1974年11月。12歳の由起子はデパートで見知らぬ少女とぶつかり、両親の結婚記念日のために買った高価なワイングラスを割ってしまう。由起子は外国人のような顔立ちの少女に抗議するが少女は謝りもせずに行ってしまった。
　帰宅した由起子は、高校生の兄・俊彦に事情を話す。少女への悔しさから泣きだした由起子に、両親の関係も壊れたワイングラスみたいだ、と俊彦がさめた表情で言った。
　その夜、由起子の父・猪士郎は、母の絹子に指輪を贈り、2人は結婚20周年の祝杯をあげる。仲睦まじそうな2人を見て、由起子も限りなく幸せな気分に包まれる。しかし、猪士郎には、もう1つの家族があったのだ。