映画「バンクーバーの朝日」に視覚障がい者のための音声ガイドをつけました!
[2015年1月16日更新分]
フジテレビ開局55周年記念作品の映画「バンクーバーの朝日」が12月20日公開されました。
この映画は、戦前のカナダ・バンクーバーで活躍し、2003年にカナダ野球殿堂入りを果たした日系移民の野球チーム「バンクーバー朝日」の実話を元にその栄光と奇跡の記録を映画化した作品です。
この度、この作品に、視覚障がい者のお客様にも楽しんでいただけるようにと「音声ガイド」をつけました。音声ガイドとは、映像を言葉で説明するもので、セリフのないシーンで何が起きているかを短く説明するナレーションです。
所定の日に劇場に携帯ラジオを持ってきていただければ、「音声ガイド」をイヤホンで聞きながら映画をお楽しみいただけます。
(※数は限られますが、劇場で携帯ラジオの貸出しも行っています。詳しくは劇場にお問い合わせ下さい。)
今回社会貢献活動の一環として「バンクーバーの朝日」の音声ガイドをつける工程に関わらせていただけたのは貴重な経験でした。
モニター検討会~音声ガイド収録
モニター検討会の様子まず音声ガイド用の原稿は「ディスクライバー」と呼ばれる専門の方が作成します。
それを実際に視覚障がいの方に聞いてもらって意見をいただく「モニター検討会」を11月末に実施しました。
この場には石井裕也監督も同席し、このシーンのどこに注目してほしいか、なぜこの動作になっているのかなど演出の意図を伺いながら、ひとつひとつのフレーズに修正を加えていきます。
2時間を超える作品ですので、検討会は7時間にも及びました。
ここでの視覚障がい者の方の集中力と想像力には驚きました。
視覚での情報が入ってこない分、音声からイマジネーションをぐーんと膨らませます。
「今のナレーションでこういう映像が描けました。あってますか?」
「今のはどういうこと?うーん、わからなかったなぁ~」など率直な意見を言ってくださいます。
それを踏まえて台本を修正。その1週間後にいざ録音。
担当してくれたのはフジテレビ斉藤舞子アナウンサーです。
約8時間にわたる録音作業をノンストップでこなしました。
ちなみにどういう原稿かというと・・・
港に着岸した大型船
白人が積荷を降ろしている
若い女性が立ち尽くす
長い黒髪に大きなリボン
見上げた先に、ビルが立ち並ぶ
こんな感じです。
また、劇中に出て来る英語のセリフは翻訳が字幕で出ているので、視覚障がいの方には吹き替えが必要です。これはベテラン桜庭良平アナウンサーと奥寺健アナウンサーが担当してくれました。こうして音声ガイドの収録は無事終了。
フジテレビ内で「音声ガイド付きバリアフリー上映会」を初めて開催
そして12月17日、完成した「音声ガイド」を体験してもらうべく、フジテレビ内のマルチシアターで「音声ガイド付き上映会」を開催。
音声ガイドの原稿制作を担当した
有馬加奈子さん 菅田奈央さん、
MASCの松田高加子さん モニター検討会にきて下さったお2人も足を運んで下さり、「すごく良かった!」とお褒めの言葉をいただき、感動。
また社内で働く視覚障がいの女性も音声ガイドを体験して、「とても楽しかったです!ガイドも聞きやすく内容がよくわかりました!」と弾んだ声で話してくれました。
みんなと一緒に劇場で映画を観るということは、誰にとっても実にワクワクする体験なんだ!と改めて思いました。
「音声ガイド」を制作すると、作品がDVD化された時も副音声として聞くことができます。
より多くの方に映画を楽しんでもらうための取り組みのひとつとして、とても有意義なことだと感じました。