#135 スタッフからのメッセージ
■コルティという町は、ガイドブック等では「コルト」と表記されています。しかし私達は今回、コルシカ島を取材するに当たって「折角だからコルシカ語で統一しよう」という話になり、全ての地名、料理名等を出来るだけコルシカ語で表記しています。なので、「コルト」も「コルティ」となるわけです。島の方々はフランス語とイタリア語とコルシカ語を操る方が殆どでした。中でもコルシカ語はイタリア語に近く、イタリア語を話せるコーディネーターはイタリア語で島の方々と会話をしていました。そして、フランス語を話すカメラマンは「ここってフランス?何語かさっぱりわからない」と話していました。日本語しか話せない私は全然違うものなのか、と思ってその話を聞いていました。もともとコルシカ島はイタリアのジェノバ領だった訳ですから、島の言葉はイタリア語訛りに近いのも頷ける話です。しかし、コルシカ島では現在コルシカ語が失われつつあるということで、若い世代はコルシカ語が話せなくなってきているそうです。そこで島では学校でコルシカ語の授業を設け始めたのだとか。是非この言葉は伝え続けていって欲しいものです。
さて、このコルティはコルシカ島の真ん中に位置する山岳地帯の一番大きな町。18世紀にジェノバ共和国からの独立を目指していたコルシカの独立政府が置かれていた町なのです。当時を偲ばせる高い城壁が残っていたり、島内で唯一の大学があったりと、とても賑やかな町。その町から車で15分も走ると、見渡す限り美しい山と広大な高原が広がる景色が見えてきます。青と緑のコントラストがとても美しく、絵のような景色が広がり、目を奪われてしまいました。そこに小さく見えるもの。それが、ここで育てられている羊たち。よく私達が普段見る羊よりも小さく、角の形が独特。ミルクを出す量は少ないのですが、その分濃い味なので、非常にチーズに向いているのだそうです。羊たちは午前中に放され山々を走り回り、お腹が空くと呼ばなくても勝手に帰ってくるという何とも自由な生活をしています。
ところで、カジョ・ヴェッキョとはコルシカ語で「古いチーズ」という意味。フランスの映画や漫画でよくコルシカの事を描くシーンで、島で有名なくさいチーズの話が出てくるのだそうですが、これはそのチーズに該当するくらい、匂いが強烈。普通でも濃いミルクで作っているこのコルティのチーズは、更に出産時期の通常より濃いミルクを使うことで出来上がります。日常チーズを食べる習慣が無い私達は、テーブルに出されただけでその強烈な匂いに食べる事を怯んでしまうのですが、折角勧めて下さっているのに、食べない訳にはいかない!ということで、このカジョ・ヴェッキョを頂きました。口の中に入れると、思ったより匂いが強くなく、ミルクの風味だけが口の中一杯に広がるといった感じ。そして、パンに乗せてジャムと一緒に頂くとまた違った甘しょっぱい味わいが鮮烈。この新しい味の発見にスタッフ一同感動してしまいました。これがお店に並ばないなんて残念でならないのですが、常に作れるチーズではないので、売り物には出来ないのだそうです。まさに、この土地でしか味わえない一品。改めてカジョ・ヴェッキョの味わいに感動しました。日本では手に入らないものですが、食べてみたいという方は、フランス産のちょっと匂いの強いチーズにジャムや果物とあわせてパンと一緒に味わって見てください。きっと新しい味の発見があると思います。

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