FROM LUCKY Vol.46

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Luckyのタイ旅行記 PART 1

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十数回に渡って連載しましたLucky氏のタイ旅行記も総集編です.長いですが一挙に掲載します.

PART 1 :南へ

なんだか30年振りぐらいに寝台列車というモノに乗ってしまいました。バンコク発ハジャイ行き、2等寝台でおよそ800キロ、13時間乗って、たったの3000円強。安い!!なんて値段でびっくりしていてはいけないんですけれど…。
バンコク市内で最大の駅ファランフォーンを夕刻、7時過ぎに出発した私は、一路タイ南部の島を目指して車中の人となったのです。長さにして30両以上、新幹線より長くて、新幹線開通よりも絶対古い列車。これが結構すさまじい列車ではあったのです。いわゆる寝台車はわずか2両。後はエアコンも何もない、木の椅子が並ぶ普通の車両だったのです。ま、噂には聞いていたけど、こんなんで十数時間の旅?!しかも床に寝てる奴までいる?!あう?
と、とりあえず驚いておいて、食堂車から僕の席まで届けられた晩御飯のカレーライスになんとなくとりかかれないまま、過ぎ去って行くバンコクの喧噪を眺めていたのです。
思えば、これが現世とのお別れだったとは…。


TROPそういえば、タイと言う国は、思いきりアバウトながら鉄道網が発達してい て、シンガポールまで行く国際特急や、そして大陸へと北へ東へと伸びる幾つも の路線。様々な人(もちろん収入も…)が渾然一体となってパワフルに移動しま くっている!!んです。

 僕がこの日乗り込んだのは南へと向かういわゆるリゾート・エキスプレス。 ちょっと高めの料金設定の寝台車は、北欧や東欧からの観光客と、手にはキラ リ!携帯電話!!の、裕福そうなタイ人の乗客で占められていたのです。僕の目 的地はSURAT THANI(スラータニ)と言う小さな町。バンコクからおよそ700キロ 強。プーケットと、そしてタイ湾に浮かぶ、怪しいヒッピーアイランド、 KoSamui,KoPhaNgan,KoTaoへのゲート・タウンでもあるのです。

 ところで、この路線、海外鉄道旅行の入門としては最適かも…。

 前日、8時前に出発して約12時間。早朝7時頃に列車は止まりました。プラット ホームなんてもちろんない、あつ〜い南国の駅に。駅舎からは遥か離れた所(何 と言っても30両編成ぐらいだから…)にバックパックを背負った外国人の集団が 降り立つと、なんだかシャキシャキしたおねーちゃんがよってきて、手際よくバ スの方へ誘導してくれたのです。列車を降りて、まだ目が覚め切れていない一行 は(みんなヒッピー風、そして白人ばかり)訳のわからないまま、バスに揺られ て駅から運び出されたのです。


 あちこち旅をしていると、いつのまにか自分が胡散臭そうな目で見られている ことに気付くことがあります。この朝、約100人ぐらい居た外国人の群は、も う何処に行っても恥ずかしくない!?胡散臭い連中ばかり。その強烈な一団を、 きもち狐顔のお姉ちゃんは、鮮やかに仕切って、ボロボロの観光バス数台に振り 分けたのです。

 数十分後、突然やってきた嵐の中をバスはひた走っていました。回りはジャン グル。もちろん舗装もあるかないかの、なんだかいい加減な道路。でも時折みか けるバラック(失礼)みたいな家には、必ずテレビがあって、家族全員がその前 に陣取っているのが見えます。でも、このバスが向かうはずの港、どころか海の 雰囲気なんて皆無。一体、俺たちは何処に連れて行かれるんだ…。なんだかあら ぬ想像で頭はグルグル。ま、気付くと周囲の白人の方々と同じように、が〜っ! といびきをかいていたのですが…。

 雨が小降りになった頃、バスは小さな村にたどり着きました。普通の家の軒先 をかすめて、小さな小屋の前に止まると…、な〜んとそこが港だったのです。海 なんか見えない、もちろん潮の香りとも無縁の不思議な港ではありました。そこ にはなんと!!!と、まあ文脈からだと、とんでもないオンボロな船が居るはず なのですが、そんな事はなく、割と、そう割とまともな快速艇が、僕らヒッピー 軍団を待っていたのです。出航の頃には雨もあがり、空は一気に青!そしてヨー ロッパ軍団は、デッキで日光浴!と相成ったのではありました。


 雨雲が一転、晴れて青い青い!南国の空(何と言っても太陽がちょっと北に寄って るくらいだから…)の許、怪しい快速艇は1時間30分の航海の後、まずは30年前 に開拓されたヒッピー・アイランド KohSamui に到着したのです。Kohはタイ語で島の 事。いわゆるサムイ島と呼ばれるこの島は日本でも結構お馴染みで、ビーチの美しさ が評判の、田舎リゾートなのです。この島で移動するには、とにかくバイク!それも スーパー・カブ!(ホンダのな!)秤売りされるガソリンをタンクにぶち込んで!走 るのです。
 ベトナム戦争以来、この国に定着したリゾートスタイル(パタヤ、とかプーケット ってそんな感じです)のビーチから逃れて僕がスーパーカブでたどり着いたのがIslands Resort というバンガロー。名前の割には英語も通じなくて…すっごい古くさいの ですが、でも、ここの目の前に広がるビーチだけは、この島一番(到着した翌日の朝 、島を一周して確認してしまいました)だったのです。あぁ、虫刺されさえなければ 最高、シャワーだってあるし(数日後から、このシャワーと洋式トイレというパラダ イスから私が、遠く隔離されてしまうとは…)最高のバンガロー。星なんか、この時 点では我が人生最高の美しさだったのです。そして、さらに現地の人だけが行ってい ると思われる(英語のメニューもないし、もちろん英語が通じない)レストラン(星 の下だけどね)がうまくって…、なんだパラダイスってこんなに簡単に辿り着けるん だって、思いこんだりして。

でも、そうではなかったのです。

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