#133 スタッフからのメッセージ
■私達がコルシカ島に取材に行ったのは、まだ寒い時期で、海側のリゾートホテルや海水浴場、お店などがオフシーズンの為、島には殆ど人がいませんでした。道を通る車も少なく、ひっそりとした印象。そんな中、今回取材したオリーブオイル農家の方は毎日忙しく働いていました。オリーブは12月から2月にかけてが収穫期で、オリーブ農家にとってはまさに今が一番忙しい時期。コルシカ島では1800ヘクタールのオリーブ畑から毎年150トンものオリーブを収穫しています。去年の夏、雨が降らず暑かったため、今年はいつもの年より豊作なのだとか。それも手伝って、毎日フル稼働しても収穫が追いつかないのだそうです。フランス本土では南側の地域でオリーブ栽培が盛んですが、地中海性の気候がもたらす暖かい風により、コルシカ島では海側全域の急斜面にオリーブ畑が広がっています。
さて、番組でも取上げましたが、コルシカ島のオリーブオイルはマイルドで甘い味わいが特徴。イタリアや南フランスではまだ青い実を摘み、青いまま収穫してオイルを作るというのが一般的ですが、コルシカ島では実が完熟になり、自然に木から落ちるのを待ち、それを収穫してオイルにしています。忙しいとは言っていても非常にのんびりと言いますか、島ならではのゆっくりとした感覚で時間の掛かる方法をとっているのだなぁ…と感じました。更に、搾ったオイルはすぐに瓶詰めせずに3ヶ月以上15度に保たれた倉庫で寝かせるのです。
しかし何故、コルシカ人は甘い味のオリーブオイルを好むのか?という疑問が出てきました。これも、牡蠣(#127参照)と同様に研究家や地元の方に聞いたのですが、「昔からそうだから…」といったような曖昧な返答。結局のところ何故だか分からず仕舞いでしたが、地元の方は「でも、此の甘い味じゃないと料理がうまくないんだよ」とおっしゃるのです。とにかく理屈では無く、昔から甘い味が当たり前!という伝統があるようです。私達は撮影の合間にパンを薄切りにして暖炉の側で焼き、その上にオリーブオイルをかけただけのシンプルな物(イタリアではブルゲッタと呼びます)を頂いたのですがこれがとても美味しく、このオリーブオイルの美味しさが良く分かりました。実はそれを食べる前までは、甘くてマイルドな味わいと言われてもピンと来なかったのですが味わってみてその表現に間違いは無いと思いました。魚料理、肉料理は勿論、サラダにかけたり、お菓子にかけたりと島の中では使わない料理は無いほど、このオリーブオイルは島の食生活の中に深く浸透しているのでした。

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(C)フジテレビジョン