NONFIX過去放送した番組

【番組概要】

太平洋戦争から60年、日本では「戦争」そのものが風化しつつある今日、未だにその記憶を引き継ぎ、大切にしている人々が異国の地に存在する。
場所はフィリピン・マバラカット市。
昭和19年10月25日、マバラカットより神風特攻隊の第一陣が初出撃を行った。

1571年のスペイン統治から始まり、1898年のアメリカ統治、と他国に支配されてきたフィリピン。それは蹂躙の歴史でもあった。
しかし、1942年に始まった日本軍の軍政は違い、マバラカットの人々は尊重され、子供などは特攻隊員に非常に可愛がられた、とディソン氏は語る。
そのディソン氏は15歳のときに大西中将・関大尉に可愛がられた思い出を持つ。
特攻隊員たちは「死」から逃れられない運命を享受しつつ、生活を共にすることになったフィリピン・マバラカットの人々を守ることにも力を注いだのだと。
マバラカットの人々にとって彼らは英雄であった。

それは、マバラカットの人々にとっては現在でも忘れることができない出来事であり、今日に至っても決して裕福とはいえない生活事情の中から少しずつお金を出し、長い時間をかけて慰霊碑・鳥居などを作りあげている。

今回、その中に新たなモニュメントが加えられる。それは神風特攻隊員の像。
その顔はなんと俳優「今井雅之」の顔。
像の製作に関わる人々は、わざわざ日本まで来日し、今井の写真を持ち帰った。
マバラカット市長からの招待状を置いて。

なぜ「今井雅之」なのか。
理由は今井が13年間公演を続けてきた舞台「Winds of God」にあった。
「Winds of God」は戦争の悲劇・悲しみを伝えるコメディタッチの劇である。
脚本は今井本人が手がけ、日本は元よりロンドン・ニューヨークなど海外でも公演され、ブロードウェイなどではアジア系初のロングランに成功しており、ニューヨークタイムスでも紹介された。

その記事は今井のファンである日本人の手によってフィリピンへ持ち込まれる。

マバラカットの喫茶店に貼られた記事を目にしたのがモニュメント製作関係者であった。

製作関係者は「Winds of God」のビデオを入手、内容が戦争の悲しみを、戦争の愚かさを伝えるものであり、「平和への願い」をモニュメントにしたいという銅像製作者の考えに一致したうえ、亡き特攻隊員たちへの思いも伝えられる。
特攻隊員の姿をした今井の像の製作が決まった。


2004年10月25日、特攻隊員が初めて出撃した日、銅像の序幕セレモニーが行われ、俳優「今井雅之」は、自分の顔を持つ特攻隊員の像を目にすることになる。


■ 出演 今井雅之
■ プロデューサー 高橋 匠
吉田 豪(フジテレビ)
■ ディレクター 青木秀博
■ アシスタントディレクター 木田圭亮
■ カメラマン 小松 淳
■ VE 榧下智之
■ 制作会社 アクロスザユニバース