アルジャーノンに花束を
アルジャーノンに花束を
2002年12月17日(火)放送終了

放送内容詳細

 ハル(ユースケ・サンタマリア)の知能低下がついに止まった。ただし手術前よりも低い水準で。「運動能力や言語障害には至らなかったようだ」。建部教授(益岡 徹)の言葉にエリナ(菅野美穂)や徳永(田口浩正)、留美子(石橋けい)が沈痛な表情をのぞかせると、ハルがおどけて見せた。「こら、ハル君!」。ハルの周囲にはしぜんと笑い声がおきる。手術前と変わらずに。
 ハルはエリナに連れられて桜井パンに帰ってきた。「お帰り、ハル」。恭子(中島知子)やミキ(榎本加奈子)はもちろん、従業員たちも全員笑顔で出迎えてくれた。恭子はエリナと2人きりになると、高岡(吉沢 悠)のことを心配してくれた。「自分を犠牲にして誰かのためなんて思い上がりだよ。ハルに失礼だよ。それにあんな格好いい男、もったいないよ」。冗談めかした恭子の言葉にエリナは少し気持ちが楽になった。
 ハルは再びパン工場で働きはじめた。早速以前のように失敗の連続。「また、これが始まるのか」。しかしもう誰もからかったり、いじめたりしなかった。ハルがそこにいるだけで穏やかな空気が生まれた。「どうしてハル君は頭よかったのにバカになっちゃったんですか?」。ミキにはハルの変化が理解できなかったが、2人は仲良く障害者学級に通い始めた。「こんにちは」「はい、じゃ授業を始めます」。ハルにもエリナにも以前と変わらぬ日常が戻ってきた。
 高岡がハルを訪ねてやって来た。「ハル、わかんなくてもいいから聞いてくれ」。呆気にとられるハルにおかまいなく高岡は一方的にしゃべった。「俺、やっぱりエリナが好きだ。もう一度、あいつにプロポーズしてみる。いいよな、ハル」。涙ぐむ高岡を不思議そうに見ていたハルはつぶやいた。「エリナ先生が笑うとボクもうれしいです」。2人のやりとりを物陰からうかがっていたエリナはそっとその場を離れた。
 エリナは建部教授からハルが最後までつけていた経過報告のリポートを手渡された。「読むのは辛いかもしれない。でもこの中にはあなたへのメッセージがたくさんつまっています」。エリナは公園のベンチでリポートを読んだ。ハルは自分の運命を恨んでいなかった。むしろ手術によって新しい世界を知ったことを感謝していた。そして最後まで周囲の人々の幸せを願っていた。とりわけエリナの幸せを。「ハル君、ありがとう」。エリナはこらえきれずに泣いた。
 エリナは佐智代(いしだあゆみ)と出会った。「ハルは元気でやってるんでしょうか」「ええ」。ハルが外国へ行ったと信じているのだ。「私ずっとおびえていたの。なんでひどい目にあわないんだろうって」。エリナはハルが一度たりとも佐智代を憎んだりしなかったことを知っている。もう嘘はつき通せなかった。「ハル君は今─」。エリナはすべてを告白した・・・。
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出演者

藤島ハル ・・・・・ ユースケ・サンタマリア
遠矢エリナ ・・・ 菅野美穂
高岡晴彦 ・・・・・ 吉沢悠
桜井恭子 ・・・・・ 中島知子(オセロ)
小林留美子 ・・・ 石橋けい
蓮見冬美 ・・・・・ 山口あゆみ
原田文彦 ・・・・・ 井澤健
柳元啓輔 ・・・・・ 岡本竜汰
成瀬和歌子 ・・・ 牛尾田恭代
西岡義人 ・・・・・ 野口優樹
竹井友子 ・・・・・ 田中景花
建部真一郎 ・・・ 益岡徹
徳永篤 ・・・・・・・ 田口浩正
田代ミキ ・・・・・ 榎本加奈子
蓮見佐智代 ・・・ いしだあゆみ

ほか

スタッフ

原作
  「アルジャーノンに花束を」
   ダニエル・キイス
脚本
  岡田惠和
プロデューサー
  安藤和久(関西テレビ)
  東城祐司(MMJ)
  伊藤達哉(MMJ)
演出
  新城毅彦
制作
  関西テレビ
  メディアミックス・ジャパン