#138 スタッフからのメッセージ
■今回の取材先への移動は、隣町まで行こうとちょっと車を走らせると必ずくねくねとした山道を通っての移動となりました。道は舗装されていますが、ガードレールなどは無く、すぐ横は崖、といった感じの道がどこまでも続きます。山を登れば登るほど、道がくねくねと曲がり、慣れていないと少々気持が悪くなる…。対向車とすれ違うにもギリギリで、ふと崖の下の方に目をやると、助かったのか?と思わずツッコミたくなるようなぐちゃぐちゃの車が転げ落ちていたりと、毎回とてもスリリングな移動でした。そしてそんなデンジャラスな道の途中にはのん気に牛や馬や羊が普通に歩いているのです。車を恐れる事も無く、避ける事も無く、道端の草を食べている牛達…。フランス本土では見かけない光景に驚き、「これって野生なんですか?」と質問したところ、現地のスタッフは「いや、飼い主がほっといてるだけ。こんなのはここではよく見る光景だよ」とのこと。何とも寛大な、いや、面倒くさがりなだけなのか…。車はこの子達を避けようとして落ちたのではないか?などといらない想像をしていました。
ともあれ、無事に山道を登っていくと段々と霧が深くなってきました。それは何とも神秘的な光景で映画にでも出てきそうな雰囲気。道を登りきる頃には小さな集落が霧の中からうっすらと浮かび上がってくるのです。このピアネッルという町は人口20人に満たない小さな町。昔はもっと多くの人々が住んでいたのですが過疎化が進み、今ではこの人数がひっそりと住んでいます。そして、ここで自給自足に近い生活を送っているのです。ここでは野菜の他に生ハムなども各家庭で作っており、その味はとにかく美味いの一言。売り物にしてもいいのでは?と思いましたが、もしかしたら美味しすぎて売り物にはしないのかもしれません。私だったらそうするような気がして…。
ところで、今回紹介した料理は実はイタリアにもある料理で、同じように残ったスープを次の日においしく食べるというおばあちゃんの知恵的な料理法がこの島にもあったのでびっくりしたのです。しかし、コルシカ島というのは、殆どの地域でイタリア色を強く感じます。もともとイタリア領だった訳ですからそれも当たり前の話なのですが…。この「スッパ・ディ・ケブージュ」の「スッパ」はコルシカ語で「スープ」の意味。同じ「スープ」はイタリア語で「ズッパ」といいます。フランス語ではそのまま「スープ」と表記しますから、やはりイタリアの影響を受けているのでしょうか。ともあれ、どこの地域でも毎日の生活の中でお母さん、おばあちゃんの暖かい日々の工夫はあるものなのですね。

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