あらすじ
<第5回> <第6回> <第7回> <第8回>

<第5回> 「第二章 Party」
 高宮琴子(常盤貴子)は、とある異業種交流パーティーに出席していた。化粧室で新品の口紅をさす。その口紅は販売会議で部長から手渡されたもの。琴子は、ある外資系商社の企画部でアシスタントとして働いていた。口紅は、部長から試してみろと渡された今度輸入する新製品。琴子はさらに美容系のサプリメントを口にする。と、そこへ、同僚の真央(金子さやか)が入ってきた。「早く行きましょう。恋愛のパートナー探しに来たんですよ」と真央。琴子も「いい男みつけてやる」とやる気満々。
 店内では、立食パーティが行われている。その中で一際目立つ存在があった。夏目勇作(稲垣吾郎)だ。真央から、夏目がこのパーティーの主催者で五嶋通商のエリートと聞いた琴子は、早速、後を追うがなかなか見つからない。と、その時、琴子は男にぶつかってワインをこぼしてしまう。ぶつかった男が夏目だった。夏目は「気楽に楽しめばいいんだよ。ただ、男が目当てなら他所でやってくれないかな」と手厳しい。ちょっとむかついた琴子が「私がそうだって言うんですか」と問い詰めると「中身空っぽですと触れ回ってるのに気付いてないみたいだから」と夏目。結構、図星なだけに、琴子は逆に腹が立ってしまう。
 夏目と自分に対する怒りで胸を一杯にしながら、琴子は真央のところへ行った。すると、中年男・矢部正隆(中丸新将)が話しかけてきた。と、その時、今度は琴子が男にぶつかられ、手に持ったワインをスーツにぶちまけてしまう。男は守屋ガラス工場社長・守屋俊平(山口智充)。守屋は、落ち着きがなく作業着姿で風采が上がらない。夏目が遠くから軽蔑の表情で眺めている。琴子にとっては散々なパーティーだった。
 夏目に「中身がない」と言われたのが余程ショックだったのか、琴子は翌朝、もっと意義のある仕事につけるようにと部長に直談判に向かう。だが、部長は取り合わない。それどころではなかったのだ。社長が金を持ち逃げし、アメリカの本社も手を引いてしまった。つまり、会社は倒産、琴子たちは失業してしまったのだ。
 1週間後。琴子は、とあるパーティーにいた。真央も一緒。ただし、コンパニオンとしてだ。琴子は再就職のコネを作ろうと必死。笑顔を振りまき会場を歩くと、そこに夏目の姿が。琴子の運ぶグラスを取ろうとする夏目。根性で顔を隠す琴子。なんとかその場を離れるが、後ろから琴子の肩をつかむ手が。観念した琴子が振り向くと、矢部だった。矢部は、琴子に会社を紹介してやると言う。
 仕事を終えた琴子は『BarAIR。』へ。マスターの歩(つんく♂)が新入りのナオヤ(井田篤)を紹介する。と、男が入ってきた。夏目だ。夏目は、相変わらず人を見下したような語り口。「君はヘッドハンティングされたことあるの?」、「自分に価値があると勘違いしてない?」と夏目の言うことが、癇に障る琴子は「五嶋通商って、ほとんどがコネ入社なんでしょう」、「ぬるま湯育ちで偉そうなこと言わないで」と言い放ち、店を飛び出した。
 琴子は矢部のオフィスを訪ねた。と、出て行く守屋とすれ違う。矢部は就職口をちらつかせ、琴子を別室に連れて行こうとする。そこへ、守屋が飛び込んできた。偶然だが、守屋の拳が矢部の顔面をヒット。矢部はノックアウトである。帰り道、琴子をなぐさめる守屋。だが、彼の言葉も耳に入らないぐらい、琴子のショックは大きかった。
 そんな、琴子の外堀がどんどん埋まっていく。アパートの契約更新を迫られ、カードの支払いが迫り、就職にツテの力は当てに出来ない・・・。ハローワークでも望む仕事は得られなかった。残されたのは、夏目と守屋の名刺だけ。琴子は意を決して1枚の名刺を取った。
 琴子は「守屋ガラス工場」を訪ねた。中では、汗だくの作業員が働いている。事務所では大曽根総子(大島蓉子)と寿育江(鷲尾真知子)の二人が和気あいあい楽しんでいる。琴子が声を掛けると、明るく中へ招じ入れた。守屋の素性などを勝手に話すと、二人は仕事に戻ってしまい、琴子は事務所番になってしまった。それどころか、いつしか、荷物運びまでやらされ、爪まで欠けてしまう始末。そこへ守屋が帰って来た。
 江戸川の土手で琴子と守屋は話し始めた。琴子は、自分の悔しく情けない境遇に、つい恨み言を言ってしまう。守屋は「世の中捨てたもんじゃない」と優しく慰める。と、思い付いて言う。「就職決まるまでうちでバイトしない?」。結局、琴子は、守屋の工場で事務のバイトをすることにした。古参の職人もいれば外国人もいる。「歓迎パーティーやろう」の声が上がる中、琴子の携帯が鳴った。夏目からだ。
 その夜、夏目と琴子は『BarAIR。』に座っていた。「男を紹介するよ」という夏目の、人を馬鹿にしたような物言いに、席を立とうとする琴子。夏目は構わず「俺と付き合ってみない。結婚を前提に」と続けた。・・・結婚・・・いきなりの申し出に琴子は固まってしまい・・・。

<第6回> 「第二章 Party」
 高宮琴子(常盤貴子)は『BarAIR。』でばったり出会った夏目勇作(稲垣吾郎)に突然、結婚を前提に付き合おうと提案される。動揺する琴子だが、夏目はすぐに別の話を始めた。と、夏目の携帯が鳴る。仕事のようだ。しかし、夏目はいたずらっぽく「デート」と言い残し出て行った。琴子には夏目の真意がつかめない。
 ガラス工場で事務を取りながら、琴子は夏目の不思議な言動を考えていた。そこに、守屋俊平(山口智充)が帰って来る。琴子に親切な守屋を見て、従業員の大曽根総子(大島蓉子)や寿育江(鷲尾真知子)が2人の関係をからかう。苦笑するしかない琴子だった。
 ある日、琴子が金魚鉢を台車に積み込んでいると、足をくじいてしまった。職人の沢井卓治(佐藤允)に「そんな靴はいてるからだ」と怒鳴られるが、琴子は小声で「私が向いてないんだと・・・」と言い返すのがやっと。そんな琴子たが、納品書や製品管理にパソコンを導入して、皆を感心させてもいる。そんな折、琴子は夏目に呼び出された。『BarAIR。』で夏目と会った琴子は「結婚を前提に」という言葉の真意を確認したくて仕様がない。だが、夏目は別の話ばかり。別れ際になって琴子はようやく聞くことが出来た。「本気なんですか?」。すると「結婚が前提じゃないと付き合えないの?」と夏目。琴子は生来の負けず嫌い。「そんなつまらない女じゃありません」と強がってみせる。だが、意地になって帰りのタクシーを捕まえようとする琴子に、夏目は突然キスをした。それから二人はシティホテルへ・・・。翌朝、琴子が目を覚ますと夏目の姿はなかった。
 その日、琴子は仕事が手に着かない。一方、夏目は、二日酔いの環に「最近誰かさんが遊んでくれないしね。ネクタイが一緒よ」と突っ込まれていた。琴子は仕事帰りに元同僚の田島真央(金子さやか)に会い、夏目のことを打ち明ける。夏目が遊び気分ではないかと疑う琴子。すると真央は、例え相手が遊びでも関係が前進したら押していくしかないと強気にアドバイス。
 琴子は、どうにも仕事が手につかない。集中力を欠く琴子は、納品ミスをしてしまう。相手は先代からの大切な取引先。守屋はかばうのだが、従業員たちは手厳しい。「無理して働いて貰うことない」「向いてないのかもね」と上がる非難の声に、琴子は「いつでも責任とって辞めますから」と言い残しその場を立ち去るのだった。工場を出て『BarAIR。』に行く琴子。人待ち風の琴子に、マスターの森川歩(つんく♂)が「この前の男?」と尋ねる。否定する琴子に「素直になれば」と森川がアドバイス。
 翌日も、琴子はガラス工場へ。皆の視線は厳しい。そんな折、育江が倒れた。育江は、娘を音大に入れようと寝る間も削って働いていたのだ。琴子は、育江の仕事をカバーすることに。すると守屋が、従業員の話を始めた。皆それぞれの苦労や悩みを抱えていると言う。「僕には皆かけがえのない家族のようなもの」と従業員を思いやる守屋。
 部屋に帰った琴子は、CDケースから1枚のクラシックアルバムを取り出した。あの晩夏目が挙げた曲だ。そんなころ、夏目は父と電話で話していた。父は自分の会社に入れと言うが、夏目は「妾の子にだってプライドがある」と固辞。と、そこに琴子からのメールが届く。「私、あの曲知ってたんですよ。そのことだけを言っておきたかったから」。夏目はその画面を見つめた。
 翌日、琴子は守屋に辞めることを切り出した。バイトでもあることで、工場の仕事をバカにしていた自分が恥ずかしい。中途半端でいい加減な自分は、ここで働く資格はないと言う琴子。そこへ、従業員たちがぞろぞろと入って来る。皆、外で二人の話を聞いていたのだ。しかし、知らぬ振りで仲間に話すように話しかけ、仲間として受け入れてくれた。琴子は感動し、再びバイトを続ける決心をする。
 その深夜、夏目が琴子に電話してきた。あの曲をなぜ知っているかと聞く。琴子は、その曲はブラバンだった兄が、琴子が失恋した時に吹いてくれた曲だったこと。そして、その兄が交通事故死したことを話す。今でも、落ち込んだ時にあの曲を聴くと言う琴子に「こっちも聞きたい気分」と夏目。落ち込むような事があったら何時間でも聞いてあげるという琴子だが、夏目は何も言わなかった。
 翌日の夜、琴子が『BarAIR。』に行くと夏目が待っていた。琴子は、意を決し、自分が見栄を張っていたことをすべてぶちまけ、正直に今の状況を話す。そして「本当のことをしってもらいたいの。あなたのことが好きになっちゃったから!」と告白する琴子。そんな琴子に、夏目は「だったら僕も正直に言うよ。五嶋通商の社員じゃない」。琴子の心はまた揺れ始めた。

<第7回> 「第二章 Party」
 高宮琴子(常盤貴子)は、夏目勇作(稲垣吾郎)の「商社マンではない」という告白に動揺する。すると夏目は「がっかりした?」「冗談だよ」と、いつものペースに。琴子は怒ったが、夏目は「気にする方がおかしい」と言う。
 守屋ガラス工場では、守屋俊平(山口智充)が期待の商品「風鈴イヤリング」を琴子の元へ持ってきた。改良中で意見を聞きに来たのだが、琴子はサイズや色に注文をつける。職人の沢井卓治(佐藤允)はちょっと気色ばむ。琴子は工場の人たちとのやりとりが、日常になっていくことに不安を覚える。琴子は、そんな自分を鼓舞しようと、ビジネススクールのドアを叩くが、短期で20万円の受講費とあって躊躇。そこで夏目に相談することにした。夏目は『BarAIR。』に水沢環(細川直美)といた。環はからかうように琴子に言う。「プロポーズされた?」。驚く琴子に「この人の十八番」。固まる琴子。夏目は琴子を全く無視して、環との打ち合わせに熱中している。森川歩(つんく♂)が、琴子を気遣う。
 翌日、工場では、風鈴イヤリングがデパートから千個も発注された。従業員たちは、大喜びで前祝をしようと盛り上がる。が、琴子は断った。その夜、夏目からコンサートの誘いが入る。喜びで舞い上がる琴子だった。出勤前に遊びにきた、田島真央(金子さやか)も、話を聞いて琴子の背中を押す。
 しかし、次の日、工場で問題が発生した。風鈴イヤリングを3日後に納めるよう、デパートから連絡があったのだ。従業員たちは、無理をしても作り上げようと団結。琴子は、無関心を装っている。それでも、帰宅時間には全員で必死に働く従業員たちを尻目に帰ることには、後ろ髪を引かれる思いのする琴子だった。
 日曜日。琴子は夏目とコンサートに出かける。それは、夏目の大学の同級生によるものだった。うれしい琴子。コンサートの合間に、メンバーとの雑談が始まる。メンバーは琴子に、夏目が業界最大手・亜細亜商事の社長の息子で、妾の子なので親に反抗しライバル会社に入ったことなどを教える。琴子は夏目と二人になると「泣いちゃえばいいのに」と話し出す。夏目は琴子の優しさに、ついキスをするのだった。
 だが、日が替わって琴子が電話すると「まさか、このまま結婚って手もあるんじゃなかいかって思ったりしてないよね?」と言い出す夏目。自分を逃げ道やアクセサリーにもするなと心を閉ざす。もう一度電話すると、環に出させて「今、シャワーに入ってるわよ」と言わせる。琴子は泣いた。その翌朝、立ち直れないまま守屋にバイトを休むと連絡した。
 日も暮れかけた頃、琴子はその日が風鈴イヤリングの納品の締切日だと気付いた。琴子は、コンビニフードを買い込み工場に急ぐ。工場は、まさに最後の追い込み中であった。事務所では育江たち女性陣が煮物や玉子焼きなど夜食作りの最中である。コンビニの食料に気付いた総子(大島蓉子)らは琴子の意図を察する。守屋も手伝ってくれと後押し。琴子の仕事は、まず、おにぎり作りから始まった。
 午前3時。琴子が糸を通して、千個の風鈴イヤリングが完成した。大喜びする社員に、今度は琴子も混じっていた。守屋たちから礼を言われるくすぐったさに、「何もしていない」と遠慮する琴子だったが、実は風鈴のサイズは小さくなっていた。琴子のアドバイスを聞き入れ、沢井が小さくしたのだ。沢井は琴子が買ってきたコンビニのサンドウィッチを食べている。琴子の方は、煮物を食べる。琴子は充実した感動で、ついに泣き出してしまった。
 そんな騒ぎの翌日、夏目は、父親が倒れ、亜細亜物産の後継者に指名されたことを知った。悩む夏目は、守屋ガラス工房を訪ねる。その夏目の目には、楽しげに働く琴子の姿が映って・・・。

<第8回> 「第二章 Party」
 高宮琴子(常盤貴子)が守屋ガラス工場で働く姿を陰から眺めた夏目勇作(稲垣吾郎)は、声を掛けることなく立ち去った。夏目はそのまま、亜細亜商事社長の父・雅勝の病院へ。病に倒れた雅勝は、夏目を跡継ぎにと望んでいるのだった。
 一方、琴子は、ウインドベル・イヤリングを通信販売のカタログ掲載寸前にまでこぎつけ、守屋俊平(山口智充)たちを喜ばせていた。
 琴子が『BarAIR。』で飲んでいると、水沢環(細川直美)が現れた。環は、以前、琴子が夏目に電話を掛けた時に自分が出たのは、夏目に頼まれてのことだと告白する。夏目は琴子にのめり込むのが怖いのだと言う。さらに、夏目が会社を辞め、父親の跡を継ぐかもしれないと教える。琴子は夏目が残業するオフィスへ急いだ。「お父さんと仲直りしたんだ」と、問いかける琴子だが、夏目はまだ迷っていた。夏目は「世界を飛び回って仕事する夢はどうなった?」と切り返す。だが、すぐに「俺のそばで夢に近づかないか」「一緒に戦わないか」と琴子をパートナーとして誘う。琴子は戸惑う。
 琴子は、元同僚・田島真央(金子さやか)と会う。「それって遠まわしのプロポーズですよ」「ガラス工場でくすぶっている場合じゃない」と真央は、琴子の背中を押す。  琴子は、夏目の申し入れを受けるか迷っていた。だが、そんな時、ウインドベル・イヤリングの通販カタログ掲載が決定した。守屋に報告した琴子は、工場を辞めることも告げる。従業員たちは寂しそうにしながらも、笑顔で琴子の旅立ちを祝福する。守屋も「もし、気が変わったらいつでも待っている」と優しく琴子を送り出した。
 夏目が後継者として、琴子が夏目の申し出を受けるかの、両者が結論を出す期限『亜細亜商事70周年記念式典パーティー』の日が来た。琴子の部屋に工場の従業員・近田武(武内幸太朗)がやって来た。近田は、通販の話が大手メーカーの横槍で潰れた、ついては言い出した琴子に力を貸して欲しいと言う。琴子は「私にそんな力なんてない」と断る。近田は肩を落として帰る。数時間後、琴子は近田が忘れて行った工場の制服に気づいて・・・。
 パーティーが始まった。琴子は、普段着で代官山を歩いている。と、浴衣の女性がウインドベル・イヤリングをしている。見つめる琴子。思い出すのは工場のこと・・・。そんな琴子の携帯に、環から電話が入る。環は、夏目がまだ後継者になるか否かを決めかねていると言う。夏目は、車椅子の父・雅勝(清水紘治)を見つめていた。パーティも終わりに近づいた頃、琴子がスーツ姿でやって来た。「スーツはこれが着納めよ」ときっぱり宣言する琴子。そして、夏目に「本当はお父さんのこと支えてあげたいんでしょ?」「あなたが一緒に闘いたいのは私じゃない」と。夏目は無言で会場のステージに向かい、スピーチを始める。「これからは父を支えて共に戦います」と後継を表明し「それを教えてくれたのは、とある女性です」と琴子に目をやる。「僕の大切な友人です」と。
 琴子を送る夏目。夏目は、そっと琴子を抱きしめて「行きなよ」と促した。琴子はその足で守屋ガラス工場へ向かった。驚く従業員たち。ウインドベル・イヤリングで落胆している彼らに「私が責任を持ってやり遂げる」と宣言し、守屋に「正社員にしてください」と頼む。この日、琴子の2度目のパーティーが始まった。


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