オンエア
アメリカ、ペンシルベニア州バックス郡。
今から17年前、地元の緊急通報指令室、911に通報が入った。
対応したオペレーターとの実際の通話音声がこちら。
リサ「どうしました?」
通報者「◎▽××!」
リサ「聞こえません」
通報者「◎▽××!」
リサ「はっきり喋って!場所は?」
通報者「ピック・ユア・パ…」
リサ「ピック・ユア・パート?」
通報者「そうです。」
ピック・ユア・パート。
それは、廃車の部品を売っている店の名前だった。
客が自分で部品を取り外し購入する方式で廃車が野ざらしで置かれていた。
リサからの連絡を受け、パトカーと救急車が現場に向かった。
その間も彼女は電話で通報者とやり取りを続けた。
通報者は、乗用車の下敷きになっていた。
廃車の部品を選んでいる際、車がバランスを崩し、落下。
下敷きになったものと思われた。
通報者は車に押し潰され、呼吸困難な状況、一刻の猶予も許されなかった。
数分後、パトカーが現場に到着。
だが そこには大きな壁が…実は、広大な敷地の中に並んでいた車は800台以上!
この中から通報者がいる一台を見つけ出さなければならなかった。
必死に探してはみたが、どこにいるのか皆目見当がつかない。
通報者と司令室の通話は繋がっていたものの、彼はすでに声すら出せない危機的な状況にあった。
そこで警察官があるアイディアを思いついた。
絶体絶命の状況を覆す大逆転のアイディアとは!一体!?
彼女は何かを待っていた。
それは…パトカーのサイレンの音!
これこそが警察官が考えた大逆転のアイデアだった。
警官「今からサイレンを鳴らすから、大きく聞こえたら教えてくれ!」
それまで通報者の声や気配にいち早く気づけるよう、サイレンを鳴らさずに捜索していた。
だがあえてサイレンを鳴らし、その音を通報者の電話に拾わせることで、パトカーが近づいているか否かを判断しようというのだ。
徐々に大きくなるサイレンの音!
そして…ついに下敷きになった通報者を発見!
彼は一命をとりとめた。
通報者のマーク・ワッサム・Jr.さんはこう話してくれた。
「電話を受けたのがリサさんで本当に良かったです。一昨年、警察官に再会しましたが、感極まって泣いてしまって話すことすら出来ませんでした。」
救出した警察官、スヴェン・ブージャミンさんはこう話してくれた。
「再会のときは私もグッときました。私が使える道具はサイレンしかなかった。どう使うか?それだけを考えました。」
911オペレーターのリサ・リードさんは…
「完璧なアイデアでした。この仕事はとても誇りを持てる仕事です。誰かの命を助けた時は何千もの電話を受けただけの価値があると実感します。」
ということで、正解は「パトカーのサイレンの音を利用して捜索する」でした。