2009年3月28日(土) 02:33~03:33 放送(2009年3月27日(金) 26:33~27:33 放送)
去年のクリスマス。全国20箇所で、生活保護の電話相談が行われた。かかってきた電話は、2万本。そのほとんどが、派遣切りされ、路頭に迷っている人々からだった。100年に1度といわれる不況の中、職と住居を同時に失う非正規労働者が急増している。そんな中、「最後のセーフティネット」生活保護は、再生への助けとなるのか。派遣切りが最も多い愛知県で、ある家族を追った。
愛知県岡崎市の自動車部品組立工場で派遣労働者として働いていた有村健さん(仮名・22)は、去年末、派遣会社から、突然「派遣切り」され、3日後に寮を出て行くよう言い渡された。有村さんは、妊娠中の妻、2歳と4歳の娘を抱えていた。奥さんは、ショックで流産、寝込んでしまう。それでも、派遣会社の社員は、連日押しかけ、寮から出て行くよう、容赦なく迫る。このままでは、親子4人路頭に迷うことになる…有村さんは、岡崎市役所に駆け込み、生活保護を申請した。果たして、生活保護は認められるのか。そして、生活を立て直すことができるのか。
一方、岡崎市役所の生活保護課の窓口は、申請者でごった返していた。岡崎市には、自動車、家電など大メーカーの工場が集中、全国から大量の派遣労働者がやってきていた。有村さんのように仕事と家を同時に失った労働者が、殺到しているのだ。
生活保護のケースワーカーとなって1年目の伊藤亮さん(27歳)。申請の受付から保護費の支給、自立の支援まで行わなければならない。生活保護には、「派遣切り」以外にも様々な理由で生活に困窮した人々が舞い込んでくる。刑務所を出たばかりで仕事のない人、心中した親の借金を抱え生活ができなくなった人、病気で仕事を失った人…一人一人の事情を鑑みながら自立する道を探っていく。深夜、市役所の中で、生活保護課だけは、灯がついていた。朝から夜中まで忙殺されるケースワーカーの仕事を追う。