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[2010年12月7日更新分]
COP16メキシコ・カンクン開幕企画(2) 「神秘の洞窟に塩害の危機」
(2010年11月30日放送)
地球温暖化対策について話し合うCOP16(国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議)が29日、メキシコのカンクンで開幕しました。
アメリカや中国を含む、新たな枠組みを求める日本は、「京都議定書の単純延長は受け入れられない」と訴えていますが、協議は難航が予想されます。
こうした中、会場となっているメキシコでは、急激な環境の変化によって、住民の飲み水となる地下水が脅かされる事態となっています。森下知哉記者が取材しました。
カンクンのあるメキシコのユカタン半島では、「セノーテ」と呼ばれる淡水の泉が、いたるところで見られます。石灰岩地帯でできた鍾乳洞が水没した洞窟(どうくつ)に地下水がたまったもので、その数は8,000にものぼります。
その1つに潜ってみると、光が差し込み、幻想的な光景が広がっています。まるで鍾乳洞のようになっており、地下水脈のように洞窟が続いています。深いものでは、水深340メートル。「神秘の泉」として、ダイバーにも人気だが、川がほとんどないこの地域の住民にとって、セノーテは貴重な真水の供給源となっていいます。
しかし、地球温暖化は、このセノーテにかつてない重大な変化をもたらしています。セノーテを深くまで潜ってゆくと、海水と淡水が入り混じっているところがあります。
もともと、一部のセノーテの下部には海水の層がありますが、実は今、カリブ海の海水面の上昇にともなって、セノーテ内の海水層も上昇しつつあります。
セノーテの水を生活用水として利用している住民にとって、泉の塩水化は、まさに死活問題。
住民は「セノーテの塩水化は、とても有害だ。植物に水をやれないし、配管に水を通せなくなり、体も洗えない。塩水化は、生活すべてを台なしにしてしまうよ」と言います。
さらに、周辺のトウモロコシ畑では、気候の変化にともなって深刻な影響が出ています。トウモロコシ農家は「降水量が減っている。雨が降っても、ハリケーンによる豪雨で、畑もだめになる」と言います。