あらすじ
<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回> 「弁護士さん私が犯人です」
 大介(ユースケ・サンタマリア)が初めて国選弁護人をつとめることになった。倉本(佐戸井けん太)から押しつけられたのは強盗傷害事件。早速拘置所で被告人の小島俊介(橋龍吾)と接見した。俊介は窃盗目的で大学教授の内山(西田健)の自宅に忍びこんだ。しかし帰宅した内山に見つかり、頭部をゴルフクラブで殴って逃走。付近をうろついていたところを警官に緊急逮捕された。「その通りですよ」。俊介はあっさりと容疑を認めた。大介は洋一(いしだ壱成)を連れて内山家を再訪した。
 「示談なんかするつもりはありません。あんな奴、できるだけ長く刑務所に入っていればいいんだ!」と、大介は一度追い返されていたのだ。
 ところが今回は洋一が内山の専門分野に話題をむけると「優秀な方と話していると気持ちいい」と上機嫌になった。そこへ娘の知恵(片瀬那奈)が帰ってきた。「いらっしゃいませ」。ロングヘアの清楚な優等生タイプ。「妻を亡くして以来、この子の将来が私の一番の楽しみです」。弁護士を目指しているというが、大介は知恵のあまりに淡々とした受け答えが釈然としなかった。洋一を気にいった内山は「示談を考えてもいい」と言ってくれた。
 大介は俊介が嘘の自白をしたのではないかと疑問をもち始めた。俊介は塀を乗り越えて内山家に忍びこんだというが、塀はかなりの高さで無理。「俺がやったんだよ」。俊介はあくまでも自分の犯行だと言い張るが、犯人を目撃した隣の主婦は大 介に打ちあけた。「家から出てきた人はほっそりした感じの人よ。でも逮捕されたのは大柄な人なんでしょ。上着の色が同じだからって結局その男にされちゃったのよ」。
 裁判が始まった。検事の安西(上杉祥三)が起訴状を読みあげると、俊介は「その通りです」とあっさり罪状を認めたのだが、「被告人は誰かをかばって罪をかぶろうとしている可能性があります」と大介が発言し、「俺がやったんだよ。こんな奴は解任だ!」。被告人と弁護士がやりあう前代未聞の混乱のまま閉廷した。
 その頃、事務所では見学にやって来た知恵を弥生(水野美紀)が案内していた。
 「どうして弁護士を目指そうと思ったの?」「社会に必要な仕事だし、やりがいがあると思って」。知恵の答えはそつなかった。彼女が帰ってから弥生は洋一にポツリともらした。「夢を語る時って、もっと楽しそうだと思うんだけど」。
 大介は洋一を共同弁護人にすることで解任を免れた。「真犯人を捕まえるんだよ」「どこにいるんですか」「さあ」。手始めに俊介の交友関係を洗うことにした。バンド活動をしていた俊介には多くのファンの女の子がいた。「この人よ!」。ライブ会場の写真に隣家の主婦が目撃した犯人が写っていた。「俺たちで探しだそう」。大介と洋一は意気込んだ。2人は懸命にファンの女の子たちに当たるが、犯人らしき男の情報は入ってこない。そんな時、意外な事実が明らかになった。知恵が俊介のバンドの追っかけをしていたというのだ・・・。

<第8回> 「目撃者はうそつき少年と宇宙人」
大介(ユースケ・サンタマリア)と洋一(いしだ壱成)は放火容疑で捕まった田崎和也(白石朋也)と接見した。「僕はやっていません」。和也は被害者宅の娘にストーカーまがいにつきまとっており、出火する1時間前にも被害者宅で騒ぎをおこしていた。出火時刻には「車で走りまわっていた」というが、証人はいない。状況証拠はかぎりなくクロに近い。
現場周辺の聞き込みを始めると、「僕、見たよ。放火の犯人を」。大介が公園で休んでいると、昇太(東海孝之助)という小学生の男の子が話しかけてきた。昇太に案内されるまま、大介はとある建物の裏手についていった。「そこだよ」「分かった。君は向こうにいろ」。大介が窓のカーテンを開けた途端「キャーッ!」と悲鳴があがった。室内では若い女の子たちが着替えの真っ最中。大介は気の強いそうな美香(春木みさよ)に捕まった。「あの子にだまされたな」。痴漢扱いで連行された警察署で大介は刑事に笑われた。昇太は嘘つき少年として有名だった。駆けつけた洋一と警察署を出ると昇太が姿を現わした。「待て!」。ところが叱るつもりが、同級生に囲まれた昇太を助けることになった。誰彼と見さかいなく嘘をついては嫌われているらしい。
昇太は葛西所長(中山仁)の息子を装ってオフィスにもやって来た。和也の車の写真を見て昇太は言った。「この車見たよ、火事のあった日にうちのベランダから」。
あの夜、昇太のマンション前の空き地に和也は車を止めてタバコを吸っていたという。もしそれが本当なら和也の出火時のアリバイは成立する。しかし和也本人はドライブしていたと言っている。「こいつが嘘ついてんだよ!」。大介が決めつけると昇太はとんでもないことを言い出した。「UFOを待っていたんだ」。大介が痴漢騒ぎに巻き込まれた建物の屋上に宇宙人がいた。だからUFOが迎えにくるものだとベランダから見ていたという。これには洋一と弥生(水野美紀)もガックリきた。
大介は昇太をマンションに泊めるはめになった。昇太は母子家庭だが、母親の順子(秋本奈緒美)は仕事に夢中。「ママなんか嫌いだ」。大介が電話をかけてやっても帰ろうとせず、孝介(仁科克基)と絵里(水川あさみ)と一緒にに楽しそうにゲームをしていた。
翌日、大介が昇太を自宅に送り届けると、順子の姿はなかった。メモにはしばらく帰らないと書かれていた。「大介には迷惑かけないよ」「母ちゃんがいなくなったら、普通泣くだろ」。強がって見せた昇太だったが、涙をにじませた。離婚した父親が出張から帰ってくるまで、大介はマンションに泊めてやることにした。
和也が証言をひるがえした。昇太の言うように、空き地に車を止めていたという。
「また彼女の家に行くつもりだったから」。洋一は昇太を法廷で証言させることにした。「ただし宇宙人の話はしないで」。大介は気にいらなかった。「それじゃ昇太のことを信じてないってことだろ」。大介は昇太に目撃した宇宙人の似顔絵を描かせると、マンション周辺で聞き込みをした。もちろん宇宙人の目撃者など見つかるわけない。   
裁判当日。証人席に昇太が立った。主任弁護人の洋一がたずねた。「その車はどのくらいの時間、そこに停まってましたか」「1時間くらい」。検察官が昇太に「君はよく嘘をつくらしいね。」と反対尋問を始めた。「今度は本当だよ。宇宙人だって見たんだ」。傍聴席から笑い声がもれた。一番危惧していた展開に洋一はガックリと肩を落とした・・・。

<第9回> 「結婚詐欺」
 大介(ユースケ・サンタマリア)と洋一(いしだ壱成)はあわてて屋上に駈けあがった。洋一に結婚詐欺の相談をしていた男が飛び降り自殺するかもしれない。「もうダメなんです。神様は僕を見放したんだ」。その男、野沢伸也(高橋克実)は自暴自棄になっていたが、大介が飛びついて思い止まらせた。
 洋一は英子(川島なお美)に同行してもらい、伸也をだましたという相手の女性に会った。三浦温子(戸田菜穂)は、化粧けの薄い、好感の持てる感じの女性だった。
 温子との結婚を望んでいた伸也は、彼女からマンションの出物があるからと言われて、貯金の1千万円を渡した。「つい悪い癖が出て」。温子は店の女の子たちと出かけたアメリカのラスベガスで全額すってしまったという。「それで詐欺罪に問われないつもりでいるの?」。英子の追及にも温子は動じなかった。「ホステスをやめるつもり。そうなるとせいぜい月に1、2万円しかお返しできないわ」。
 大介と弥生(水野美紀)は伸也をなだめるために飲みに誘った。ところが2人は伸也そっちのけでケンカを始めた。葛西所長(中山仁)の紹介で弥生がクライアントの社長の息子と見合いするのが、大介は気に入らないのだ。大介は泥酔した伸也をマンションに連れ帰った。伸也は絵里(水川あさみ)を温子と勘違いしてからんだが、当の温子から携帯に電話がかかってくると、喜んだのもつかの間、温子のつれない態度に「殺してやる!」とナイフをつかんで飛びだした。
 大介は後を追い、間一髪で温子を助けた。「ありがとう」。温子から見つめられた 大介は自分が弁護士であることを言いそびれた。「むこうから誘ってきたんなら、探りをいれるチャンスじゃない」。英子から言われて、大介は戸惑いながらも温子とのデートにむかった。「私、一生結婚なんかしないわ」。温子はポツリともらした。や はり伸也をだましたのか。温子から「うちに来る?」と誘われ、大介は温子に腕を取られるとタクシーに乗りこんだ。尾行していた洋一と弥生はぼう然と見送った。
 「どうぞ」。室内はきちんと片づいていた。温子はボードに貼られたスナップ写真を大介にくれた。「結婚しないってどうして?」。温子はいきなりスカートをまくった。太股の古い傷痕があらわになった。「母親にやられた、小さい時。結婚して子供ができたら同じことをしそうな気がする。だから結婚はしたくない。あなたといて結 構幸せよ」。温子は大介に近寄るとツーショットの写真を撮った。大介はもう嘘を続 けられなかった。「ごめん。じゃ、また」。逃げるように部屋を出ていった。 「彼女がそんな悪い人間とは思えないんだよな」。大介は温子からもらったスナップを洋一と弥生に見せた。「この日付!」。その日付はラスベガスにいたはずだが、温子の背 景はどう見ても日本国内だ。「彼女からもらったって、裁判で証言してください。あ なたを承認として喚問します。拒否すれば処罰されますよ!」と洋一に言われ、温子を騙したことになり戸惑う大介だったが、証人として出廷することになり・・・。


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