東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

第1回 2007年1月8日(月)放送 あらすじ

オカンとボクと時々オトン~親子の別れ

 真新しいファッションビルが立ち並び、人々の喧騒が賑やかに溢れかえる東京の繁華街。大きな荷物を傍らに置いて、公衆電話から電話をかける青年、中川雅也(速水もこみち)がいる。電話の相手は、母親の栄子(倍賞美津子)で…。
 1989年1月。雅也は、栄子とともに廃坑の町、福岡県筑豊の廃病院で暮らしていた。高校生の雅也は、いまだに栄子への依存度が高い。また、栄子も雅也を幼い子供のように可愛がっている。しかし、色気づいてきた雅也は、人前では徐々に栄子の世話焼きが恥ずかしくなりつつもあった。
 その日は、雅也は高校の最終進路相談を受ける日だった。遅刻して登校し、進路希望の申告もせず、相談日に母親も同席しないという雅也を叱責した担当教諭(斎藤洋介)は、指導室へと呼びつける。雅也は、担当教諭の文句を言いつつ、幼なじみの山田耕平(柄本佑)、前野和夫(山崎裕太)と校舎の屋上でエロ本を読んだり、東京への憧れを話したりして時間をつぶし、指導室へ。実は、雅也のカバンには東京の美大の入試願書が忍ばせてあったのだが…。指導室に入った雅也は驚く。なんと栄子が来ていたのだ。突然の栄子の登場に、雅也は進路相談もそっちのけで腹が痛いと出て行ってしまう。追いかけて来た栄子に、いらだつ雅也。夕陽を見た栄子は、「前にも雅也と2人でこんな風景を見たことがある」とつぶやいた。
 1979年。雅也と栄子は福岡県小倉に住んでいた。深夜に酔って、玄関を蹴破って帰宅し、家中でも暴れまわったあげくに雅也に土産の焼き鳥を食べさせる父親、兆治(泉谷しげる)とその母、富美子(佐々木すみ江)とともに。だが、ある日、栄子は雅也を連れてその家を出た。そして、筑豊の栄子の母親、ハル(赤木春恵)の家に移り住んだのだ。
 知らない町に連れて行かれ、知らない小学校に転校させられる羽目になった雅也に頼れるのは栄子しかいない。登校のたびに腹が痛いとしぶる雅也を、栄子はなだめすかしつつ送り出す。そんな母子を、栄子の妹、香苗(浅田美代子)は温かく見守る。栄子は、香苗の経営する食堂や青果市場、内職までして母子の生計をたてていた。雅也の世話を焼きすぎると注意する香苗に、栄子は子供には寂しい思いをさせたくないと答える。
 相変わらず腹が痛いと登校をしぶる雅也に、栄子は耕平と前野を食事に招待し、つましい家庭とは思えない料理をふるまう。雅也にとって、そんな栄子はちょっぴり自慢の母親だった。夏休みになると、雅也は小倉の家に行く。その来訪を富美子は手放しで喜ぶが、兆治は無愛想に応対する。それが、雅也の幼い頃の生活だった。
 栄子はハルの元を辞し、廃病院に移っても雅也を大切に育てた。進路相談もろくにしない雅也に、ぽんと新しいバイクを買い与える栄子。そのバイクに乗って小倉に行った雅也は、兆治に進路を聞かれる。目的はわからないが東京に出たいと答える雅也に、珍しく兆治は上機嫌。東京で色々なものを見てきたらいいと勧める。だが、兆治は東京行きの話を栄子にはちゃんとした方が良いと釘を刺すのだった。
 筑豊に戻り、自分の部屋を見た雅也はあっけにとられる。留守の間に栄子により綺麗に掃除してあったのだ。隠していた東京の美大の願書も整えられている。雅也は、何もかも先回りして世話を焼く栄子に、そんな母親だから離れたくもなるとつい暴言を吐いてしまう。
 それから二週間、雅也は栄子と口を聞かずにいた。美大の試験費用に困った雅也は、香苗に無心しようとする。すると、栄子がどれだけ苦労をして雅也を育てたのかを考えろと逆に諭されてしまった。
 雅也は栄子を残し、美大の試験のために上京する。東京のバスでは、同じく受験のために北海道から上京した佐々木まなみ(香椎由宇)と乗り合わせた。窓外に流れる明るい東京の夜景には、ひときわ輝く東京タワーの姿が…。

キャスト

中川雅也 … 速水もこみち
佐々木まなみ … 香椎由宇
山田耕平 … 柄本 佑
前野和夫 … 山崎裕太
中川富美子 … 佐々木すみ江
藤本ハル … 赤木春恵
藤本香苗 … 浅田美代子
中川兆治 … 泉谷しげる
中川栄子 … 倍賞美津子

ほか

スタッフ

■原作
 リリー・フランキー
 「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(扶桑社刊)

■脚本
 大島里美

■プロデュース
 中野利幸

■演出
 久保田哲史

■音楽
 河野 伸
 澤野弘之

■制作
 フジテレビドラマ制作センター

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