#137 スタッフからのメッセージ
■フランス本土ではバスクやピカルディなどで豚を紹介して来ましたが、今回のこのコルシカの豚はそこで出会った事の無いような、正直言って可愛らしいとは言い難い豚でした。何とも外見が強面といいますか、ごつい黒豚。体が大きく、垂れた耳に尖った鼻が特徴で一見猪のような出で立ち。きっと暗闇で出会ったら猪と間違えてしまうのではないでしょうか。その上、10ヘクタールの起伏の激しい山の中で放し飼いにされ、エサも殆ど森の中にある木の実や栗など自然のものを食べるという、言わば野生状態でのびのび、すくすく育つのです。通常普通の豚は6ヶ月ほど育てて食べるところをコルシカ豚は18ヶ月という歳月をかけて育てます。すると、長期間自然のエサを食べて野山を駆け回ったコルシカ豚は肉が締まって脂身の少ない上品な味となるのだそうです。島の中では小さな町の雑貨屋の店先にも常にコルシカ豚の生ハムやソーセージが置いてあるのですが、フランス本土では殆ど手に入らないとのこと。まさにコルシカ島でしか味わえない一品。
さて、実は今回の取材は、余り天候に恵まれず、ちょっと雨の多い取材となりました。このコルシカ豚の取材の時も、しとしとと雨が降り続いていました。特に山の中での取材だったため急斜面の岩肌がつるつる滑り、雨が滝のように斜面を流れ落ち、長靴無しではどうにも豚に近づけない状況。しかし、それと反してコルシカ豚達は元気に走り回り、山の斜面を行ったり来たり。右往左往しているスタッフは泥濘にはまって動けなくなり、更にそれを助けに行ったスタッフもはまって動けなくなり…。その真横を通り過ぎる豚達。何だか漫画のようなひとコマでした。
さて、フィガデッルは今では工場で作られるようになり、島を代表する味となった訳ですが、元々は16世紀頃イタリアやスペインの腸詰が持ち込まれたのが始まりで、当時は山羊の肉で作っていました。長期間保存するために蜂蜜などを入れていたのだそうです。それが段々とコルシカ島の人々によって手に入りやすく食べやすいコルシカ豚の内臓でソーセージが作られ始めたのです。番組で紹介したように、火でじっくり炙って肉汁を出し、そのままパンに挟んで食べるのも勿論ですが、フィガデッルを使った料理は数多く、煮込み料理にしたり、付け合せにしたりと様々。その味は思ったほど血なまぐさくなく、肉の旨みが凝縮されたもので、とても美味。他の生ハムやサラミもとても美味しく、帰りがけにお店のご主人に土産として色々と包んで貰ったのですが、スタッフは車内であっという間に食べてしまいました。日本に持ち込めないのがとても残念。しかし、こうして現地で味わうからこそ、その味わいに感動するんじゃないか…とも思いました。

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