あらすじ
<第9回> <第10回> <第11回> <第12回>

<第9回> 「第三章 彼女の嫌いな彼女」
 栄光物産に勤める総合職の川原瑞子(財前直見)、33歳と制服姿の吉沢千絵(柴咲コウ)は、全く反りが合わない。「吉沢千絵は最強の腰掛けOLよ!」と瑞子がこぼせば、千絵も「川原瑞子は、最強のお局よ!」といった具合。
 ある日曜日。瑞子が、自分のマンションで友人に電話で千絵の悪口を話していると、隣に誰かが引っ越してきた。リフォームも済んでいない部屋に慌てて越してきたのは?  と、瑞子がドアからのぞくと、引っ越してきたのは・・・。なんと、千絵だった。よりにもよって、犬猿の仲の2人が隣人に。迷惑がる瑞子に、千絵は「今さら戻れない」と、どうやらわけありな様子。
 翌日のオフィスで、瑞子は千絵を探すが姿がない。同僚の戸田美和(網浜直子)、柴野真弓(吉田昌美)にこぼすと、どうやらいつもの給湯室にいるらしい。案の定、千絵は給湯室で伊東恭子(木内晶子)、小田ゆかり(矢作美樹)と招待された同僚男性の結婚式の話題で盛り上がっている。この結婚式で、いい男をゲットしようという作戦だった。
 そして結婚式の日。瑞子たちも出席した披露宴の後、千絵たちは必死にいい男探し。瑞子は同僚男性が結婚してしまったことに悔しさを滲ませる。そんな時、瑞子はある男にぶつかってしまう。「ごめんなさい」と謝ったのは冴木行彦(柏原崇)。思わず見とれてしまうほどのいい男。美和が栄光物産の人間だと言うと、冴木は「後ほど」と去っていった。結婚式の2次会は大変な盛り上がり。会場に入りきれずにいるのは、瑞子と千絵。と、そこに冴木が友人と現れた。瑞子たちは、冴木たちと『BarAIR。』へ。お互いのことを語り合う瑞子たち。話の中で、瑞子たちは冴木が27歳の独身で年収2000万円のエリートと知る。早速、千絵は冴木に自分をアピールし始める。あきれる瑞子と言い争う姿に、驚く冴木。千絵が、名刺や電話番号を聞こうとすると冴木に両方持っていないと断られる。
 口ゲンカをしながらも帰るマンションは同じの瑞子と千絵。すると、千絵の部屋の前に男が座り込んでいる。加納司(海東健)。千絵は、瑞子の目をはばかるように、自分の部屋に招じ入れる。瑞子も自分の部屋へ入ると大友史郎(柳葉敏郎)が待っていた。
 千絵の部屋に入った司は、彼女が残していった紙を見せる。『今までありがとう さようなら 千絵』。それは、千絵が司に残した置手紙だった。千絵は、司と別れるために引っ越したのだ。しかし、千絵の使った紙が、引っ越してきたマンションの図面だったために、司に居場所が知れてしまった。「もう会わないって決めたの・・・」と、千絵は言うが、司は「勝手に決めんなって」と、そのつもりはない。司は、役者志望で金を持たない男。千絵は、金持ちの男の方がいいと司を部屋から追い出した。一方、史郎は瑞子の部屋でくつろいでいる。史郎は、妻子を持つ男。瑞子とは不倫の関係。千絵がベランダに出ると、隣のベランダに瑞子がいた。千絵は、司が元彼だと瑞子に話す。すると、瑞子の背後に史郎が現れた。史郎の存在を、千絵は知ってしまう。仕方なく、不倫関係にあると告白する瑞子。2人は、それぞれの男のせいで、他人に言えない秘密を共有することに・・・。
 翌朝、販売2部の須崎部長(山本圭)が、新たに配属になった部員を紹介する。瑞子も千絵も男を見てビックリ。冴木だったのだ。冴木は、ニューヨークのある会社からヘッドハンティングされてきたのだ。話を聞いた千絵は、浮かない顔。自分たちとは別世界の人間と、ちょっぴりあきらめムード。瑞子も彼のような男が職場にいるだけで幸せと、2人とも自分と冴木の恋など、その時は考えもしなかった。
 日曜日。買い物帰りの瑞子と千絵がマンションの近くで鉢合わせ。瑞子が、この日で34歳になったと言うと「なのに、うちに帰るんですか?」と千絵。千絵は、自分の誕生日はみんながパーティーを開いてくれると嫌味をいう。部屋の前まで来ると、千絵は「私が誕生日につきあってあげましょうか?」とまで言い出した。そんな言い合いをしながら、瑞子が部屋のドアを開けると・・・。パン!と、クラッカーがなり、ハッピーバースデーの歌声がしてきた。声の主は、部屋の中にいた史郎と・・・なぜか司。瑞子の部屋で、バースデーパーティーが始まる。その席で、司は千絵に次の舞台の主役に決まったことを報告。しかし、千絵は興味なさそう。そんな時、史郎がシャンパンを買い忘れたことに気づく。すると、司が千絵の買い物袋にワインが入っているのを見つけた。「困ります」と断ろうとする千絵をよそに、司はワインを開けてしまう。瑞子は、千絵の頑固な様子に何かを感じていた。司が、調子よく乾杯しようとした時・・・。千絵が、ワインを司にひっかけた。司は、さらにワインボトルも倒してしまう。史郎は、僕たちが悪いと謝るが、司はせこいこと言うなと千絵をたしなめようとする。すると、千絵は小さな劇団で主役に選ばれたって何になる? と、司を罵倒する。司は、出て行ってしまった。
 残された千絵に、瑞子は「彼、悪い子じゃない、謝ろ?」と薦める。すると、千絵は「川原さんみたいになりたくない」と、言い出す。今度は、瑞子にあたって部屋を出て行く千絵。千絵は、その足で『BarAIR。』へ。マスターの森川歩(つんく♂)に、瑞子のことを愚痴る千絵。すると森川は「その分、君よりも色んなことを経験している」「君よりも恋愛偏差値高いんじゃないか?」と、優しく諭すように言われ言葉を返せない千絵だった。瑞子と史郎が後片付けをしている。すると、史郎が千絵が買ってきたワインの良さと、年代に気づく。それは、1980年のボルドー。「もしかして・・・」と促す史郎に、瑞子が会社の名簿で千絵の誕生日を調べる。千絵の誕生日も今日。瑞子と千絵は、同じ誕生日だった。
 千絵が部屋に戻ると、ドアに『屋上で待っている 川原』と張り紙が。千絵が屋上のドアを開けると、クラッカーが鳴った。「誕生日、おめでとう」と瑞子。瑞子は、コンビニで買ってきたワインを開け、グラスに注ぐ。千絵は、素直にさっき瑞子にあたってしまったことを詫びる。そして、司のよい面を語りだす。さらに、今でも司を好きだと言う。瑞子は、史郎と自分の恋愛を「終わるための恋」と評する。
 翌日、瑞子は須崎部長に呼ばれた。須崎は、極秘プロジェクトを手伝って欲しいと言うのだ。少し逡巡するが承知する瑞子。機密書類を受け取り、廊下に出ると冴木が歩いてきた。冴木は、瑞子に仕事を教えて欲しいと頼む。そして、ニューヨークの会社で自分の上司が女性であり、かつ恋人だったと、さらりと告げる。千絵は、冴木を待っていた。食事に誘う千絵に、冴木は「これから出なきゃいけないんだ」と、素っ気無い。ガッカリの千絵に「7時に待ち合わせでどうかな?」と冴木。もちろん、千絵は大喜び。
 約束どおり、千絵は冴木とレストランへ。冴木は、今は彼氏がいないと言う千絵の恋人候補に名乗りを挙げる。そして、店を出ると早速、千絵にキス。一方、瑞子は『BarAIR。』で美和と飲んでいた。瑞子は、冴木に言われた言葉に、自分との恋の可能性を予感して・・・。

<第10回> 「第三章 彼女の嫌いな彼女」
 冴木行彦(柏原崇)に意味深な言葉を投げかけられ、川原瑞子(財前直見)の心は弾んでいる。隣の部屋に住む吉沢千絵(柴咲コウ)は、冴木とキスまで進展。やはり、朝から浮かれてステレオのボリュームも目一杯。瑞子にたしなめらてしまう。
 会社でも、冴木は瑞子と千絵に意味深な行動をとる。先輩OLチーム、若手OLチームともに冴木の話題になるが、瑞子と千絵はそれぞれに一歩リードの優越感と恋の闘志に燃える。その一方で、瑞子は須崎本部長(山本圭)とのプロジェクトを進める。須崎は、プロジェクトを秘密にすることを瑞子に念を押す。部長室から出てきた瑞子を冴木が呼び止めた。3年も日本を離れていたから分からないことばかりだと言う冴木は、相談に乗って欲しいと瑞子を食事に誘った。
 その夜、千絵は加納司(海東健)に呼び出されて、食事に出かける。誕生日の出来事を謝る司だが、千絵は「あなたとはもう関係ない」と相手にしない。司は、稽古用のスニーカーが千絵の部屋にないかと尋ねる。だが「知らないわよ」と千絵。すると、司は今度の舞台を最後にしようと思っていると言い出した。帰り道、その分けを聞く千絵に、今度の舞台がダメなら区切りをつけて就職すると答える司。さらに司は、もし舞台で成功したら千絵にプロポーズしようと思っていたとも語る。一方、瑞子は『BarAIR。』で冴木と飲んでいた。他愛のない話から、冴木は会社の派閥のことを知りたいと言う。次期取締役候補は、第一販売部の早坂本部長(堀部隆一)か第ニ販売部の須崎本部長。冴木は、須崎に取締役になって欲しいと言う。早坂の仕事の方法が好きではないと言う冴木に、瑞子も賛成する。店を出ると、瑞子は冴木には言っておきたいと、既婚者と交際していることを打ち明ける。すると冴木は、相手が独身でなければ自分にも少しは可能性があると、またもや千絵に意味深な言葉を・・・。
 マンションに帰った瑞子が、引出しの奥から安っぽいおもちゃの指輪を見つめていると、千絵がやってきた。瑞子の浮かない表情を指摘する千絵。「恋煩い?」と突っ込む千絵に、思わず瑞子は頷いてしまう。すると、千絵も同じ気持ちでいることを打ち明ける。2人で一緒に、新たに出来た好きな人を告白しあうことになるが・・・言えない。双方とも、まだ司や大友史郎(柳葉敏郎)への気持ちにふんぎりがつかないのだ。結局、瑞子と千絵は、好きになった人物=冴木が重なっていることを知らずにいる。  翌日、瑞子は、会社帰りの道で史郎が家族と楽しそうにレストランに入る様子を見てしまう。と、クラクションの音に振り返った史郎と目が合ってしまい、気まずさを覚える瑞子。マンションに帰った千絵は、スニーカーを持って司のアパートへ。瑞子も、おもちゃの指輪を見つめて、ある決断をする。
 司のアパートに着いた千絵がインターフォンを押すと、女が出てきた。後から出てきた司にスニーカーを渡すと、すぐに踵をかえす千絵。司が追いかけてくるが、千絵は「おめでとう!」と言い捨てて去ってしまう。一人、街を歩く千絵は、冴木に電話をかけていた。ホテルのバーで冴木と会う千絵。司のことを愚痴る千絵を優しく慰める冴木に、心が動いて・・・。千絵は、司へのわだかまりを残したまま、冴木と客室に向かった。
 その頃、瑞子のもとには史郎が来ていた。瑞子は、史郎を部屋には入れず公園へ。瑞子は「好きな人が出来た」と史郎に打ち明ける。そして、もう不倫はおしまいと宣言する。強がる瑞子に「本当は気の弱い、ただの泣き虫だけどな」と史郎。何もかもを知る史郎の言葉に、瑞子は込み上げる涙をこらえ、史郎から自分の部屋の合鍵を返してもらう。「二度と部屋にこないで」と言う瑞子に史郎は頷いて去っていった。その後姿に、持ってきたおもちゃの指輪を投げる瑞子。それは、まだ楽しく付き合っていた頃に史郎から買ってもらったものだった。瑞子の目から、こらえていた涙が零れ落ちる。楽しかった頃を想い、一人公園で泣きつづける瑞子。そして・・・ついに耐え切れず、投げ捨てた指輪を探し始めた。
 冴木とベッドインした後、千絵は、一人マンションに帰ってきた。すると、司が来ていた。女のことを誤解されたままは嫌だと言う司に「いつもそうやって言い訳をするんだから!」と、手厳しい千絵。ふと見ると、司は花のない花束を隠し持っていた。これにもカチンときた千絵は、冴木とホテルにいたことを話してしまう。司と比べて、いかに素晴らしい人かをまくしたてる千絵に「おめでとう」と言って司は帰っていった。千絵が、自分の部屋の前に来ると、床に花びらが並べてある。『アイシテル』と司が書いた花文字に、涙があふれる千絵。急いで司を探すが、もう姿はなかった。
 千絵が公園まで来ると、人影がある。瑞子だ。史郎がくれた指輪を探していると言う瑞子に「そんなの捨てればいいじゃないですか」と千絵。瑞子の踏ん切りのつかなさを責める千絵だが、その目には涙がいっぱい。瑞子は「あれが私の青春だから」と、千絵に・・・そして自分を諭すように話す。そして、瑞子は千絵を残し、なくなったものはしょうがないと公園を去る。
 マンションに帰った瑞子が、屋上にいると千絵がビールを持ってきた。千絵は、好きになった人とホテルに行ったのは、司が女と部屋にいるのを見たからかもしれないと瑞子に告げる。そんな自分が嫌で、瑞子にあたってしまったと言うのだ。頷く瑞子の手に、千絵はそっと何かを渡した。瑞子が手を開くと、そこには捨てたはずの指輪が。また少し、お互いを理解する二人。どちらが、新たな恋をゲットできるか・・・。前向きに進もうと慰めあう。
 翌日、瑞子が残業していると冴木がやって来た。冴木は『BarAIR。』からの千絵の誘いを断って、瑞子に接近しているのだ。瑞子の仕事が終わるのを待つと言う冴木は、突然彼女を抱きしめた。一方、千絵は『BarAIR。』で森川歩(つんく♂)が作ってくれた差し入れを瑞子に届けようと会社に戻ってきていた。冴木に抱きしめられ、ついにはキスをしてしまう瑞子。そんなこととは知らない千絵は、オフィスへと入ってきて・・・。

<第11回> 「第三章 彼女の嫌いな彼女」
 残業していた川原瑞子(財前直見)は、冴木行彦(柏原崇)に抱きしめられた。その時、差し入れを持った千絵(柴咲コウ)がオフィスへ向かっていたが、踵を返し帰路に着く。瑞子は冴木を振りほどき再び仕事を始めた。冴木は、瑞子の書類を覗き、須崎本部長(山本圭)が、メタノールを新商品として開発していることを知る。それを瑞子に尋ねるのだが、答えは得られなかった。
 翌日、瑞子は須崎本部長から、今が契約の正念場で情報を漏らさないようにと念を押された。一方、千絵は昼休みに冴木とカフェで待ち合わせ。そこに向かう途中、冴木がブランドショップで最新のバッグを買っている姿を目撃してウキウキ。だが、落ち合った冴木はバッグを千絵に渡そうとはしない。千絵が、バッグの話をすると「得意先の人に頼まれて」と言われ、ガッカリ。
 夜になると、冴木は瑞子とレストランでデート。甘い言葉で誘う冴木に、瑞子の胸は高鳴る。しかし、冴木はすっと仕事の話に。書類を取り出し「アメリカのメタノール関係の詳細です」と切り出す。その調査力に関心する瑞子だが取引先は教えられない。レストランにも、冴木はブランドショップの袋を持っていたが、瑞子にも渡さなかった。瑞子と冴木が『BarAIR。』に店を移すと、大友史郎(柳葉敏郎)と友人の伊藤(宇梶剛士)が入って来る。史郎の視線で瑞子に気づいた伊藤は、瑞子の相手、冴木を見て怪訝な表情を見せる。と、瑞子も史郎に気づいた。史郎は、伊藤を促して店を出て行く。
 その頃、千絵のマンションには香織(谷口江梨)が来ていた。加納司(海東健)のアパートにいた女だ。香織は、司を好きだと宣言し、一枚のポスターを置いていく。ポスターには『司へ めざせブロードウェイ!! By千絵』と書かれていた。香織には、司とは関係ないと言いながらも千絵の心は揺らぐ。
 日曜日、お互いに予定のない千絵と瑞子は映画を見に行く。見たい映画でも意見の合わない二人。だが、ふと『恋愛偏差値』という洋画に目が留まる。見終わった二人は、映画に出てきた男のタイプを巡って張り合う。ただひとつ意見が一致したのは嫌いなタイプ。エリート風吹かせたプレイボーイだった。2人は、いがみ合いながらも一緒に買い物をして、瑞子の部屋で食事を終えた。恋や結婚の話をしていると、千絵は瑞子を馬だと言い出す。聞き返す瑞子に、千絵は「動物心理ゲーム」を持ち出す。千絵の質問に、瑞子はまた馬を選んだ。すると千絵は、馬は仕事を表わして瑞子の一番大切なものだと言う。「私は愛情を表す羊を選んだんです」と何だか得意げ。千絵は、結婚したら苗字を変えるか? と、いう話題の時に何気なく“冴木千絵”と書いたチラシを残して部屋に戻った。つまり、瑞子に告白したのだ。しかし、瑞子は気付かずにちらしを捨ててしまう。
 その翌日、冴木と瑞子はデートに出かける。すると、街を歩いていた千絵が、店から出てきた2人を目撃。店の前で冴木と別れた瑞子が振り返ると、千絵に気づく。千絵は何も言わずに去ってしまった。マンションに帰った瑞子は、ビールを持って千絵の部屋へ。瑞子は、冴木のことを内緒にしていたことを謝るが、千絵の表情は硬い。様子がおかしいことに瑞子が気づくと「人の彼氏に手を出して」と千絵。千絵は、チラシにも書き残したはずだと怒り出す。瑞子は、冴木から誘われたのだと言うのだが、千絵は史郎のことまで持ち出して責めまくる。ついに切れた瑞子も、司のことを挙げて千絵に逆襲。二人は、互いの頬を張り合って決裂してしまう。
 翌日、史郎は伊藤から、先日瑞子といた男とNYで会ったことがあると聞かされる。しかも、何かと妙な噂のある男だと・・・。瑞子は、冴木に真意を尋ねようと思うのだが、あいにくドイツに出張していた。帰宅すると、自宅の電話にベルリンにいると冴木から気障な留守電が入っていた。
 数日後、瑞子が出勤しようとすると、千絵の部屋の前に司がいた。千絵に部屋を開けてもらえないと言う司は、借金を入れた封筒を渡して欲しいと瑞子に頼む。だが、自分も開けてもらえないと、瑞子は千絵とケンカしたことを話した。その夜、出張から戻ってきた冴木を『BarAIR。』に誘い、千絵とのことを尋ねる瑞子。冴木は、千絵が男と別れて落ち込んでいる時に、一晩だけ一緒にいてくれないかと誘われて断らなかったことから、自分を恋人のように思いつづけていると言いだす。許しを乞う冴木だが、瑞子は受け付けない。すると冴木は一通の封筒を残して出て行った。中には、ドイツのメタノール関連の書類と、瑞子に届けたいと留守電に残していた美しい夜景の写真が・・・。
 一方、瑞子のマンションには、史郎が来るが留守。ちょうど帰ってきた千絵を喫茶店に誘った史郎は、冴木のことを話し出す。史郎が見せたのは、第二販売部の早坂部長(堀部隆一)と娘の裕美子(西野妙子)、そして冴木の3ショット写真。冴木は、裕美子と婚約していたのだ。史郎は、瑞子にこのことを教えて欲しいと頼むが、千絵は「馬だから大丈夫」と取り合わない。すると史郎は、その時は瑞子がわざと馬だと答えたと言いだす。瑞子が以前、史郎に答えたのは猿だった。一番大切なのは、猿=友達。千絵は、瑞子を探して走り出した。『BarAIR。』にも行くのだが、一足違いで店を出ていた。森川歩(つんく♂)から、瑞子が一人ではなかったことを聞いた千絵は、さらに焦る。しかし、瑞子の姿はなかった。仕方なく、瑞子の部屋の前で帰りを待つ千絵。
 その頃、瑞子はようやく追いついた冴木に抱きしめられ、自然にホテルへ。瑞子が眠りにつくと、冴木は彼女のバッグを探り出す。そして、メタノールに関する極秘書類を見つけ、取引先の会社名と担当者名をデジカメで撮っていた。

<第12回>「第三章 彼女の嫌いな彼女」
 冴木行彦(柏原崇)は、川原瑞子(財前直見)が眠っている隙に、須崎本部長(山本圭)による特命企画書類を探し出し、デジカメに写し取ると、「先に帰ります」というメモを残してホテルを後にした。冴木の「裏の顔」を大友史郎(柳葉敏郎)から聞いた吉沢千絵はオフィスで瑞子を待ち受けていたが、出社した瑞子は須崎に呼び出される。なんと、須崎は、メタノール燃料の取引契約を、第1販売部の早坂部長(堀部隆一)に横取りされたのだ。
 千絵は、やっと瑞子を捕まえ冴木が第1販売部のスパイだと言う。瑞子は、情報源を問い質すが、史郎が口止めしているため千絵は答えられない。
 千絵に語った史郎の話はこうだった。冴木は早坂部長の娘・裕美子(西野妙子)と婚約している。冴木をヘッドハンティングしたのも早坂部長。つまり、冴木は早坂のスパイなのだと・・・。千絵は「昨晩、冴木さんに情報を盗まれたのでは?」と言う。当の冴木は、タイミングよく出張に出ていた。
 その晩、千絵は瑞子の部屋に上がりこんだ。瑞子は、辞表を書いていた。気持ちを察した千絵は「私も辞めようかな」と口にする。すると瑞子は、冴木とはホテルで何もなかったことを話す。千絵の気持ちを考えると一歩踏み込めなかったのだ。話は多分、冴木が出世するだろうという話題へ。しかし、二人に冴木への怒りが込み上げて来る。何で、冴木が出世して自分たちが会社を辞めなければいけないのか? 利用だけされて、黙っているわけにはいかない。「リベンジだ!」。幸い、冴木は自分の正体が瑞子たちにバレたことを知らない。千絵は、まず、裕美子に冴木の正体をばらし、婚約破棄させてやろうと提案する。
 裕美子を呼び出した瑞子と千絵は「冴木は遊び人で、あなたも出世に利用されている」と言い渡す。ところが裕美子の答えは「知ってます。ほかに女性がいることも、出世のための結婚なことも。でも彼が好きなんです。分かった上で結婚したいんです」と言う意外なもの。二人は裕美子に同情してしまった。
 攻め手を変えて、2人の復讐作戦が始まった。瑞子は「須崎部長が新手のプロジェクトを考えている」と冴木に餌を撒き、「相談に乗ってもらいたい」と誘い出した。冴木はまんまと乗ってきた。瑞子は、須崎が契約相手の「社内乗り換え」を図るというガセネタをまことしやかに語った。千絵が連絡を待っていると電話が鳴る。相手は加納司(海東健)だ。電話を切ろうとする千絵を留め、司は来週から芝居が始まるので、自分の夢を見届けて欲しいと伝えた。
 日が替わり、瑞子が須崎に呼ばれた。須崎は言った。「早坂がミスした。取引相手に二股かけたのだ。早坂も終わりだ」。その頃、冴木は早坂から引導を渡されていた。うなだれる冴木の前に瑞子と千絵が現れる。そして、2人の後には裕美子の姿も。3人を見て全てを理解した冴気は、裕美子に向かって「これで婚約破棄だ。良かったな」と吐き捨てる。しかし、裕美子は「婚約したのはあなたが好きだからよ」と愛を告白。冴木は「これだから女は分からない」と・・・千絵が冴木の頬をひっぱたいた。「訳分かんないから女なのよ」。瑞子も「人の気持ちってチェスの駒じゃない」。裕美子の想いを必死に伝える2人。すると、ようやく冴木は裕美子に深々と頭を下げた。
 だが、これで事件が落着したわけではない。千絵は史郎に相談を持ちかける。瑞子と須崎部長の仕事の手助けをして欲しい、と。
 数日後、瑞子は須崎から新しい仕事を頼まれた。別の会社からメタノールの件で声が掛かったのだ。瑞子は、お局もOLも部の女性陣を動員して仕事を開始した。翌朝、徹夜の仕事は完成した。
 そんな夜、千絵は冴木の情報源と新しい仕事の仲介が史郎であることを瑞子に打ち明けた。瑞子は「あんたの恋はどこに転がるのよ」と切り返し、千絵に司の芝居のチケットを渡す。
 千絵は司の芝居を見に行った。堂々たる芝居に、千絵は本当の別れを決意した。一方、瑞子も史郎との別れを決めた。瑞子は史郎の姿を物陰から見ながら電話をかけた。「愛してる。だけど前に進みたいから別れます」。その夜、2人の足は『BarAIR。』へ。偶然会った瑞子と千絵だが、顔は晴れやか。すると、マスターの森川歩(つんく♂)が、2人に特製カクテルを差し出した。名前はラブクォーシェント=恋愛偏差値。美味しそうに飲む二人に「だろ? だから恋愛はやめられない」と、森川。
 その後、瑞子と千絵は、何でも言い合える仲に。そして『BarAIR。』には・・・今夜も恋に惑い悩む女性たちが集って・・・。


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