フジテレビジュツのスタッフ

電飾

テレビジュツにまつわる全ての電飾を担当。
昔ながらの豆電球から、今主流のLEDまで、あらゆるものを駆使してセットを輝かせ、華やかにします。

インタビュー

※所属・肩書きはインタビュー当時のものです

菅田 重樹さん

株式会社興進電化 
営業技術部

菅田 重樹さん

電飾担当歴17年。

ーこの仕事に入ったきっかけは?

菅田

電飾って仕事をそもそも知らなかったんですが、テレビの裏方という内容で高校に求人が来ていたので面白そうだなと思いました。それが興進電化でした。

ー工業高校とのことですが、技術的な方面の仕事を目指していたのですか?

菅田

そうですね。求人広告を見て、入社試験を受けました。

ー最初にやった仕事を教えてください。

菅田

初めての現場はドラマでした。渋谷スタジオで収録していた頃です。スタジオの建て込みと本番付きの仕事を、先輩と一緒にやりました。ドラマの建て込み準備は、工場で大道具に仕込むというよりは、スタジオで建てられた大道具に蛍光灯や間接照明などを取り付けたり、装飾が飾ったシャンデリアなどの配線をしたりという感じです。

ー最初に担当チーフになった番組は?

菅田

ニュース・情報番組です。日曜日10時枠で『Mr.サンデー』の前にやっていた番組です(注:『情報エンタメLIVEジャーナる!』)。最初の担当チーフで、何をやったらいいのかも実はあまり分かってなくて(笑)。大道具セットへの工場での仕込みもありましたし、LEDのテープライトが流行りだしていたので、そういう仕込みが多かった記憶があります。事前の仕込みは大道具さんの工場でやったり、時間があれば興進電化の工場に搬入してもらって仕込んだりしていました。

ー大道具の事前仕込みの際に「あれ?これは発注された仕様と違うんだけど?」ということはありますか?

菅田

ありますね(笑)。そういう時は大道具の工場に戻して直してもらうか、時間が無ければ間違った道具に合わせて仕込みを変えることもあります。

『FNS歌謡祭』大道具に仕込まれた電球

大道具に仕込まれた電球

ー今までで一番大変だった仕事は?

菅田

『FNS歌謡祭』です。量的にも時間的にも両方大変ですね(笑)。オペレートの方もやらせてもらっています。

ー70曲くらいのオペレートをするし、事前仕込みと機材セッティングもあって、大変ですよね。

FNS歌謡祭の電飾オペレーションブース

FNS歌謡祭の電飾オペレーションブース

FNS歌謡祭の電飾オペレーションブース

FNS歌謡祭の電飾オペレーションブース

ーこれまでの仕事の中で見て欲しい番組、自信作は?

菅田

やはり歌番組が多いですね。今は『MUSIC FAIR』のオペレーターをさせてもらっています。

菅田 重樹さん
菅田 重樹さん

ー電飾のオペレート卓は、照明卓と同じ機材だと聞いたことがあるのですが。

菅田

そうですね。「グランドMA2」という機材を使っています。

ー東京オリンピックの時、海外の放送局が日本にセットを建てて放送するという企画があって、その時も「照明卓で電飾もコントロールする」って話で、興進電化に聞いたら照明と同じ機材なので問題ないということでした。電飾スタッフなら照明のオペレートも可能ってことですか?触る機能が違うんですか?

菅田

そうですね、照明とは少しいじる部分が違いますね。

ー昔に比べると、照明と電飾で共通する部分が増えて来たように思うのですが。

菅田

昔に比べて、境目が無くなってきた感じはありますね。

ー照明チームが持っていない機材を興進電化が持っていたりするので、照明チームとしても電飾担当と一緒に組んでやれば世界が広がる、とずっと言っています。すでに一緒にやってることも多いのではないかと思いますが。

菅田

そうですね。細かい「灯体」も扱えますので、一緒にやらせてもらっています。

ー「失敗したなー」ということがあれば教えてください。

菅田

まあ、いろいろありますね(笑)。やらかした数も多いので…。

ー差支えのない範囲で(笑)。

菅田

配線を間違えるとか。生放送の本番10分前くらいに気が付いて、その時はなんとか間に合いましたけれども。

ーキッカケ間違いとかは?

菅田

まあ、ありますね。事前プログラムでやることもありますが、生演奏ライブだとアドリブが入ることがあるので、生対応します。ちょっと拍数が変わったりして、最後のあおりがずれてしまったり。

ーそれは失敗というよりは仕方ない部分では?

菅田

まあ、その拍数を間違えて叩いちゃったとかもあります。

ーこの仕事をやっていてよかったと思う時は?

菅田

現場でまわりのスタッフに電飾を、「きれいだね」「かっこよかった」みたいな感じで褒めてもらった時が、一番やっててやりがいを感じます。

ーモットーは?

菅田

コミュニケーションですね。1人だとできない仕事なので、演出家やデザイナー、照明、カメラマンなどが何を追求して作っていくのかというところが、しっかり共有できていないとダメです。

ー電飾をどういう仕込みにするかについてはデザイナーから注文があると思うのですが、どんなオペレーションにするかは任される部分が大きいですよね。音楽番組なら曲から受けたイメージを形にしていくって感じですか?

菅田

照明チームが作る“明かりの世界観”を守って、電飾オペレーションを考える感じですね。

ー楽曲ごとの電飾オペレーションのプランを最初に見せるタイミングは、スタジオセットが建って、リハーサルの時ですか?

菅田

そうですね。

ープランを考えるにあたっては、誰とコミュニケーションをとりますか?ディレクター?

菅田

まあ、照明チームと一番話をしますね。どんな感じで考えているか、それならこのタイミングでこれを点滅させようとか。そんな感じですね。

菅田 重樹さん

ー今後やってみたい仕事は?

菅田

昔の27時間テレビのような番組をまたやりたいなと思っています。
後は、番組に限らず、アーティストのライブの仕事とかはやってみたいですね。

ー趣味を教えてください。

菅田

漫画やアニメ、それとゲームです。グッズを集めるとかよりは、ひたすら読んだり見たりが好きです。

ーありがとうございました。

(2022年8月)

小林 賢次さん

株式会社コマデン 
テレビメディアカンパニー主任

小林 賢次さん

電飾担当歴20年。
担当は「バイキング」「芸能人が本気で考えた!ドッキリGP」など主にバラエティ番組。

ー普段の仕事内容について教えてください。

小林

基本的には、バラエティ番組であればセットにユニットのLEDを仕込んで本番で点ける作業です。それと、コマデンはCG制作にも力を入れています。普通は電飾を電飾卓で操作しますが、コマデンでは、CGで作った映像の通りに電飾を発光させる電飾オペレーションもしています。

小林 賢次さん

ー「CGを使った電飾オペレーション」の作品例は?

小林

『FNS歌謡祭』で使った演出ですが、ステージ上のダンサー達が全員、バラバラの映像が流れているLEDビジョンの板を持って踊っていて、全員が集まってLED板を合わせるとおおきな一つの画(え)になる、という作品は自信作の一つです。

ーどのようなオペレーションが最も大変ですか?

小林

集計システムを使う時が一番神経を使います。スタジオの観覧者が集計ボタンを押すと、押した人数や平均値、「イエス」「ノー」などが出るものです。あれで正しい数が出ないと大変なことになりますから。
あとは、クイズ番組で「問題」の映像や解答者がタブレットに書いた答えをモニターに映し出す時でしょうか。これも、映し出せないと大変な支障をきたすので、毎回ものすごく緊張しますね。

ー今の職業に就いたきっかけは?

小林

昔からゲームが大好きで、それが高じて学校でCGを専門に勉強して、卒業後はゲーム制作をしていました。その後、CGコンテンツを作っているコマデンを知って、まずアルバイトから入って、しばらくして社員採用してもらいました。

小林 賢次さん

ー職歴20年で、昔と今とでは仕事は大きく変わりましたか?

小林

全然違いますね。電球からLEDになって軽くなったのはもちろんですが、配線が簡略化したのも非常に助かってます。かつては電球の数だけボタンを押さなくちゃならなかったのが、今はプログラミングで、1番のボタンを押すと赤、2番のボタンで赤と青、10番を押すと全色点く、というように組めますので。昔、男性チームと女性チームがお見合いして、大きいテーブルの電光掲示で誰と誰がカップルになったかわかるシステムが流行りましたよね。当時はきっと、大量のケーブルをつなぐ大作業だったと思いますよ。今なら何十分の一の配線で済むのに(笑)。

ー仕事で喜びを感じるのはどんな時ですか?

小林

番組打合せで新しい企画システムのサンプルを見せて、驚いてもらえた時です。最近では、センサーで人の動きを追跡して照らすムービングスポット(ライト)をお披露目した時、とても好評で嬉しかったですね。
自分がセットに取り付けた新しいシステムで、スタジオのお客さん達が驚いたり喜んだりしてくれるのを見る時が、この仕事をしていてよかった、と思える瞬間ですね。

(2019年3月)