無良崇人選手 本郷理華選手




  • 女子フリーの結果は:

     四大陸選手権最終日は15日、ソウル・木洞アイスリンクで女子フリーを行い、全日本選手権覇者で、ショートプログラム(SP)首位の宮原知子が今季初めてジャンプで転倒するなど精彩を欠いた演技で116.75点に留まり、合計181.59点の総合2位に終わった。

     宮原と同じ16歳の高校生でSP4位のポリーナ・エドムンズがフリー1位となり、合計184.02点を出して逆転で初優勝を成し遂げた。

     SP3位の本郷理華はフリーでも3位に入り、合計177.44点で総合3位となり、SP7位の永井優香は合計168.09点の総合6位だった。SP2位のグレーシー・ゴールドはジャンプミスを連発して得点を伸ばせずにフリー5位と沈み、合計176.58点の総合4位に終わった。


  •  全日本女王の宮原は四大陸タイトルを狙った。得意の3回転ルッツの単独ジャンプで転倒するなどジャンプミスを連発したことが響き、フリー2位となって同い年のライバル、エドムンズの逆転を許してしまった。

     「ノーミスの演技をしたいと意識し過ぎて緊張した。もう少し思い切ってパワフルにいけたら良かった。完璧にやっていれば優勝できたかなと思うのですごく悔しいです」
     世界にアピールする絶好のチャンスだったが、次の試合で挽回を誓った。

     本郷は「まさか自分がメダルを取れるとは思ってもいなかった。ので、SP後の小さなメダル、フリー後の大きなメダルをもらえてうれしい。今季の目標である合計180点超えについては諦めないで、初めての世界選手権(3月・上海)では思い切って力を出して回転不足などをなくしてクリアしたい。そうすれば、順位はついてくる」と話した。一方の永井優香は「80パーセントくらいは満足している。シニアのトップ選手たちと滑って自信になった」と合格点の出来だった。表彰台を狙う3月初旬の世界ジュニア選手権が今季の締めくくりとなる。


  • 大会総括:

     日本男子は、一人も表彰台に上れなかった。これは2007年以来のことだ。最高位が4位の村上大介、5位が宇野昌磨、昨年覇者の無良崇人は体調不良もあって7位と振るわなかった。日本男子をけん引してきたエース高橋大輔や織田信成が引退したことで、選手層が一気に低下したことは否めない。それにしても、メダルなしという現実は危機感を持たなければいけないかもしれない。ソチ五輪王者の羽生結弦を脅かすくらいの選手の登場が待たれる。そうなることで、切磋琢磨する力が倍増してレベルアップの相乗効果が見込めるからだ。その一番手に名乗りを上げようと急成長ぶりを発揮しているのが、今回シニアの国際大会にデビューしたジュニアの宇野昌磨だった。SPでは自己ベストを更新する88.90点の2位となり、シニアにも通用する力があることを証明してみせた。しかし、フリーではまだジュニアよりも30秒長い4分30秒のプログラムを滑り込んでいないことや、調子を落としていたせいもあって振るわずに総合5位に終わり、表彰台からもこぼれ落ちた。それでも、来季シニアに本格参戦する上で、今季の四大陸選手権を経験できたことは大きかったのではないか。

     4回転サルコーを2本決めてノーミスの演技をしながらも、目標の優勝とまではいかないまでも表彰台にも手が届かなかった村上は、かなりショックを受けていた。SPで6位と出遅れたことが大きく響いたこともあるが、いま一歩の何かが必要なのかもしれない。


  •  女子は世界的に世代交代の時期に入っているようで、今回の四大陸選手権で表彰台に立った3人は全員が10代選手だった。優勝したエドムンズと2位の宮原はともに16歳で、四大陸初出場ながら3位だった本郷は18歳だ。日本女子のもう一人、永井も宮原と同じ16歳。ソチ五輪を境に、18年平昌五輪に向けた世代が一気に台頭してきたことが、今回の四大陸でも顕著だったと言っていいだろう。

     平昌五輪では3回転の連続ジャンプが主流になることは間違いない。それも、3回転ルッツ+3回転トーループや3回転ルッツ+3回転ループ、2回転アクセル+3回転トーループなどの高難度のジャンプ構成を跳ぶ選手が続々と出てくるはずで、さらにそこに大技のトリプルアクセルを組み込まなければ五輪でメダルを取れないハイレベルな戦いが展開しそうな勢いだ。

     宮原、本郷、永井、そしてエドムンズら国内外の10代選手のさらなる活躍が、この四大陸選手権を機に始まろうとしていることは間違いないだろう。新しい武器を求める若い力に今後、期待と注目をしていきたい。

    ■今回のコラムはフリーランス記者の辛仁夏が担当しました。