弾いてほしいという。ひかるは承諾。二日後の夜、壮行会が開かれる勇作の旅館へ一人で出かけていく。

<第26回>
 勇作からバイオリンの演奏を頼まれたひかるは、単身大河原旅館へ出かけていく。
 そして、乱痴気騒ぎになっている軍隊の壮行会に顔を出し、「菩提樹」を演奏し岩原中佐はひかるに軍刀を突きつけ、軍歌を演奏するよう命令。ひかるは従わず、「菩提樹」を弾き始める。その音色の美しさに将校たちは心を奪われ、啜り泣きさえ漏れる。
 演奏を終え、帰ろうとしたひかるを静子が引きとめ、勇作との仲を取り持とうとする。身の危険を感じたひかるは旅館を飛び出す。
 翌朝、横浜から猛が急ぎ帰宅。勇作に、ひかるは自分が守ってみせる。と宣言する。

<第27回>
 三枝家の海運業は船「白部丸」も手に入り、初航海に向かって着々と準備が進んでいた。目下の心配は、鉱物資源買い付けのための資金の融資が下りるかどうかだ。
 そんなとき、文彦が伝衛門に札束を差し出す。伝衛門は受け取らないが、猛の忠告によって、文彦の意見を聞く。
 文彦は危険な海運業から手を引くよう主張。さらに、三枝家の維持のため、小作人を切り捨てるべきだ、と力説する。
 伝衛門は烈火のごとく怒り、絹も今度という今度は文彦に失望。ひかると猛を結婚させたほうがいいのかもしれない、と思い悩む。
 翌日、銀行から突然、融資の凍結を言い渡される。

<第28回>
 いよいよ出航が目前に迫った矢先、銀行から突然、融資の凍結を宣告される。
 絶望する伝衛門に、文彦は大河原商会からの融資を勧める。勇作の罠だ、とひかるは反対するが、小作人たちのことを思うと、伝衛門の心は揺れる。
 猛は大河原商会に乗り込み、勇作につかみかかる。
 そこへ、伝衛門が飛び込んできて、勇作に融資を申し込む。
 勇作は伝衛門に土下座をすることを強要。伝衛門は床に頭を擦りつけて、融資を頼み込む。
 翌日、伝衛門は土地と屋敷の権利書を勇作に渡し、金を借りる。
 安心したのも束の間、出航許可が突然、取り消される。

<第29回>
 またしても勇作の妨害工作によって、「白部丸」が出航できなくなる。追いつめられた伝衛門は、軍の出航停止命令に逆らって、船を出すことを決意。自分に万一のことが起こった場合に備えて、猛を三枝家の後継者に指名する。
 猛は三枝家を継ぐのは文彦だと主張、自分はその支えになりたいと。
 翌朝、「白部丸」は横浜港を出港する。伝衛門は胸をなでおろすが、憲兵が屋敷に踏み込んできて、有無を言わせず連行される。
 猛は勇作に土下座して、伝衛門を助けてほしいと訴える。勇作は、ひかるを自分に譲ってくれれば、伝衛門を釈放させる橋渡しをしてもよい、と狡猾な笑いを浮かべる。

<第30回>
 文彦が、伝衛門を救うために、出航した船を横浜へ呼び戻すべきだ、と絹に訴える。長男としての威厳を見せつけようとしたのだが、実は勇作に操られていた。
 伝衛門の気持ちを思いやって、猛は反対。絹も猛に味方する。
 文彦の気持ちはますます荒む。
 一方、猛も自分が本当に三枝家を継いでいいのか苦悩する。
 まもなく、絹の必死の嘆願のおかげで、伝衛門が無事釈放される。
 迷いから吹っ切れた猛は、改めてひかるに結婚を申し込む。
 久しぶりに三枝家に笑いが戻った矢先、白部丸が敵の攻撃を受けて沈没した、と連絡が・・・。


戻る


[第1-10回] [第11-20回] [第21-30回] [第31-40回] [第41-50回] [第51-60回] [第61-65回]