NONFIX過去放送した番組

 2005年10月17日、小泉首相が靖国神社に参拝して平和を祈念した朝、隣の中国は熱狂に包まれていた。有人宇宙飛行を実現させた「神舟6号」が、飛行士の聶海勝(41)と費俊竜(40)を乗せ、無事帰還したのだった。
 一昨年、「神舟5号」が初めて有人宇宙飛行に成功した時、日本の科学者・技術者の中には「ロシアのソユーズを模倣したもので、大した成果ではない」と、過小評価する姿勢が見られた。
 しかし、「神舟6号」の成功はそんな日本の科学者たちを青ざめさせた。神舟の技術がすでにソユーズを上回っていることが明らかになったのだ。2年後には3人の飛行士が乗り込み宇宙遊泳を行う。8号以降は宇宙ステーション建設に着手し、2020年には月に有人飛行を敢行、月面基地を建設する。一連の計画は、十分実現性のあることを予見させる。それが、中国の国民を熱狂させ、団結をもたらしているのだ。

 「今の日本が、中国の技術に追いつくには15年かかる」
 宇宙工学アナリスト中富信夫はこう断言する。

 日本の現状はどうか? 2005年11月26日、宇宙科学研究本部JAXAは、探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワに金属弾を打ち込み、岩石回収成功と発表した。しかし、その後「実際は撃てていなかった」「帰還の時期も3年遅らせる」などと、あたかも失敗隠しに躍起になっているように見える。
 そもそも、日本は宇宙開発の目標をどこにおいているのかさえ定かでない。
 そればかりではない、人民解放軍が主体となって推し進めている中国の宇宙開発には明確な軍事目標がある。日本やアメリカなど潜在的敵国の軍事施設を宇宙から電波・光学両面から監視する任務である。神舟6号の軌道船は、帰還船から切り離されたあとも半年間に渡って地球を周回し、搭載した高性能デジタルカメラで偵察を続ける。宇宙ステーションが建設されれば、常時監視体制が確立されることになる。中国が観測ポイントとしている南太平洋の小国キリバスは、日本の最先端ミサイル防衛システムを監視するには絶好の地だという。
 日本の宇宙開発は、平和・軍事両面から完全に中国に立ち遅れている。番組では、この現状を描き、警鐘をならす。