数々の有力選手を指導する長光歌子さんが
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

vol.26

対談企画 ゲスト:岡部由起子さん

元選手で現在はISU(国際スケート連盟)の技術委員であり、ISU公式大会で審判やテクニカルコントローラーをされている岡部由起子さんにお話を伺いました。

2017.12.14

岡部由起子さん
岡部 由起子(おかべ ゆきこ)
岡部 由起子(おかべ ゆきこ)
元ペアの選手で現在はISU(国際スケート連盟)の技術委員。ISU公式大会で審判やテクニカルコントローラーを行いながら、アジア地域でのフィギュアスケートの普及活動も行っている。

お二人の関係について

私が岡部さんを初めて見たのは、水戸のリンクで全日本ノービス・ジュべナイル選手権があり、選手を連れて行った時です。その時岡部さんは張り切って滑っていてその姿を今でもよく覚えています。(ジュベナイル:ノービスより下の年齢のカテゴリー)

父がアイスリンクを経営していて、全日本選手権のような大きな大会はできなかったのですが、全日本ジュニア選手権やノービス・ジュベナイル選手権レベルの規模の大会は開催をしていました。
歌子先生には私がまだ「ジュベナイル」の頃にご挨拶させていただいたと思いますが、今のように親しくお話しさせていただくようになったのは、私が国際ジャッジになった後、髙橋(大輔)選手が国際大会に出てきてからだと思います。

そうですね。私は岡部さんのことは小さい頃から選手として成長されていく姿をずっと見てきました。それから岡部さんのお姉さまがコーチをされていて、私も親しくさせていただいていたので、彼女の妹である岡部さんのジャッジとして育っていく過程も見ていましたよ。

姉も歌子先生が大好きで、相談に乗っていただいたこともあったそうですね。ありがとうございました。

そう言えば、2シーズン前、全日本ジュニア選手権が水戸の近くであったじゃないですか。その時にお姉さまが受付をされていて本当に久しぶりにお会いしました!凄くうれしかったです。

そうだったんですね!姉も喜んでいると思います!
私と姉にとって歌子先生は、スケートだけでなく人生の大先輩なんです。本当に親しくさせていただいて感謝しかないです。

そんなことはないですよ。私にとっても、岡部さんは細い所まで色々アドバイスをくださいますし、凄く参考になります。例えば滑りのことだけでなく、コスチュームであるとか私たちコーチでは気がつかない部分もアドバイスくださり本当に助かっています。

私はビシバシ思ったことを言ってしまう性格でして…。おこがましくてすいません…。

いえいえ。ありがたく思っています。

とにかく選手が良い演技をしてくれることが好きなんです。選手たちを応援したい気持ちです。

選手側に立って熱い気持ちで見てくれているのをいつも強く感じます。

お二人の思い出

海外の試合で一緒になった時は、試合の後でよくお話をしましたよね。「あそこの化粧品売り場のアレが良かった」とか…。とても参考にさせてもらいましたよ(笑)。

女子会トークですよね(笑)

試合前や試合中はお互い良い距離感を保ってご挨拶するくらいですが、試合後はみんなでお食事をご一緒しましたよね。

そうですね。よく覚えているのが歌子先生や、髙橋選手や浅田(真央)選手と打ち上げで焼肉を食べた時のことです。髙橋選手に「よく食べるわね。」と言ったら彼に「岡部さん、歳とったらお肉食べないとダメなんですよ!」って。私「はい、わかりました。」って答えました(笑)。

そうなんですか!大輔、失礼なことを…(笑)!

でも彼の言う通りなんですよ。歳をとったらお肉を食べないと…。なんですよね。

元気なお年寄りはみんなお肉を食べていますよね!

技術委員を始めたきっかけ

岡部さんが技術委員を目指したきっかけは何だったのですか?

スケートの選手は大抵そうだと思うのですが、私も幼い頃からずっとスケートをやってきて学校とリンクの往復のような生活でした。そんな中で引退したら他の世界も見てみたいなと思うようになりました。ただスケートが大好きだったので、どうしてもスケートに関わっていく事もしたかったのです。それでジャッジになることを目指しました。

コーチになりたいという気持ちはなかったのですか?

私は、コーチにはなれなかったと思います。コーチはもの凄く忍耐が必要なお仕事ですよね。その忍耐に耐えられる自信が無かったのです。

確かに忍耐は必要ですね!

素敵なスケーターを育ててみたいという想いが0だったわけではありませんが、今は違う形で作品を作り上げていくお手伝いをさせていただいているので、楽しいです。

色々な人がそれぞれの立場で携わって一つの作品を作り上げていくのは本当に楽しいですよね。私もチームで色々なコーチの方と生徒たちを教えているのですが、みんなで作品を作り上げるというのはとても良いことだと思っています。

はい、素晴らしいことだと思っています。私が言うまでもないことですが、コーチが選手について大会などに出かけている間に、代わりのチームコーチの方が残った選手の練習を見てくれることは、もちろん良いことです。ただそれだけではなく人間一人の能力には限りがありますから、違う目線や考え方、携わり方で、選手が苦しんでいる時に別のコーチがパッと光を与えてくれることがあるかと思います。関西ではチーム制を組んでいるところが多いと思いますが、それが強さの要因ではないかと思うことがあります。

チームの力というのは大きいですよね。私は一人ではコーチはできないと思っています。誰かが強く怒った時に、誰かがフォローしてくれるという状況があるというのは良い事だと思いますね。

長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)