<第1回> <第2回> <第3回>


<第1回>
 見た者を呪い殺すという「ビデオ・テープ」騒ぎの中心的人物であった高野舞(矢田亜希子)のもとへ、超能力者・山村貞子の後見人であった故・伊熊教授からの手紙が届く。「災いを私は止められない。誰かが封印を解いてしまった。死者が再びこの世に生まれ出ようとしている。貞子が……」。再び恐怖がやってくる。
 女子高校教師・安藤満男(岸谷五朗)は、自分が海で死なせてしまった息子・孝則(工藤雅哉)の責を感じ、夜な夜な悪夢にうなされる。溺れる息子に手を伸ばしたが、髪の毛をつかんだだけで海の深みに沈んでしまったのだ。このため、妻・美和子(純名里沙)は精神を病んで入院している。
 生徒から慕われる安藤は、国語の教師だが科学部の顧問をしている。中でも西島久美子(野村佑香)はなついている。今日も得意気に超能力の実験をしているのだと報告に来る。彼女の言うことを信用しない安藤に、「人を殺す呪いのビデオが存在する」「姉・美咲(須藤里彩)が働いているビルで殺人事件が起き、死刑になった犯人の幽霊が出る」などと佑香は言い募る。
 その晩、くだんのビルで6人が死ぬ不可解な変死事件が発生した。そして、ただ一人だけ女性社員が生き残っていた。美咲であった。安藤は、久美子の連絡を受け美咲が収容されている病院へ向かった。美咲も安藤の教え子だったのだ。だが、警察は面会を拒む。不安になった安藤は美咲と同窓だった相原夏美(吉本多香美)に連絡する。夏美は高校の科学部出身で、今は警視庁の科捜研に勤めている。夏美は、美咲に殺人の容疑がかかっていること、6人に外傷がなく心臓麻痺が死因であることなどを教える。
 夏美は、安藤が「心臓麻痺を起こす呪いのビデオが存在するらしい」と話していたことが気に懸かり、コンピューターで検索しようとするが、陰湿な陸田博部長(内藤剛志)に妨害される。陸田は、「呪いのテープ」事件を知っているようだ。
 1999年7月は、「ノストラダムス予言」の注目のポイントである。研究家・河合徹(升毅)は、予言が外れてテレビで笑い者にされることに不安を抱いていた。そこへある男から「恐怖の魔王はちゃんと降ってくる」と奇妙な電話を受ける。
 翌日、美咲は解放された。安藤、久美子、夏美の3人が出迎えた。夏美は、「被害者の倒れた様子から、部屋のある一点から逃げ出したようだ」と言い、美咲に「ここには何があったのか」と尋ねる。美咲はまだショックから立ち直ってはいなかったが、「そこにはSの打てない壊れたコンピューターがあり、自分以外にもう一人、人がいて、肩をつかまれた」と思い出す。安藤と夏美は、社内監視用カメラに写っているのでは、と、ビデオを取り寄せ、安藤の自宅で映してみるが、犯行時間になると突然画像が乱れてしまう。
 翌日、夏美は同僚に美咲の服から指紋を採取してくれるように頼み、殺人マニアのホームページをのぞく。そこには「おれが6人を殺した」と「アリタ」という人物からのメールが送られていた。騒然とする科捜研。夏美は安藤を呼んだ。なんと外部では知り得ない「心臓麻痺を起こしてやった」「女の肩をつかんで、生かしておいた」などの隠された状況が記されていたのだ。その文章に安藤は違和感を感じた。どこかおかしい。その時、美咲が話してくれた「Sの打てないコンピューター」を思い出す。その文は「S」を使っていなかったのだ。
 そのころ、テレビスタジオでは河合が出演する生特番が放送れていた。河合は自信ありげに「11時に大王が降ってくる」と予言していた。
 安藤は夏美とともにオフィスビルに向かった。そこに「アリタ」がいて、壊れたキーボードを叩いていると踏んだのだ。その時、夏美の携帯電話が鳴った。同僚の浅野からで、「あの指紋はそのビルで殺人を犯し、3年前に死刑になった有田剛三のものだ」と言う。そして静かに夏美に近づく者があった。
 さらに外では高野舞がビルを見上げていた。

<第2回>
 西島美咲(須藤理彩)だけが生き残った大量不審死事件が発生したオフィスビル。美咲の恩師の高校教師・安藤満男(岸谷五朗)と同窓生で科捜研所員の相原夏美(吉本多香美)は、殺人マニアのホームページにアクセスしてきた「アリタ」がメールを送っているのではないか、何か事件を解く鍵があるのではないかと、そのビルに深夜の潜入を敢行した。夏美が現場のコンピューター室に入ると、一斉にモニターの灯が灯り、その光の中に男の影が浮かび上がった。悲鳴を上げる夏美。安藤は急いで部屋に飛び込んだ。夏美は無事だったが、男は忽然と消えていた。が、パソコンのモニターに「俺を見つけてみろ。ゲーム開始だ」と文字が浮かびあがる。
 そのころ、テレビの生番組でオカルト研究家の河合(升毅)がノストラダムスの魔王について予言していた。河合をさらし者にする狙いだったが、河合は自信ありげに「もう大王は降りてきている」と言う。その時、「大地震発生」の臨時ニュースが……。天空の月も赤く染まっている。その月を不安気に見上げる高野舞(矢田亜希子)だった。
 テレビ局の科学者たちは、予言と地震は偶然の一致として、対決姿勢を強める。自宅に戻った河合に電話が入る。河合に予言を指示した人物だが、地震は偶然ではなく、さらに大王は力を見せると言う。
 一方、殺人の疑いが掛けられている美咲が妊娠していることが分かった。父親はあの事件で死んだ男性に違いないと思い、安藤に相談する。安藤は祝福し、産むことに賛成する。別れ際に美咲は「事件発生の時、井戸から誰かが現れた。その時みんなが……」と不安気に思い出した。
 安藤は夏美に美咲の妊娠などについて話した。夏美は「井戸とはパソコンのモニターに映った映像ではないか」と推理し、フロッピーディスクを調べることにする。
 翌日、安藤は美咲の妹・久美子(野村佑香)とともに美咲の診察に同行する。医師は「どうも胎児の様子がおかしい。異常に成長している」と安藤に告げる。
 大量のディスクを調べる夏美。一枚だけ開けないディスクが出てきた。パスワードが暗号化されているのだ。そこへ先輩の青木が現れた。青木は解読は得意だと言って、そのディスクを取り上げ持って行ってしまう。夏美は続いて、現場を映した監視用ビデオを再生して調べた。映像だけのビデオテープなのに、何か録音されている。それは不気味な唸り声のようであった。
 授業を終え帰宅しようとした安藤の前に見知らぬ女性が立っている。高野舞であった。「あの事件を調べてらっしゃいますね」と切り出す舞。舞は続ける。「これから恐ろしいことが起こります。あの事件は始まりです。以前にも山村貞子が念写した『呪いのビデオ』が存在したように……」。おののく安藤。舞はさらに言う。「貞子は生まれ変わるかもしれない……」
 そのころ、夏美は上司の陸田(内藤剛志)に呼び出されていた。独自に事件を調査する夏美に対し不快感を隠さない陸田。「君にあの事件の解明は出来ない。科学で解決できないこともあるのだ。例えば“リング”と呼ばれた『呪いのビデオ』のような」と言い放つ。夏美は「なぜ警察が調べないのか。私に調べさせろ」と食い下がる。陸田は「これがそのテープだ。見て説明できたら、今度の事件を担当させる」とテープを渡す。
 安藤は、電話でしゃべった夏美の様子がおかしいことに気付き、夏美の部屋に向かう。夏美はそのビデオをデッキに入れていた。しかし、夏美はまだ見てはいなかった。勇気の無さに自己嫌悪する夏美。安藤はそれを見て、自分も息子を死なせた弱い人間だと告白する。
 翌日、夏美がビデオを見なかったことを陸田に告げると、陸田は「あのテープは偽物だ。君はそれすら見抜けなかった。その程度の人間だ」と罵る。
 相変わらずテレビに引っ張り出される河合は、科学者・笠原を相手に、「私はノストラダムスから選ばれ未来を予知できる。あなたの未来を透視しよう。大きな火の中にあなたの奥さんが見える」と大見得を切る。
 精神を病んで入院している妻・美和子(純名里沙)を見舞っていた安藤の携帯電話が鳴った。美咲の様子がおかしいと久美子が悲痛な声を上げる。安藤は急いで二人の部屋に向かった。
 そのころ夏美の携帯も鳴った。謎のディスクを持って帰った青木からであった。「パスワードの暗号が解けた。『RING』だ」と言う。その瞬間、陸田の言葉を思い出した夏美は「開けちゃだめ!」と叫び、急いで科捜研の部屋へ飛び込む。そこにはパソコンの前で息絶えた青木が座っていた……。

<第3回>
 久美子(野村佑香)から呼び出されマンションを訪れた安藤(岸谷五朗)は、倒れている久美子を見つける。姉の美咲(須藤理彩)に突き飛ばされて気を失ったと言う。美咲は妊娠3ヵ月だった。
 安藤は、美咲のことで夏美(吉本多香美)に電話をかけ、フロッピーのことを聞き、「そのディスクには、噂のビデオのように山村貞子の怨念が込められていたのではないか」と問う。夏美は非科学的だと突っぱねるが、不安だ。とにかく、フロッピー・ドライブにあった指紋を分析に回すことにする。
 廃材置き場で犬がけたたましく吠え、犬の飼い主らしき男が周辺を見ると女が倒れていた。美咲であった。しかし、犬は近くの戸棚に向かって吠え続けていた。そこには何かが……。
 美咲は病院に運ばれたが、なんと3ヵ月で出産していた。「子供はどこへいったんだ……」。訝る安藤。
 美咲が発見された廃材置き場に高野舞(矢田亜希子)がやって来た。子供の声を聴いた気がする。しかし、戸棚にも何もいない。胸騒ぎがする舞は安藤に連絡した。「山村貞子はもう生まれ変わっているかもしれません。井戸から出たいという執念が叶えられている気がする」と言う。「井戸?」。安藤は、美咲が「井戸から誰かが出てきた」と言ったことを思い出す。
 夏美は、調べた指紋が死刑執行されたはずの「有田」のものであることをコンピューター・ファイルで再び確認する。安藤が夏美に会いに科捜研にやってきた。「井戸やリングという言葉が、余りにも『呪いのビデオ』と符合する。やはり怨念ではないか」と安藤。しかし、夏美は「人為的なものだ。電磁波でコンピューターを操ったのに違いない。監視カメラのビデオにノイズが入っているのも電磁波のせいだ」と取り合わない。が、有田の指紋だけは説明できない。
 ノストラダムス研究者としてテレビ出演し、地震を「予言」した河合は、再び対談相手の科学者の妻の死を「予言」した。そのため、刑事に目を付けられ始める。謎の電話の主は「恐怖の大王はあなたに期待しています」と語るだけであった。
 病院で目を覚ました美咲は、目の前に女が立っているのに気付く。悲鳴を上げるとその女の影は消えた。恐怖に青ざめる美咲。そのことを安藤に話す。安藤は気休めに「幸せになる鈴だ。プレゼントするよ」とキーホルダーを渡す。
 夏美は不審な死をとげた青木の解剖を担当した医師・織田の研究室を訪れ、事件を相談する。「有田」の指紋がまた検出されたことで織田は、「論理的に事実だけを落ち着いて考ろ」とアドバイスする。そこで夏美は、もう一度、コンピューター・ファイルを調べてみた。なんと、データ・ベース自体が改ざんされていたのだった。
 そんなころ、美咲が病院の階段から転げ落ちた。後ろから女に突き落とされたと言う。寝かしつけても、美咲は「私に殺される」とうなされる。安藤と久美子が病室から出ていた間に、美咲は再び女に襲われる。ボイラー室まで連れ出され、女の手が美咲の首にかかる。その女の顔は……。
 夏美は、指紋が人為的なものだったので、科学的な解決が出来ると信じ、監視カメラにあった音声ノイズの分析を急いだ。そして、現れた音声は、女の声で「ここから出して……」というものであった。さらにその声は「井戸」の中から発せられていたのだった。
 美咲は、ボイラー室に倒れているところを発見され病室に戻された。安藤は不審に思い、ボイラー室を調べる。そこで、夏美からの携帯電話が鳴る。夏美も超科学的な力が加わっていることを信じている様子である。が、安藤はなぜ美咲だけが助かったのか疑問を持った。その瞬間、美咲に渡したはずの鈴付きキーホルダーを見つける。と、そこに美咲が倒れている。では、病室にいる美咲は誰なのか?病室では美咲が、久美子の背後に迫っていた……。 


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