NONFIX過去放送した番組

【企画意図】

2004年7月16日、ある法律が施行されました。
その法律とは、「性同一性障害特例法」。ある一定条件の下で性同一性障害の患者が、出生した戸籍を別の性に変更できるというものです。自分の戸籍と心や体との間に強いアイデンティティー障害のある、性同一性障害を巡っての状況は、ここ数年で急速に変化してきました。
性同一性障害とは、<心の性と、体の性が一致しない状態>で、例えば、男性の体で生まれてきても、心は女性で、女性になりたいと思い、ときには、ホルモン療法や手術によって、体も女性になろうとしたりする人々のことです。
医療の世界でも、長い間タブー視されてきた「性別適合手術」(性転換手術)が、1998年以降、公に実施され、それに呼応する形で、昨年、この法案が成立しました。
長い間、この動きを待ち望んでいた人々がいます。
何とか、「自分にとって普通に暮らしたい!」と感じている性同一障害の人々。現在、日本には2,000人~7,000人いると見られています。しかし、この法律、“その立場”に立ってみると、問題も多いようです。
番組では、法律施行に伴い、戸籍変更するための手続きを踏もうとする、性同一性障害の人々が体験する、挑戦や困難、戸惑いを見つめ、現代日本における、「家族と性」のあり方を改めて問いかけます。
法律は、3年間の実施期間を経て、見直されるということになっています。医療と、法整備と、社会的な慣習と…。
この日本で、性とは? 家族とは? どこを向いて築かれて行くのでしょうか?

【番組内容】

○ Aさん(24歳)

5年前、闇の病院でホルモン治療と手術を受け、女性の体になったAさん。性同一性障害のことを隠し、女性としてキャバクラで働きながらタレントとしても活動してきた。あるテレビ番組の取材で、性同一性障害であることがわかり、友達や店のお客たちが離れていったという。
当初、放送のために取材を続けてきたAさんから、ある日、放送を見合わせてほしいとの連絡が…。気持ちが変わった理由は、果たして?

○ 虎井まさ衛(40歳)

「今度こそ、男の戸籍を取得できる」。彼は、過去に何度も「男の戸籍をください」と裁判所に申し立てをし、却下され続けてきた。今回、男の戸籍を取得できたとしたら、長年の夢がかなう…。
彼の性同一性障害の原因は、母の胎内にいた時、母が使用した流産防止剤によるものだという。女性でいることに違和感が強く、「性同一性障害」という言葉もない頃、アメリカで女性から男性への性別適合手術を受け、15年になる。しかし、戸籍の変更ができないことで、家を借りるとき、就職のとき、外見と戸籍の性が違うことで様々な軋轢が生じてきた。
アメリカから手術を終えて帰り、当事者たちのための、ミニコミ誌「FTM日本」を発行。これは、みんなの“よりどころ”となった。そして、今年8月、FTM日本創刊10周年を祝うイベントが開催された…。

■ プロデューサー 福田晴雄(アライブ)
新井英夫(エイコークリエイティブ)
吉田 豪(フジテレビ)
■ ディレクター 古市礼子(アライブ)
■ 制作 フジテレビ
エイコークリエイティブ