『絶対零度』の出演が決まって、どう思われましたか?
第一声は「ヤッター」でした(笑)。というのも、昨年やらせていただいたドラマ『ストロベリーナイト』で、僕は女性刑事の後輩を演じていましたが、それを見たプロデューサーさんが、もし先輩を演じたらどうなるのかということで今回のオファーをいただいたみたいなんです。自分の芝居を観た方が、想像を膨らませてもらえたというのがなにより嬉しいし、とても感謝しています。とても重要なポジションでの起用でプレッシャーはありますが、声をかけてくれたプロデューサーさんの期待に応えたいなと思っています。
演じる瀧河はとてもクールな人物ですよね。
どんな役でも、僕が演じるうえで大事にしているのは"作品上に出てくるキャラクター"ではなく、"ちゃんと存在している血の通った人間"にすることなんです。瀧河は確かにクールではありますが、なんでも淡々とこなすだけでは人間じゃなくロボットになってしまう。人間である以上、感情があるし、いつどんな時も冷静でいられるなんてありえない。冷静沈着に見える瀧河だって落ち込むことや悩むこと、苦しいこと、感情的になることは絶対にあるはずで、そういう部分は大事にしたいなと思っています。見た人が瀧河はどこかで生きていて、今日も捜査をしているんじゃないかと思わせられるくらいの人物にしていきたいです。
瀧河を演じるにあたり役作りをしたり、意識していることはありますか?
どういう家族構成で、どんな人生を送り、なぜ刑事になったのかなど、瀧河のこれまでを深く作りこむことにしています。あくまでも自分の中で考えているものですが、それを考えることで人としての深みを出せるかなと思っています。それと、今回は潜入捜査をやるということで、撮影に入る前に練習のつもりで実際に見ず知らずのおじさんの尾行したこともあります。尾行中にファンの方に「桐谷さんですよね?」と声をかけられて妙に焦ったりすることもありましたが(笑)、3時間ほど頑張りました。
実際にやってみて、どのようなことを感じましたか?
近くに素敵な女性が通ると、ついそっちに目線がいってしまうので、僕には向いてないかもしれませんね(笑)。でも、いろいろ勉強にはなりました。その方は普通に生活されている方で警戒心がないから、周りをキョロキョロ見渡したりもしないけど、もし急に振り返られたらどういう表情や仕草をしているのが自然に見えるのかとか、尾行するときは仲間との連絡のために無線を使うけど、どれくらいのトーンで話せば周囲にバレないかとか。周りで見てた人は「桐谷、どうした!?」ってビックリしたかもしれませんね(笑)。
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瀧河と桜木泉との関係性は、どうとらえていますか?
どういう関係というより、瀧河はとにかく犯罪を食い止めていきたいという思いが強くあるから、その捜査の足手まといにはなるなよと思っています。そもそも長嶋室長に頼まれたから一緒に行動しているだけで、今はむしろ迷惑くらいな気持ち。ただ心のどこかでは、室長が認めるだけに光るものがあるのかもしれないという期待は持っているかもしれません。自分とは全然違う人間だからこそ、これから瀧河が桜木から得るものはあると思います。
あまり気が合わないように見える瀧河と桜木ですが、常に行動を共にしますよね。
当たり前ですが、瀧河にとって一番大事なのは捜査であって、事件を解決すること。そこに全神経を注いでいるので、正直、桜木の存在はあまり見えていないですね。その証拠に桜木と瀧河が捜査中に目を合わすことはほとんどありませんから。それは今の瀧河は桜木の前を歩いていて、後ろを振り返ることもしないからでもあります。ただこれから先、いろいろな事件と立ち向かっていく中で、ふと横を見たときに後ろではなく隣にいるのが桜木なっていくのかなと感じてます。
瀧河と桜木の関係性について、上戸さんと何か話されましたか?
「ほとんど目を合わせないね」と話しました(笑)。いつも「行くぞ」とか声をかけるのも、"桜木がいる方向"にしゃべっているだけで桜木と目を合わせてはいない。先日の撮影でようやく視線を合わせて話すシーンがあって、そこでは「(目が合うのが)久しぶりだね」と話してました(笑)。これも、もしからしたら今後はこうして目を合わせるシーンが増えるのかもしれないし、どうなっていくのかはわからないので僕も楽しみです。
桐谷さんが感じるこの作品の魅力を教えてください。
たくさんありますが、普通の刑事ドラマではない感じがありますね。現在進行形の事件を扱っているので、見ている方も一緒に事件を追える感覚がありますし、カメラワークもすごく独特で。あまり日本のドラマにはない感じの、非常に臨場感や緊張感あふれる映像になっていますね。あとは、毎話ごとにいろんな経験をした登場人物たちが少しずつだけど成長していくさまは、すごく人間味があっておもしろいと思います。潜入捜査をするシーンもみどころですよ。本当にこんなことされたらと思うと怖いですよ。何人もの人間が、街のあらゆる風景に溶け込むようにして潜んで1人の人物を見張るんですから。自分なら絶対に気付かないだろうなという自信があります(笑)。それくらいすごいので、こちらもぜひ注目いただければ嬉しいです。
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