アナマガ

塩原恒夫アナウンサーのコラム「私のベストムービー」

2008年01月08日号

アナマガの年間目標で、映画検定1級合格を目指したが、まず2級合格が条件であるのと、年1回の開催だったため、初挑戦の2007年は、3級と2級の複数受験にきりかえた。試験当日は、周囲の真剣モードに圧倒されて、久しぶりにテストの緊張モードを味わう。3級と2級の間の休み時間に、会社の先輩に声をかけられビックリ~。なんと、すでに1級合格済みだが、マスターの称号を得んと再受験とのこと。しかも、1回目は1問間違い程度のほぼパーフェクトにまた驚く。たしか、映画部勤務では、なかったと思うが…。ちなみに私は、3級でさえ、5・6問間違っていた。結果は、3級合格、2級は4・5問届かずの不合格。特に、歴史と日本映画の知識不足が祟った。今年も、地道にいきますか。

さて、まずは洋画から…

洋画ベスト10

10位『007/カジノ・ロワイヤル』

期待のNEWボンドは、原点回帰はいいけれど、シリーズとしての時間軸は、継承してほしかった。
上司の M をかえてのぞむべき!ラストは、ターミネーターの決めポーズのようで、がっかり。

9位『デス・プルーフ in グラインドハウス』

やってくれました~タランティーノ!あまりにもくだらないこだわりの連打(褒めてます~)。
狙った70年代前半の雰囲気たっぷりに、エンドロール直前の椅子ずり落ちは必至だ。

8位『プレステージ』

"衝撃のラスト"うんぬんの売りは、ずるいよ~と怒りつつも、幻想小説の映像化としては、合格印。
キャストと奇術と、ウッディ・アレンの「タロットカード殺人事件」とだぶった分、損している?

この作品は、牧原アナもびっくり(笑)の奇術・手品ミステリー。確かに相当面白い。

7位『ブラッド・ダイヤモンド』

ストーリーは正直退屈だったが、レオ様のラストだけは、映画史に残る名シーンに仕上がった。
アカデミー賞ノミネートの評価もうなずける。一見の価値とは、まさにこれだ!

レオ様のラスト!?観たのに忘れてしまった(…汗)

6位『ボルベール 帰郷』

開巻のお墓掃除の風景を横にパーンしていくカメラワークと呼応するタイトルスーパー。
そこにサスペンスたっぷりの音楽が重なって…監督の語り口の妙にまた!やられた。

のあたりが、塩ちゃん塩ちゃんたる所以(ゆえん)のチョイスですな。だいたいコメントがキザすぎ(笑)。

5位『ドリームガールズ』

近年のミュージカルの映画化ラッシュを歓迎。あらためてアメリカ・エンタメ界の財産の豊富さを痛感。
ヒロインたちの成功の影で、アカデミー俳優フォックス、大損の巻となった。

4位『あるいは裏切りという名の犬』

原題は、パリ警視庁の所在地をあらわす番地というシンプルものだが、よくぞこの邦題をつけた!
センスとアイディア次第で、見たい作品に大変身~ギャバンやドロンが、なつかしい。

地味だが本当に渋い男のシネマ。こういうのを、塩ちゃんは見逃さない。

3位『ゾディアック』

はったり監督のフィンチャーに、実話の足枷が、映像作家としての創造力を刺激したのは間違いない。
ダーティハリーの原点が、ここにあったのかを教えてくれただけでもありがたい。

2位『今宵、フィッツジェラルド劇場で』

映画ファンへの別れのあいさつをこんな素敵なかたちで残してくれたアルトマンに乾杯!
村上春樹新訳とあわせて「ロング・グッドバイ」の再登場を待つ。

1位『硫黄島からの手紙』

映画に国境なし、平和の思いに時代なし。アメリカ映画を支持してきてよかったなと思う瞬間が、ここにある。
トランペットの調べは、ニニ・ロッソの「金曜ロードショー」のテーマのように胸に響いた。

なんかすごいベスト3。ある意味納得もさせられますが、この3本を選ぶ人の性格をもっと知りたくなる。ただ明るくないことだけは確か(笑)。

邦画ベスト10

10位『犬神家の一族/市川崑物語』

リバイバル上映の興行形態がなくなった今の時代にいいもの伝える手段としてのリメイクを歓迎する。大野雄二のテーマ音楽に、スタイリッシュ映像とひたって!

ということは『織田(椿)三十郎』もOK派?来年のランキングに注目です。

9位『大帝の剣』

奇想天外ムービー、ここに極まれり。脚本も、ナレーション使用方法の見事な例と言える。
なんてことより、エイリアン・ハセキョーの怪演でしょ!?やっぱ。

こういったハチャメチャ映画まで手を伸ばしているところが塩ちゃんの怖いところ。面白かったよ。

8位『神童』

音を映像で表現する難しさに果敢に挑戦、そして成功した。
風を肌で感じる快感が、スクリーンからあふれる。

7位『ALWAYS 続・三丁目の夕日』

一作目は、東京タワーだけでよかった。表面的に感じた登場人物に血をかよわせた今回は、スタッフの愛と情熱に他ならない!

6位『アヒルと鴨のコインロッカー』

原作未読だが、ファン納得の一編ではないか。
パズルのピースであることを要求された俳優たちの演技に拍手!

興業的には存在感を示せなかったが、業界では評判でした。

5位『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』

ブームにぎりぎりすべりこみ、タッチは~セーフ!
時代を行き来するなか、絶妙なキャスティングの勝利だ。

4位『HERO』

ドラマの平均視聴率30パーセントもうなずけるキャラと脚本。
自社作だけに敢えていうなら、エンドボーカルがほしかった…

このランクインには、ちょっと ホッとしたりして(笑)。

3位『舞妓Haaaan!!!』

とにかく笑えた~クドカン・ムービーの決定版でしょ。
日本のコメディよ、元気出して行こうよ。

2位『鉄コン筋クリート』

自由な発想は、こんな世界に展開しているんだ。
原作のテイストを声優陣のがんばりで、より豊かなものにした。

1位『幸福な食卓』

ミスチルの曲は、いいな。ヒットという意味では、「恋空」にやられたが、何度見ても小説の登場人物が、よみがえる。文句なしの2007ベスト。

爆笑喜劇・アニメまで入って、1位は超前向きムービー。。これを選ぶ人のキャラクターは…結構明るい!?。

今年の作品は、印象に残るシーンが、全体の出来とは別に多かったと思う。「バイオハザードIII」のカラス襲撃シーンは、ヒッチコックにオマージュをささげる十分な迫力をもたらし(「ディスタービア」は、「裏窓」の設定を今風に)、「オリオン座からの招待状」の宮沢りえの自転車シーンは、「明日に向って撃て!」を思い出させた。こうした輝きを失わないかぎり、映画は記憶に残り続ける。

【編集長のひとりごと】
いかがでしたか?相変わらずランクインの作品の幅が広く驚かされます。2007年は「洋画に渋さ」を、「邦画に明るさ」をみいだしたのか塩原アナ。皆さんのベスト3はどうでしたか?では続いて、年末に本を出版したらいきなり増刷になって"天狗"になっている男おばさんのベスト5を観てみましょう。

  軽部アナ軽部アナ 笠井アナ笠井アナ
1位 ドリームガールズ トランスフォーマー
2位 HERO ドリームガールズ
3位 ヘアスプレー 犯人に告ぐ
4位 クィーン プレステージ
5位 ディパーテッド 舞妓Haaaan!!!
男おばさん的映画道楽


先月出版!『男おばさん的映画道楽』(扶桑社1200円)より抜粋。
ベスト10まで知りたい方はぜひ本屋さんで…(笑)。

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