NONFIX過去放送した番組

 ピカソ,ゴッホ...世界の名作と呼ばれる絵画の展覧会が、この不景気の時代にも日本のどこかの美術館で開かれています。多くの日本人は、≪世界的に有名な名作≫を、列を作ってまで見ようとするのですが、そうした名作が調査・保管・維持されてきた背景にまで目を向けている人はなかなかいません。 しかしながら、実際の作品がどのような人や過程を経て展覧会に陳列されるのかを知るとそれを見る目は俄然変わってくるのです。
 この番組では、絵画修復家,美術館学芸員,額装師という、名作絵画に携わる人たちを通して、実にスリリングで探偵的とも言える彼らの仕事を浮き彫りにしていきます。

山領まりさん

山領まりさん


修復家1

修復家

絵画修復家

なぜ画家にならず修復家の道を歩もうとしたのか。修復の大家である山領まりさんは次のように語ります。
「画家には意外と自分自身の作品にしか興味がない人が多い。でも修復家は誰のものでも美術作品そのものが好きなんです。そして昔は手の届かない場所にあった作品の傷みを自分の技術を駆使してオリジナルの状態に戻す、そのことに喜びを感じるのです。」

美術館学芸員

世田谷美術館の学芸員・橋本善八さんは、世田谷区内で亡くなった画家の膨大な作品やメモからその人の歴史を丹念に調査していきます。
「画家が生前友人と電話で話している時などに何気なくそこにあった広告の切れ端に描いたと思われる物が、意外とその人の歴史を解き明かすことになったりもするので、この仕事はやめられません。」

額装師

親子二代に渡って浦和の古びた木造工房で多くの大家の作品のために額縁を作ってきた太田素信さん。素材から自分の工房で吟味するこの世界の草分け的存在として≪額縁の展覧会≫を開いたこともあります。
「作品を額縁が殺してしまっては何にもならない。規則正しく美しい幾何学模様の額はかえってその主張が強くなって作品が霞んでしまうことがある。作品との関係の微妙なニュアンスにいつも苦しみます。」

番組ではさらに現代美術の大家・草間弥生が作家の側からの思いを語り、映画監督でありヴィジュアリストでもある手塚 眞が、父・手塚治虫へのオマージュを込めて、『ブラックジャック』の原画を太田さんに額装してもらうというコラボレーションを盛り込んでいきます。

ナレーションを美術の世界をたくさん歌詞に取り入れてきた歌手・大貫妙子がつとめ、美術作品というものへの視聴者の今までとは全く違う興味を喚起していきます。

■プロデューサー
藤原 努
■ディレクター
原 佳弘
■制作
ホリプロ
フジテレビ