FROM LUCKY Vol.42

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もう,夏も終わるのね

「もう夏のラッシュは終わった!」なんて先週、とある所で言っていたら、な〜 んだとんでもない!全然終わってなかったのです。韓国に行っておみやげに明太 子を買ってきてくれた“ぎょとん”ではありましたが…、ごめんまだ受け取って いないんです。きっと学生さんたちは(!?)レポートと宿題に追われているん でしょうね?今のうちにやっておきなさい!

私は、学生時代を通じて、宿題も勉強もしませんでした!と胸をはって自慢して いたら、ここ数年、この商売を始めてからの自分の姿をみると、毎日宿題に追わ れて、泣きながら夜、机に向かう学生の王道の姿、そのものでした。ひょえ〜… やっぱ、借りは返さなきゃいけないんだ。

前回からの続き)

 で、そろそろこの旅行記も佳境、なんですが、う〜ん悩んでいます、ひとつだ け。
例えば僕は、70年代のヒッピーではないし、ま、まっとうな生活を営んでいる (色々問題はありますが…)社会人の一員でもあります。ところが、この旅行の 一番のポイントは、と言うと、そう“イリーガル”なものとのお付き合いの仕方 なんです。僕は学生時代に、なんかの縁があってゼミの教授に連れられて(?) ゼミのメンバー全員で精神病院に研修にでかけた経験があります。数日間、その 特殊な環境に触れていると、それはそれは心にヘビーなモノがのしかかってきま す。なかでも背筋が寒くなったのが“覚醒剤中毒”を初めとする薬物中毒。みん な年をとると病院で知らず知らずのうちに体験しているはずなんだけど、でもそ の現実を知って枷をはずされることがあれば…、それはそれは大変な事になるん です。絶対に、そんなモノに触れることがあっては、そんなモノに逃げてはいけ ないのです。(学生時代のその経験は涙を流してしまうほど…悲惨なものを目撃 することになりました)

 でも、それはケミカル。ナチュラルなものを安全範囲で…(ま、無理だろうけ れど…)だったらそれはお酒よりは全然安上がりでいいんじゃないの、攻撃的 (モノによりますが)にもならないし。そして南の島で気ままに暮らす人々は、 たとえ国で禁止されていても、上手に上手にお付き合いしているのです。その事 実を肯定できるか出来ないか、で、その島や自然を感じることはできないので す。

 行くと身の回りに存在してしまうから無視するわけにはいきません。自分では 全然体験しなくてもいいんです。でも…、その環境を心から容認できないと、楽 しむことはできません。自らはピュアであっても(この言い回しも微妙だけど ね)気にしてしまうと折角の自然と人々を理解できなくなるのです。
 だから、例えばいわゆる麻から出来てしまうタバコの様なモノの話をしても、 誤解して欲しくないのは、それをやることが決して格好いいわけではなくて、昔 から生活に入り込んでいるものを否定しない、という事なんです。それを持ち込 んで、もしくは率先して楽しむのが一番いい!と言ってるわけではないのです。 普通の煙草のように思っていればいいのです。その匂いが、雰囲気が醸し出す独 特の世界は、そう煙草の煙が充満する昔懐かしい頃の雀荘に置き換えて考えて 貰ってもいいのです。
 そう、そんなお金を出さずに手に入れられる(この地で例えばビールは最高の 贅沢品です)害のない楽しめる(酔える)もの、これを当たり前の様に歓迎の意 で初対面で回し飲みするお気楽さ!が、KohPhaNganのビーチではお目にかかるこ とになったのです。

 マリワンというここのコミューンの女主人は、僕らのようなふらっとやってく る(そう大体ここには電話なんて絶対ないんだから…)ゲストに対して、最初か ら壁のない、と言って図々しくもない、なんだか昔、日本の良妻賢母みたいな雰 囲気の人だったのです。ご主人達は、それは昼間はバンガローを作り、荷物を運 び、モノの修理をして仕事しているのですが、もう日が暮れると、なごめる匂い をプンプンさせてすっかり平和になってしまって使いモノになりません。奥さん であるマリワンは、決して自らは楽しむことはなく、僕が進めるビールを飲むこ とも決してなく、でもニコニコしている。声を荒げる人々など決していないコ ミューンを、自らの人格で作り上げているのです。野望や贅沢な欲はないけれど …、でも最小限で最高に楽しいだろう世界が作り上げられているのです。

 でも、一度、贅沢や奇妙な野望(?)を知ってしまった僕には、決してたどり 着けない、もう手遅れな楽園でもあったのです。

To be continued

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