CLAMP TALK Vol.44

NAKAI in talking with TAKESHI KOBAYASHI.
- 小林:
- そうそう。やっぱりあの、もちろん素質があるんでしょう
けど、あの、相撲、相撲も僕、好きなんですけどね。
- 中居:
- 相撲好きなんですか?
- 小林:
- ええ。 あの、千代の富士さんとかがね、ある時からすご
く強くなった瞬間のこととか、僕、よく覚えてるんですよ。やっぱり普通の人に
とっての、例えば一秒間とか、そういうのがなんて言うの?拡大して見える、みたい
な感じが見ててしますけどね。
- 中居:
- 瞬間、瞬間ですよね。
- 小林:
- ええ。瞬間がすごい本当にあの、捉えるなんて言うか、幅
みたいのが、すごい急に出てきてるっていう感じじゃないかな。
- 中居:
- それでやっぱ、魅力を感じたわけですね。でもあの、やっ
ぱりそのね、ミスチルもそうですし、MY LITTLE LOVERのみなさんもそうですけど。
今のそのサウンドトラックのほうもそうですし、期限があったり、時間に追われる
ことって絶対出てくると思うんですよね。そういう時に、例えば何日、何ヶ月の
間、何日の間に作ってくれって言われて。でも、時間がなくってどうしようもない
時に、もう安易なものを出した経験ていうのあります?「もう時間がない。これが、
この時間内での自分の精一杯なんだ」っていう作品ていうのは、今までありまし
た?
- 小林:
- いや、だから、それに、そう言われてそれに当てはまると
いうのは無いかなぁ?あんまり考えたことはなかったですけど。ただね、その時間の
中にて出来ることをやってるんだとは思うけれど。やっぱり何だろう?一生かけてで
もいいから、一ついい作品が出来ればいいと思ってるわけじゃないですね。やっ
ぱ、僕も。やっぱりそれは何だろう?人間としてなんか、生きていくリズムみたいな
のあるじゃないですか。一人の人間として。だから、それでやっぱり時代と言って
いいのか、なんか。とにかく周りの人間と共に生きてますから、僕も。そこの中で
やっぱりなんか、コミュニケーションというか、そういう人との呼吸みたいなのの
ところで、やっぱりこれがベストだなというか。なんかね、よく言うんですけど、
ベストっていうかね、自分の中で必ず、ボーダーラインみたいのがあるんですよ。
- 中居:
- 自分の基準の中ですね。
- 小林:
- 基準が。その作品を、最初になんかやる時に、何だろう?
人に与えていく快感みたいなものに、「ここを越えていけば、なんとか多分、大丈
夫だ」っていうか。恥ずかしくないっていうか、自分の中で「やり遂げた」と言え
る。まあ、それを越えさえすれば。
- 中居:
- でも、その基準っていうのが、人それぞれですし。小林さ
んの基準と、周りの人が求めてる基準て、多分、違いますしね。そこらへんのやっ
ぱりその、行き違いみたいのって絶対生じるでしょうね。出て来るでしょうね。
- 小林:
- それはね、あんまり生じたことはないかもしれない、周り
とはね。あの、ただ、もちろんその、第三者の人がね、本当にあの、いいと思って
ても全く別の角度からの批評とかね、感じ方っていうのは当然あると思いますけど
も。でも、やっぱり僕がプロデュースしてるアーティストと、僕の中でそこが食い
違ったまま発売するとか、世の中に出したっていうことは、多分ないと思います
ね。
- 中居:
- メンバーの中で、「ちょっと小林さん、これは違うんじゃ
ないか?僕の求めてる音楽とは、ちょっとこれは違うんだけども」っていう葛藤じゃ
ないですけども。
- 小林:
- あ、だから、それはね、えぇと、そういうの本当に少ない
ですけど。例えば、このあいだも「深海」っていうアルバムやってて、その中の一
曲で、ほとんどもう全員が納得したミックスが終わってて。で、ギターの田原って
いうのが、野球のわりとあの中ではウマいほうの田原君が、アルペジオのパター
ンっていうのがあって、で、それを「音もやり直したい」っていう話が出てきた時
に、それ、すごい僕は彼の気持ちをすごいよくわかってたし。で、その曲のなん
か、在り方っていうのも、やっぱり漠然と僕も不安を感じてたところがあって、最
終的に「深海」の中に入れる、そのさっき言ったボーダーラインのところで。やっ
ぱり、それだけは日本で少し手直しをして、やり直したんですけど。だからもう。
- 中居:
- とにかく彼の音楽性というか、そのギター、まあ本当ね、
ちっちゃいとこだったかもしれませんけど、彼の気持ちやっぱり尊重はしたわけで
すよね。
- 小林:
- そうですね。だから、本当に細かい、本当にちっちゃいこ
とで、「気にすることないよ」っていうようなところは、そう言いますけど。でも
なんか、そのへんはすごいもう、呼吸がとれてるっていうかね。
- 中居:
- へぇー。それっていいですよね、でも。
- 小林:
- そうですね。
- 中居:
- で、あの、さきほどチラッとおっしゃいましたけど、
ニューヨークとロンドンとロスっておっしゃってましたよね。
- 小林:
- ええ。
- 中居:
- で、僕の中では、ちょっとわかんないんですけども、
ニューヨークとロンドンとロスの、その環境の違いですか。やっぱり、環境が違う
からこそ場所を点々とするのかな?と思いますけど。
- 小林:
- うーん?そうですね。あと、もっともちろんあの、他にも
いっぱいあるんでしょうけどね。よく言われますね、あの、僕もだからその、
ニューヨークのウォーターフロントスタジオのいろいろレニー・クラビッツとか、
あのへんやってるヘンリーハッシュってすごい仲がいいんですけど。エンジニアで
もありミュージシャンでもあるんですけど。彼とかは、その、アメリカはもっと南
部のほうが絶対面白いとかね。ナッシュビルとかニューオリンズとか。で、「やっ
ぱり、ああいうとこで今度レコーディングとかしてみようよ」みたいなこととか
ね、言われますけどね。
- 中居:
- それはやっぱり、周りの雰囲気なんですかね?
- 小林:
- うーん?いや、だから、ルーツとしてやっぱりブルースと
かから始まってきてる、なんか生音の在り方とか、そういうことを彼は多分、僕に
すごい言ってたんですけども。でも、音楽的にそうですね、だから、南部のほうま
でいっちゃうと、本当深いっていうか。僕もまだよくわからない話ですけど。
ニューヨーク、ロンドン、ロスっていっても、それぞれやっぱり当然違いますよ
ね。あの、ロンドンていうのは、もうああやって作り込んでく、建築してくみたい
な形にすごい近いような感性っていうか。まあ、本当ジェントルマン、ジェント
リーな国ですから。国っていうか、ミュージシャンもスタッフも本当、そういう人
多いですから。本当、ビートルズの中期以降とかでもよくわかる通り、もう本当に
音を作り込んでいくっていうことに関してはね、貪欲なところすごくあるし。今回
だから、アビーロード、よくビートルズがずっとやってたアビーロードで、それは
その「スワロウテイル」のオーケストラをね、録ってきたんですけど。
- 中居:
- オーケストラ?
- 小林:
- ええ。あの、ロンドンロイヤルフィルっていうオーケスト
ラを使って。アビーロードの1スタっていう、もうすごい天井が高い、要するに教会
みたいなリバーヴ感がある。それがね、本当にまあ、映画まだ観てないでしょうけ
ども、あの、ちょっと観ていただければ、かなりのスケール感ていうか。
- 中居:
- そのサウンドトラックに入る?
- 小林:
- そうそう。
- 中居:
- オーケストラ。
- 小林:
- オーケストラ。
- 中居:
- え?それは初めての経験ですか?それとも。
- 小林:
- えぇと、まあ、レコーディングでねチョコチョコ。チョコ
チョコっていうか、もちろんストリングスである程度2〜30人ぐらいの編成で実際に
ライヴやったこともありますし。あの、LIVE UFOとか。今、一瞬、局を確認しまし
たけど、頭の中で。
- 中居:
- へぇー。でもそれ、YEN TOWNじゃないですけども、今まで
のあれと違うじゃないですか。アーティストに曲を提供するのとは、またやっぱり
わけが違うと思うんですよね。そのサウンドトラックになるっていうのもそうです
し、その映画の中に入る挿入歌じゃないですけども。
- 小林:
- YEN TOWN BANDって、まあアルバム出るんですけどもね。
- 中居:
- 絵があって、ストーリーがあって、その中に歌をね、入れ
込むのとまた作り方もまた違うんじゃないかなとも思うんですけども。
- 小林:
- うん、そうですね。だから、今回は岩井監督が最初にス
トーリー設定の出来た、生み出したバンドですから。それに生命力みたいなのを僕
が吹き込んでいくっていうことから始まったから。でも、やっぱり実際に
Mr.ChildrenとかMY LITTLE LOVERみたいに、アーティストとして生身の姿を持って
て、ちゃんと看板を背負ってローテーションこれからもアーティスト活動を続けて
いかなくちゃダメだっていうのとは違って。やっぱり映画の中のストーリー上の架
空のものが、なんかリアルに展開してくって面白さを、本当にただ僕が楽しめばい
いんだっていうふうに、もう最初っからわりと思ってたから。
- 中居:
- まあ、ある意味で自由と捉えたわけですね。
- 小林:
- そうですね、ええ。だから逆に、アルバムも英語が半分ぐ
らいだし。やっぱりまあね、映画ってある意味では、すごい海外とか出やすい環境
でもあるし。そういうことはすごい考えて。岩井君と考えながら、かなり本当に遊
べたなというか。これはね、でもね、いい映画なんですよ。すごい。もうちょうど
日本に帰ってきてちょうどあがりを見て。岩井君と、僕のほうがちょっと先に帰っ
てきて。ちょうど編集もギリギリまで彼もロスに残って頑張ってて戻ってきて。
で、彼はちょうど二度目かな?試写見たので。僕は初めてそこで二人で見て、なんか
本当に興奮しましたけどね。
- 中居:
- ああ、そうですか。
- 小林:
- ええ。
- 中居:
- いい映画。
- 小林:
- いい映画ですよ。本当に。もうこれは本当に出来るだけ多
くの人に観ていただきたいと本当に思いますけどね。
- 中居:
- 普通に暮らして普通に生活を送ってる。で、改めて考えな
いと気付かないことを、なんか小林さんはなんか、音にしてるんじゃないかなとか
思ったりしてるんですけどね。で、あの、ミスチルもそうですし、MY LITTLE
LOVERも。あの、MY LITTLE LOVERは去年、急に参加したんですよね?
- 小林:
- そう、アルバムの時からですね。
- 中居:
- そうですよね。今までは、まあ裏方っていっちゃあおかし
いですけども、制作専門だったわけですよね。だから、それが去年の暮れから自分
が出る側っていったらおかしいですけども、アーティストとしての一員になったわ
けですよね。やっぱり変わりました?
- 小林:
- うーん?本当の日常の生活自体は何も変わってないですけ
ども、それは本当に。やっぱりでも、僕はいろんな例えば宣伝の方向性だったりと
か、やっぱりそういう細かい人間関係のメンタリティの問題だったりとか、そうい
うこともやっぱり僕の範疇の中でやらなきゃダメなこととしていっぱいあるから。
だから、まあ、変わりはしないんですけども、その、曲なり詞なりを書く時の立場
が。だから、もうちょっとなんて言うんだろう?逆に自分が出ることによって楽に
なったっていうところはあるかもしれないですね。
- 中居:
- あ、楽になった?
- 小林:
- うん。だからほら、裏方は裏方の美意識みたいなのがある
とするじゃないですか。そこで色があんまり、例えば出過ぎないようにとか、そう
いうバランスって、なんか無意識のうちに考えたり、まあ、意識して考えたり、い
ろいろなことがあるんだけど。それがわりとだから、ちょっと自由になっただろう
なという。プロデューサーとして、それもやっぱりプロデューサーとしての僕が見
てて、「ここは、もうちょっとカラー出していいんじゃない?」みたいなことを多
分、その曲を書いたり、詞を書いてたり、アレンジしてる時の僕にやっぱり許可を
出すみたいなね、そういうところあるかもしれないですね。
- 中居:
- でも、その日常じゃないですけど、仕事に対する接し方で
あったり、音楽に対する接し方、基本的にはやっぱり変わらないと。
- 小林:
- それはもうぜんぜん変わらないですね。
- 中居:
- でも、テレビはやっぱりなんか、嫌いっぽいですね。
- 小林:
- うーん?まあ、待ち時間がね。
- 中居:
- ああ、待ち時間が。
- 小林:
- 待ち時間がね、ダメなんですよ。
- 中居:
- 今日、今日のことですか?
- 小林:
- いやいや、違います。そんなことはないですけど。いや、
でも、テレビに限らずだけど。
- 中居:
- 時間を有効に使いたいんでしょうね。
- 小林:
- そうだね、そうかもしれない。
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