NONFIX過去放送した番組

31歳でインドに渡って以来、約40年間、一度も日本に帰らず布教活動を続ける日本人僧がいる。彼の名は、佐々井秀嶺(ささい・しゅうれい・74歳)、インド名アーリア・ナーガルジュン。仏教誕生の地インドで、1億人ともいわれる信者を擁する仏教徒のリーダーである。

□インド仏教の頂点に立つ男、佐々井秀嶺

佐々井氏は、「インド仏教の父」と呼ばれた故アンベードカル博士の後継者として、仏教の復興と不可触民の解放に人生を捧げてきた。

アンベードカル博士は、カースト制度にも入らない最下層の不可触民階層出身でありながら、差別と闘い、独立後のインド初代法務大臣になった人物。不可触民を差別から解放するため、1956年に、インド・ナグプールで50万人の不可触民とともに仏教への集団改宗を行った。しかし翌年アンベードカルは亡くなり、ナグプールの仏教徒たちはリーダーを失ってしまう。

そして、その12年後にインドにやってきた佐々井氏。彼は、アンベードカル博士の偉業に感銘を受け、以後、貧困に苦しむ仏教徒たちを救うことを自らの菩薩道と信じ、ナグプールを拠点に、仏教徒の社会的向上に尽力してきた。彼らと生活を共にし、断食、辻説法、政府への陳情など、命がけの活動を続けていくうちに、佐々井氏は、インド仏教徒の尊敬を一身に集める存在となっていった。2002年には、インド政府からマイノリティー・コミッション(インド少数宗教委員会)の代表に任命され、名実ともに、インド仏教界のリーダーとして広く知れ渡るようになった。

□44年ぶりの帰郷

自らの使命を果たすまで日本には帰らないと語っていた佐々井が、この4月、突然日本に帰ってきた。1965年、29歳の時に日本を出て以来、実に44年ぶりの帰国である。佐々井氏は、なぜ今、帰国を決めたのだろうか。そして、インドで菩薩道に邁進してきた佐々井秀嶺は、現代の日本を見て何を感じ、何を語るのか…。

番組では、佐々井氏が日本に滞在した2か月間を密着取材し、2004年12月28日に放送した同氏のドキュメンタリーNONFIX「男一代菩薩道」の続編として放送する。

『男一代菩薩道~インド仏教の頂点に立つ男~』 >>