NONFIX過去放送した番組

4歳になったばかりのゆうすけ君を突然襲った病気。
それは、100万人に1人が発症するという子どもの肝臓がん・肝芽腫(かんがしゅ)。
余命1年の宣告。そして、母から息子への肝臓移植。
退院の喜びも束の間、肺への転移が見つかり、医師からは信じられない言葉が…
「2年以内の生存率は、0%」
小さなゆうすけ君とお母さんが、壮絶ながんとの闘いの末に見た「光」とは?
これは、母と子の絆が生んだ《奇跡の物語》です。


“余命1年”4歳のゆうすけ君を襲った病い

兵庫県に住む、川口ゆうすけ君は、やさしいお父さんとお母さん、そして兄弟たちと仲良く楽しい毎日を過ごしていました。しかし、4歳の誕生日を過ぎた頃、誰も予想しなかった不幸が、ゆうすけ君を襲います。こどもの肝臓がん、肝芽腫。両親に医師が告げたのは“余命1年”という信じがたい言葉でした。

持ち前の明るさで、闘病生活を続けるゆうすけ君とお母さんの間では、肝臓のがん細胞のことを「お腹のムシさん」と呼ぶようになり、「お腹のムシさん、やっつけような!」というのが、合い言葉になっていました。

しかし、副作用に苦しんだ抗がん剤治療も、なかなか効果が現れず、ついに、お母さんの吉代さんからの肝臓移植に踏み切ります。10時間を越える大手術の末、移植は無事に終わりましたが、ゆうすけ君の小さなお腹には手術のため、大きな傷跡が出来ました。そして、お母さんもまた、同じ場所に傷跡が…。術後の回復も良好で、ゆうすけ君は元気に退院して、家に帰ることが出来ました。


パッチ・アダムスさんとの出会い

余命1年の宣告の後、明日の見えない毎日を過ごすお母さんとゆうすけ君の前に、突然現れたのが、パッチ・アダムスさんでした。パッチさんは、ゆうすけ君のような重い病の子供たちがいる病院にピエロの姿で現れ、笑いやユーモアで心と体を癒すという「ホスピタルクラウン」を実践して世界中を周っている医師です。 希望を失いかけていたお母さん。そして、トレードマークの笑顔がなくなっていたゆうすけ君を“笑顔”にしてくれたパッチさん。パッチさんとの出会いは、お母さんとゆうすけ君の心に大きな大きな「希望」をもたらしました。


まさかの“転移”、そして「生存率0%」の宣告

喜びも束の間…その数ヶ月後の検査で、がんが肺へ転移していることが判明します。医師からは「過去にがんが転移し、2年以上生存した患者はゼロ」つまり「生存率0%」だと告げられます…。最後の治療として選ばれたのが、移植後、再発したケースで試みられるのは世界でも初めてという“自家末梢血幹細胞移植”と通常の抗がん剤の10倍の量で致死量にも値するという“大量抗がん剤の投与”でした。ゆうすけ君の小さな体は、誰も経験したことのない過酷な治療に耐えられるのでしょうか…。


■語り
藤田麻衣子(劇団民藝)
■制作協力
オルタスジャパン
■プロデューサー
戸田有司
■ディレクター
山田貴光
■取材
井上友加利