NONFIX過去放送した番組

犬の老いは人の老いによく似ています。つまり“老犬問題”があるわけです。
これは、老いた犬を介護する老夫婦を、1年間追い続けたドキュメンタリーです。

高齢化する犬たち

散歩に出る玉林さんとコロ

散歩に出る玉林さんとコロ

 かつて犬は10年生きれば長生きと言われた。しかし、犬を丁寧に扱う飼い主が多くなり、感染症の 減少もあって、現在では平均寿命が約10歳となり、15年、20年と長生きする犬もまれではなくなった。

老犬問題

 寝たきり、ぼけ、床ずれ、視力聴力の低下・・・。犬も人間と同じような 老いの症状があらわれ、 介護が必要になってくる。しかし、犬にはデイケアやホームヘルパーなどの福祉はなく、飼い主だけで 介護しなければならない。老犬が増えるにつれ、老いの介護に苦しむ家族が増えてきているのだ。


介護する玉林さんとコロ

介護する玉林さんとコロ

柴犬のコロ、16歳

 子供たちが独立し、2人だけになった玉林さん夫妻(夫・勝太郎さん76歳、妻・静子さん71歳)は 、寂しさを埋め合わせるため、生まれたばかりの柴犬、コロを飼い始めた。それから16年が過ぎ、玉 林さん夫妻は、老いた飼い犬の介護に直面した。
 コロは足腰が衰え、次第に歩けなくなってきた。玉林さんは、一日でも長 く歩かせたいと、コロを 台車に乗せて散歩に連れて行くように心掛けた。しかし、心臓機能の衰えから、ある日、激しい発作を 起こしてしまい、
完全な寝たきり状態になってしまった。

飼い犬を介護する日々

流動食を食べさせてもらうコロ

流動食を食べさせてもらうコロ

 コロは、固形物が食べられず、全て流動食にしてやらねばならない。糞尿も垂れ流しになり、常に清 潔にしてやらねばならない。床ずれを防ぐため、一定時間おきに寝返りをさせてやらねばならない。何 か用事があるときは、深夜でも鳴くため、夜も介護を休めない。  獣医は、「飼い主が支えられる限りがんばってほしい」と言う。「犬も思い通りに動かない自らの体 に不安を感じている。その不安を癒してやれるのは、犬が最も信頼している飼い主しかいない」と。

老犬介護の現実

 しかし、介護の負担があまりにも重く、家族で支えきれなくなり、安楽死を依頼する飼い主も少なく ない。取材で訪れた行政の動物処分場には、飼い主から捨てられた10歳以上の老犬の姿が多数見られ た。

犬を飼うということ

 エサを与え、可愛いと頭を撫でてやるだけでは、犬を飼うということにはならない。犬が本当に家族 の力を必要としているときこそ、犬を飼うことの本当の意味が問われることになる。
玉林さん夫婦は、どこまでコロの老いを支えるのか?
これは、飼い犬の老いを懸命に支え続けた介護の記録である。

■プロデューサー
岸 善幸
■ディレクター
池田雅之
■制作
フジテレビ
テレビマンユニオン