NONFIX過去放送した番組

売り手市場の就職活動の中、自分の将来の目標が見つからない学生が増えています。
そんな中、大阪にある関西大学商学部には、ある名物ゼミがあります。それは「中国工場研修」。
研修は“世界の工場”と名高い中国・深圳の工場で、誰も付き添いも無く学生たちで、中国の労働者と一緒に働き、共に暮らすことにより「働くことの意味を」を学び取るものです。
今回で8年目を迎え、2週間に亘る研修に参加するのは、「自分がやりたいことは何か?それを中国で見つけたいと考える」リーダー格の廣山みどりさん。「二十歳になっても自立できないと悩む」ムードメーカーの廣田さえ子さん。「人とうまく付き合えない自分を変えたい」唯一の男性、下向井稔史君(通称ソウゴ)ら7人です。


  • 廣山みどりさん

  • 廣田さえ子さん

  • 下向井稔史君


香港から電車や車を乗り継いで3時間。着いた先は、深圳郊外のテクノセンター。ここは、50あまりの日系企業が集まり半導体などの精密機器を作る一大工業団地です。4000人もの「ワーカー」と呼ばれる中国人労働者の中に放り込まれた7人は…。



泊まる寮は、一部屋20畳ほどの広さに二段ベッドが並び16人が暮らします。自分のスペースは、ベッドのみ。日本の生活では、考えられない暮らしです。食事も「ワーカー」と同じ食堂で食べますが、バケツから支給される具の無いスープに固いご飯。学生たちは「農薬入りギョーザ問題」が頭から離れず、箸が進みません。

2週間の研修中、仕事は自分たちで探すのが原則です。本部で日本人スタッフの紹介のもと自分で工場へアポを取り仕事を見つけます。
仕事は、「ワーカー」と同じ生産ラインの一員に加わるがこれが想像以上にきつい。
「ワーカー」たちのほとんどは、中国内陸部の農村から出稼ぎに来た10代から20代の若い女性たちです。日本円で「時給60円」で働き、給料のほとんどを田舎の両親に仕送りしています。しかし一緒に働くワーカーたちの表情は、何故かいつも明るいのです。
工場の前には、毎朝行列が出来ます。仕事を求めて何百キロも離れた農村から面接にやってくるのです。学生たちにとって自分と同世代や年下の女性たちが、家族のため…、生きるため…、出稼ぎしなければない現実を目の当たりにし驚くばかりです。

「働くことへの意味」を見出せない学生たちが、中国の人々と一緒に働き、寝食を共にし、どう変わっていくのか…。