NONFIX過去放送した番組

湘南の海を臨む神奈川県横須賀市の久里浜少年院。
ここでは93年に初めて国際科を設け、外国籍の少年たちを受け入れている。
現在はブラジル人17名、ボリビア、フィリピン、中国各1名の計20名が在籍する。
親との住まいは愛知、群馬、静岡などの工業地帯、いわゆる「ブラジル人町」から来た日系3、4世が多数を占める。

なぜ彼らは犯罪や非行に走ったのか? その背景には、移民にとって厳しい日本社会の構図が見えてくる。両親に連れられてきた彼らの受け入れ先は学校や地域社会。しかし言葉の壁が大きく立ちはだかる。母国では成績優秀でも、日本語の授業についてゆけず登校拒否になり、あげく非行に走る子も多い。日本の公立学校では、少数の外国人生徒のために対応しきれていないのが現実だ。

コミュニケーションギャップから孤立を深めていく少年たちは、やがて日本社会に怒りの矛先を向けるようになってしまう…現在、日本語指導を必要とする外国籍少年は2万人を超え、その数は増加するばかりである。

久里浜少年院では、社会から孤立した少年たちの更生のため、レベルに応じた日本語教育が行われている。「人間社会で言葉がいかに大きな意味を持つか」「褒められることがいかに自信につながるか」を教え、彼らの社会への適応能力を日本語教育を通して育成する試みである。

番組では、国際科の少年たちの日常に密着し、その背景や転落の理由を検証するとともに、地域の中のブラジル人取材から、日本社会の中で彼らのおかれた現実を浮き彫りにする。