今、父親たちが消えていく…。
平成13年の1年間に日本国内で約10万人が失踪し、3万1042人が自殺している。毎年増え続けるその数字に、新聞やテレビが異常事態を告げるようになって久しい。
さらに失踪した人のうち1万5000人が、また自殺した人の中の1万4000人が50代~60代の男性だいう。
高度経済成長を支え続けた日本の父親たちの間で一体何が起きているというのだろうか…?
5月31日(土)深夜28:30~29:30放送のNONFIX『今おまえに伝えたいこと』は、不況、リストラ、失業など、高度経済成長を支え続け、明るい未来を夢見て働き続けてきた父親たちに突きつけられるさまざまな問題に直面した時に初めて見えてくる“父親”の人間性に迫る。
私(ディレクター野溝友也)は6年前に“父親の失踪”を経験した。事業に失敗し、多額の借金を抱えていた父は、家族に相談もせず、1本のカセットテープだけを残して家を出た。
『もう、限界です。今から山に入ります。探しても無駄です…』
当時、大学院に通っていた私は、父の悩みや苦しみを何も知らなかった。父がどんな人間だったのかも、何も知らなかった。
家族は必死になって父を探した。幸い父は死を選ぶことなく6日目に保護された。それ以来、父は掃除の仕事でコツコツと借金を返し続けている。家族に、親戚に、そして友人に対して『申し訳けない』と頭を下げながら。
私は今でも父のことを何も知らない。父がどんな仕事をしていたのか? なぜ事業に失敗したのか? どんな思いで家を出たのか? これからどう生きて行こうとしているのか…?
私は、父親のことを“取材”してみようと思った。私が一番知らなければならないこと。それは父親のことであり、自分の家族だと思った。“取材”を通して家族とは何か?を考え続けている。