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FACTORY721#0032 : chee's Interview  新井利佳×吉田建
  
吉田:はじめてじゃない,chee'sっていうか,バンド経験って.一緒に音だすのって.どう?その実際の感じは.
利佳:そうですね,みんなで合わせるのは演ったことありますよ.エレクトーンとか,ブラスバンド部とか.
吉田:そうだな,おまえ,譜面強いもんな.
利佳:譜面は小さいときからピアノとか.
吉田:でもいわゆるロックとかさ,ポップスっていうかさ,今様の音楽をガーンって演る感じはちょっと違うでしょ.
利佳:違いますね.気持ちいいですよね.
吉田:今日のライブ気持ちよかった?
利佳:気持ちよかったですよ.
吉田:お客さんがこうやってワァーって反応してくれてさ.
利佳:あれはすごい気持ちいいですよね.
吉田:特にほら今回,がんばってレコーディングして,自分で曲書いて詞を書いて,自分の気持ちを伝えたって言うね,そういうのもあるじゃない.今までのように用意された曲もすばらしいかもしれないけども,それはまた違った格別の味でしょ?
利佳:そう!やっぱり自分の作った曲って言うのはそれなりの思い入れがあるから…
吉田:悩んだよねぇー.
利佳:うん!悩んだ!
吉田:「ダメ!」って言われて,オレにね.
利佳:ぎりぎりまで悩んで…
吉田:ま,利佳はchee'sんとき最初ピアノやっててさぁ,下川みくにちゃんが抜けて,ベースにコンバートされたんだけど.あれはまたコペルニクス的展開な,コペルニクス的っていうのは変か.
利佳:無謀な挑戦でしたかね.
吉田:無謀な挑戦だったね.でも今はすっかり指もできて.
利佳:指が,もうマメが出来て.
吉田:まさか麻雀じゃないだろうね.
利佳:ちっがいますよぉー.
吉田:おまえ,レコーディング終わってから何回弾いたんだよ,ベース.
利佳:ベースですね,えーと,三日は弾きましたね.
吉田:そうかぁ,それは信じられないなぁ.
利佳:なんでですかぁ.譜面なしで今日全部弾いたじゃないですかぁ.
吉田:さすがにメモリしてたね,今日,利佳は.偉いねぇ.
利佳:ちゃんとカセット聴きながら練習したんです.
吉田:これからさ,どんなふうにしていきたいと思ってるの自分は?というかchee'sは.
利佳:そうですね,chee'sは…
吉田:まだ分かんない?
利佳:技術を上げたいですね.
吉田:そうだな,正直言って今日も言ったけどchee'sは技術はまだ未熟だ.でもね,何が技術を向上させるかっていうと,それは「気持ち」だ.気持ちが変われば,意識が変われば単純なことでもそれが格好良く,っていうかうまく表現できるようになるの.なんか”パラパラパラー”ってやることだけが技術じゃないの.ま,おれはそういうこと出来ないからさ,単純なことで人を説得してもいいわけだからさ.そこを利佳だけじゃなくてほかのメンバーにも分かって欲しいと思ってんの.
利佳:そうですね.
吉田:どうなの,僕は?怖いと思われてるの?
利佳:誰にですか?
吉田:女の人はみんな「怖い」って.
利佳:ホントですか.どこがですか.
吉田:そうだよねぇ,怖くないよね.それともこんだけ離れすぎてると分かんないのかな,その感覚が.
利佳:そうですねぇ.いや,人生のこととかもいろいろ教えてくれるんですよ.
吉田:どんなこと教わったの?
利佳:「利佳は価値感の合う人とは結婚しない」って.
吉田:いや,そうは言ってないよ.「価値感を愛情にすり違えると,ちょっと価値観が変わったときに二人の感覚が合わなくなるから,それで喧嘩するのはちょっと寂しいぞ」って言ってんのよ.
利佳:だから,「お互いを認め合って生きてく」ってことを教えて貰いました!
吉田:これはオレが50年かかって学んだことを,ちょっと簡単に教えちゃったね.
利佳:教えて貰いました.
吉田:ねぇ,あの普通の生活で音楽を聴くことなんてあるの?
利佳:そうですね,パンクとか.
吉田:パンクが好きなの?
利佳:好きなんですよ.
吉田:グリーン・ディとかそういうの?
利佳:うん.
吉田:ああいう,メロコア?
利佳:うん,メロコア,好きで.
吉田:あれ,テンポめちゃくちゃ速いだろ.
利佳:速いですね.
吉田:ホット・スプリングスとか.ホップス好きなの?
利佳:好きです.
吉田:いいよねぇ,ホップス,ねぇ.今度のヤツ最高だよね.アメリカのね.あれはね,サーファーに人気があるんだよ.
利佳:そうなんですか?
吉田:彼らはね,みんな大学出てて修士とか博士持ってるんだよ.すっごい知性あるメンバーなんだよね.それがああいうちょっと馬鹿げたパンクをやってるんだけど.chee'sちょっとそれに似てるね.
利佳:似てますね.
吉田:似てない!
利佳:えっ,なんでですか.アイドルで売り出して…
吉田:「アイドル」!アイドルバンド!
利佳:アイドルですよ,何言ってんですか!
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