アナマガ

塩原恒夫アナウンサーのコラム「私のベストムービー」

2013年02月4日号

【笠井編集長より】
この時期、映画ファンの皆さんは、待っていることでしょう。
そう、アナマガ自慢の『塩ちゃんの映画ベスト10』。ベテランスポーツアナとして、フィギュアスケートなど数々の実況をこなし、全国を回りながら、仕事が終わると各地のシネコンに自腹で鑑賞に出かける、真のシネフィル(映画狂)アナウンサー塩原恒夫(^_^;) 。
2012年のランキングもうなりました。ほんとよく観てる。男おばさん(軽部・笠井)再び戦々恐々ですな。(^_^)v

日本映画専門chの「シネホリ」で、"東京国際映画祭グリーンカーペット"をリポートしました。
そこでオープニングセレモニー司会の笠井アナと同期共演となりましたが、悲しいかな片や絨緞を歩く人、わたしはローピングの外から番組のために懸命に同期を呼びかけているとは…
地道な映画ファンにとっては、ブルーレイ上映がありがたかった一年でした。007シリーズ50周年のイベントはじめ、過去の名作を大きなスクリーンで不特定多数の人々と興奮を分かち合う貴重な場を提供してもらい、ソフトの販促とはいえ感謝です。

対象は、2011.12~2012.11末公開の作品です。

洋画ベスト10

10位『リンカーン弁護士』

スピルバーグも取り組んでいるという大統領ではなくて、高級車に乗るチョイ悪法律家が主人公の原作物~こんな2時間を越えない娯楽作品に飢えています。続編頼む。

9位『ニーチェの馬』

って言ったはなから2時間半強、無駄なセリフなしのモノクロ画面に吹き荒れる風の音…画面を眺めながらほかのことを考えるのもあり!!!まさに哲学なのです。

ほらね、シネフィルでしょ(^_^;)

8位『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

原題訳のまずタイトルに惹かれた。そしてもちろん悲劇を何とか乗り越えようとする登場人物それぞれの葛藤する姿。
タンバリンを鳴らす少年が記憶として刻まれる。
エクソシスト神父マックス・フォン・シドーの手の演技もよかった。

天才子役は、福くんだけじゃない。

7位『アルゴ』

がんばれネタが枯渇したら実話に頼れ。CIAならもっともっと提供してくれそうな感じです。
監督主演のベン・アフレックをイーストウッドと比較して称える声もありますが、まだ早すぎです。ハリウッドよ頑張れ!

しかし、ほんんんと、面白い。これをつまらないと言った人に会ったことがないっ!

6位『アーティスト』

祝アカデミー受賞のフレンチムービー。無声映画だけに、予告編が一番面白かったというのは皮肉です。六年前に同監督のスパイコメディが、東京国際映画祭でグランプリを受賞した際、選考が問題視されたことも皮肉です…

前半発表を終えてここで、残念ながら圏外(11位)の作品を紹介します。
『プロメテウス』と『ワン・デイ 23年のラブストーリー』でした。

私はプロメテ押すよ。ただ『エイリアン・ゼロ』とすべきでした。

5位『サニー 永遠の仲間たち』

1980年代と青春が重なるあなたにオススメの一作。当時、韓国でもこんな映画がヒットしていたんだとしみじみ。物語は悲劇がらみも、楽しい思い出として残るひとときを過ごせます。高校時代のキャストがいいですね。

同感であります!

4位『ドラゴン・タトゥーの女』

北欧オリジナル版は、おととしのマイベスト。期待のフィンチャー作品は、合格点獲得です。特にタイトル・シーンは興奮もので、主演ダニエル・クレイグと組んで007シリーズを撮ってほしい。ヒロインは、元祖のイメージが強すぎた。

3位『果てなき路』

"伝説のモンテ・ヘルマン監督21年ぶりの新作"と謳われても???ただし、話題のメガホン作は、魅力たっぷり。デビッド・リンチ的なクセになりそうな世界が展開します。また沈黙されたら名前を忘れそうなので、ここに残します。

このマニアック作品を見てることだけで脱帽。

2位『裏切りのサーカス』

イギリス俳優陣の底力というか、娯楽の質の違いというか、本物に接することができる贅沢な時間をありがとう。ジョン・ル・カレの原作はシリーズとなっているので、是非ぜひ続きをお願いします。本も映画も邦題名付けの難しさをあらわしている。

えー!裏サーが2位!ものすごい難しい話で、この話を理解する塩ちゃんの底力というか、質の違いを認識!!

1位『最強のふたり』

この作品も日本公開タイトルに悩んだことでしょう。実は、前々回の東京国際映画祭で鑑賞していました。一年以上経過しても、そのときの興奮と感動がよみがえってくる映画のチカラがあったということ。笑って泣いてドキドキしての実話なのです。

納得。これは、ほんといい映画なんですよ。笑って、泣いて、介護の、いや人生の本質が見えて来る。

邦画ベスト10

10位『テルマエ・ロマエ』

何度見ても笑えるシーン満載~このキャストをみて原作が書かれたのではというほどハマっている。スタッフは、のだめのノウハウを存分に活かした。

これはもう映画的事件。爆笑、最高!

9位『新しい靴を買わなくちゃ』

主人公ふたりが携帯で会話しながらパリの街を歩くシーンがあるが、その撮影手法がヘェ~。バラエティのようにそれぞれにカメラが密着して現実感を発揮している。

8位『僕達急行 -A列車で行こう-』

森田芳光監督が脚本も兼ね、ファンと別れの一篇を贈る。何でもないようなストーリー展開が、登場人物とともにじわじわ滲みてくる。合掌…

7位『終の信託』

前半後半の2部構成とも言える作りが、舞台のような緊張感を持って最後まで鑑賞できた。監督・役者の実力あればこそです。次回?ハートフルコメディ期待!

草刈VS大沢の一騎打ちは、2012年のベストシーンですよ。

6位『この空の花 ―長岡花火物語』

大林監督作ということで、ファンタジーを期待したデートカップルの会話:彼氏「ごめんね、こういう作品だったって知らなかった。重かったよね」、彼女「でも、面白かったよ」そんな他人のその後が気になった一日でした。カントク、感覚が若い!

正直、映画史に残ると言いたい大林監督の「被災コラージュ」。尾道3部作など、はるかに超越した、脳を刺激するYou Tube的編集に打ちのめされました。

邦画のあと一歩、11位は、『旅の贈りもの 明日へ』でした。泣けました…

演歌歌手、前川清さん主演ね。

5位『悪の教典』

この作品を10本に入れるかどうかで悩みました。が、原作も腰を抜かしたけれど、映像で見せた三池演出のアッパレ。機会があれば、「序章」も併せて鑑賞してみて。伊藤先生が、とてもはまっていてよかったですね。

伊藤英明さんが演技派として勝負。その頑張りが光ってました。

4位『あなたへ』『北のカナリアたち』

高倉健、吉永小百合~ザ映画スターの作品を見ずしてオリンピックイヤーは語れない。
演出・カメラそのほかのベテランスタッフが支える撮影所の空気を肌で感じてほしい。そこには、年齢が気にならないドラマがあります。

3位『おおかみこどもの雨と雪』

こどもの雪のかわいさは、アニメではトトロのメイちゃん以来でしょうか?それでも待ち構える大人になってからの厳しい現実…正直かわい楽しいまま劇場をあとにしたかった。

傑作。細田守監督アニメは、今のジブリを超えています。

2位『BRAVE HEARTS 海猿』

制作サイドの前2作のいきすぎを修正してのぞんだ今作(と監督インタビュー記事を読みました)。昔のパニック映画『エアポート』シリーズもなつかしく、ジャンボジェット救出劇を堪能した。日本には、ジョー・パトローニではなく、海猿がいる!

塩ちゃんが このシリーズをはじめて評価してくれたような気が!うれしい!!

1位『のぼうの城』

数々の困難を乗り越えて、脚本家も制作者も監督もどうしても映像化したかった強い思いが、スクリーンから伝わってくる。痛快娯楽超大作にふさわしく、役者の演技に、にんまりのラストに、主題歌に大満足でした。

だよねー。犬童&樋口両監督、きわめて珍らしいW監督作品の大成功例です。

いかがでしたか?今回の塩ラン(塩ちゃんランキング)。映画ファンならではのランキングでしたね。
みなさんも、見逃した作品は、DVDなどでチェックしてみてくださいね。
では、最後は男おばさんのランキングを。

  軽部アナ軽部アナ 笠井アナ笠井アナ
1位 おおかみこどもの雨と雪 わが母の記
2位 鍵泥棒のメソッド おおかみこどもの雨と雪
3位 ものすごくうるさくて、ありえないほど近い ブレイブハーツ 海猿
4位 拝啓、愛しています 北のカナリアたち。
5位 アメイジング・スパイダーマン 崖っぷちの男
では、2013年も楽しい映画ライフを!

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