NONFIX過去放送した番組

1944年(昭和19年)秋―
圧倒的な武力で勝利目前だったアメリカを震撼させた、日本の『極秘作戦』があった。
日本にとって「最後の秘密兵器」が、アメリカ本土を攻撃することに成功したのだ。
原子爆弾を製造していたワシントン州では工場を停電させ、作業を遅らせることに成功。
オレゴン州では、6人の犠牲者を出した…

その秘密兵器とは…
直径10m、和紙とコンニャク糊で出来た奇想天外な新兵器「風船爆弾」。
米軍は500機の航空機が迎撃に向かうも打ち落とせたのは、わずか2個。
敗戦間近…追い詰められた日本のこの作戦は、「ふ号作戦」と呼ばれた…
そして、その極秘任務を遂行していたのは、なんと日本全国の女学校の生徒たちだった。
男子が戦地に向かい、残った労働力は少女たちしかいない…
ある日、学び舎は、「軍需工場」となった。



10代前半の少女たちは、ただ日本の勝利を信じて、来る日も来る日も、和紙をすき、糊をつけ、アメリカを攻撃するための「紙風船」を製造した。
家族にさえ、絶対に口外できない日本の命運を握る極秘の任務。

そして、次第に戦況は悪化…
少女たちの町を爆弾が襲う。空襲の猛火の中を家族と散り散りに逃げ惑う。
学校は焼け落ち、共に風船爆弾を作った友を失った…
戦争に敗れ、味わった忘れがたい失望と喪失感。

当時、「風船爆弾」を製造した前橋女学校の女学生たちは、歌を歌い、お互いを励ましていた。
そして彼女たちは「喜寿」を迎えた今も、歌で繋がっている。
卒業後に結成した合唱サークル「さんごの会」。
メンバーは、あの頃の女学生の気持ちを忘れず友情を温めあう。


2008年夏、群馬県で開催された「全国高等学校総合文化祭」。
総勢160人、県立前橋女子高等学校・音楽部が演じたのは、オリジナル・ミュージカル「灰になった街」。
物語は、今から60年以上前、前橋女学校の先輩たちが、体験した知られざる過去。
親でさえ戦争を知らない現代の女子高生たちが自分たちの暮らす街で起きた悲劇を歌った。
現役高校生たちの公演を観た当時の女学生たちは、改めて青春時代を振り返る…

■演出
田中剛
■撮影
町井由佳
■編集
目見田健
■プロデューサー
中津留誠(アニマ21)
■構成・プロデュース
西村陽次郎