CLAMP TALK Vol.3 part 1


TK
TK & YOSUI in Talking.

FROM This week's CLAMP TALK : 井上陽水
about MUSIC

   (10秒前、8、7、6、5秒前、4、3)
小室
10月から『HEY! HEY! HEY!』のエンディングテーマで朗々と歌ってらっしゃる方が、今日のゲストです。井上陽水さんです。

井上
こんばんは。

小室
よろしくお願いします。陽水さんとはですね、すでに面識があって、しかも合計したら、何時間もお話してますよね。

井上
一回、食事すら共にした仲っていうか。

小室
なので、気持ちとしては、リラックスした気分なんですけど、今のとこは。

井上
僕は小室さんにお会いしてびっくりしましたね。こんなに協調性がある人だとは思わなかったですから。

小室
僕も、陽水さんがこんなにお話がまろやかな方だとは思いませんでしたね。

井上
あ、そうですか。

小室
ええ。声のトーンも。もう何千人の方から言われてると思いますけどね。声のお話とかは。 

井上
ずいぶん言われましたね、声はね。電話なんかで、声だけ聞いてると、うっとりするなんて話もないことはなかったですしね。

小室
今、サンプリングという、シンセサイザーで音をレコーディングする技術が、かなり進んでますよね。で、波形まで見られるわけですよ。井上陽水さんの声は、一度録ってみたいなと思いますけど。

井上
ああ、それは妙な死に方をして、大学の病院で解剖されてるような状態ですかね。

小室
きっと高域から低域までまんべんなくあるんじゃないかなって思いますよ。僕の声とかは上の方の成分しかなくて、下がないですよね。体型もあると思うんですけれども。胸に響かない声だと思うんですよ。

井上
そういうのを科学的に再現していただきたいですけどね。完璧ってことはあり得ないでしょうけど、今の時代の技術で、なぜこんな声なのかを分析してね、再現できるもんだったら、けっこう近いところまで再現していただきたいですね。

小室
まだそこまではいかないでしょうね。

井上
そうですか。まあ、なんか御用の節があったらひとつ。

小室
ジェームズ・ブラウンの声のサンプリングをね、みんな使ってるわけですよ。一発で……ワンフレーズの半分だけ使ってもJBだってわかっちゃうような特徴のある声を。多分、陽水さんの声をサンプリングして、「HEY!」とかいう言葉を使ったとしても、わかるでしょうね。

井上
そうですかね? 

小室
多分ね。それぐらい、出来上がった声ですよね。だから、どんなジャンルの音楽にトライしても、何をやろうが自分のブランドにはなるけれど、何をやっても自分にしかならないというか。思いきって違うことやろうとしても、結局、最後に井上陽水さんの声が乗っかると、陽水さんの曲になっちゃうっていう。

井上
まあ、善し悪しはありますよね。

小室
今の僕の音にしても、ダンスミュージックみたいな音楽にしても、通信カラオケとかも、全部がシンセサイザーの音ですからね。非常に馴染みやすい音かもしれなくて、聴きやすいんだと思うんですけれども、必ずまた変わりますからね。

井上
それは絶対そうなりますよね。

小室
僕の場合はトレードマークになるような声がなかったですから。体で表現できるものには、自信なかったんですよ。歌も含めて。だから、何かを使うしかなかったんです。そこにシンセサイザーがあったわけですね。だから、ポスト狙いですよ。

井上
あ、そうですか。

小室
うん。だから、みんながやってないものを見つけて、まだないものを捜して、それを使って表現してきたわけで。もし自分声に自信があったら、歌ってると思いますけどね。ずっと歌いたかったんですけども、アマチュア時代から、人の意見を聞いてると、なんとなく感じたり、察したりするじゃないですか? 「曲がいいですね」という意見の響き方と、「歌もけっこういいよね」と、いう響き方にはかなり差がありましたから。

井上
よく言われるのは、ステージなんかでね、歌う人に一本のライトが当たって、多くの観客がいて、まるでその一人の世界を、みんなが見守ってね、うっかりすると、後ろのミュージシャンまで見守ってるみたいな感じで。「こんないい仕事はない」なんて言われますけどね。

小室
だから、ミュージシャンと言っても、歌が一番ですよ。絶対に。その、憧れているみなさんの中で、ギターを抱えてたりとか、ピアノの前に座ってる絵は浮かんだとしても、結局は自分の言葉で歌えるってことだと思うんですけどね。それに憧れているんじゃないですか? だから、キーボードなんて、ずいぶん下だと思うんですよ。今でも、学園祭でバンドやるとか言っても、やっぱりキーボードは少ないと思いますけどね。

井上
僕はね、長い間、そうやって歌やってましたから、そっちの立場からいうと、ベーシストなんかが一番憎たらしい位置ですね。なんだかしらないけど、ベースのフレーズとか、あの音にね、ずいぶん女性が。

小室
ああ、よく聞きますね、それは。

井上
反応したり。で、歌ってる人はマスコミとかも追っかけるものでしょ。例えば、昔だと、タイガースの沢田研二とか。とにかくマスコミなんかは歌ってる人を中心に追いかけますからね。で、注目がやや薄れてるベーシストなんかが、コンサートが終わって、夜な夜な悪いことしてるような気がしてね。「ベーシストっていいな」って思いましたけどね。

小室
あ、でも、事実じゃないですか? 

井上
そうですか?

小室
ええ、かなり。ベースはスケベというのはよく聞きますよ。「そうじゃないよ」って言う人もいるかもしれないですけど。あのU2のベーシストなんか、モデルのナオミ・キャンベルさんと付き合ったりしましたもんね。U2だったら、普通は、ボーノというヴォーカルが一番注目されますけどね。まあ、確かにU2のベースはカッコいいんですけど。

井上
僕の感想だと、キーボードは、どっちかっていうと、ネクタイ派ですかね?そうでもないですか?

小室
あ、根暗じゃなくてですか?

井上
まあ、ちゃんと銀行にも行けるって感じでね。サラリーマンでも働けるような。どうですかね? 

小室
どうですかね? そうそう、ここにゲストで来て頂いた方とは、テレビが好きか嫌いかってトークが多いんですけども。陽水さんは? 各ミュージシャンの方が、どうしてテレビに出ないのかって話になったりして。陽水さんは、その草分けですよね? 第一次というか。テレビ出ないミュージシャンの。

井上
そうですね。

小室
話を聞くと、本当はテレビは好きだって方が多くて。で、僕が思うに、カッコつけるためにミュージシャンになってるのに、テレビに出て裸になっちゃうのがね、ちょっと怖いみたいな感じではないかな、と。

井上
そういう場合、小室さんから見てね、その気持ちをいかに切り替えて、現代に則した生き方をすればいいのか、ちょっと教えていただきたい。小室さんは、そこらへんの気持ちの持ち方をわかってらっしゃるから。

小室
だから、僕はここに出てきてくれる方はミュージシャンとして出てもらってるんですからって感じでお願いしてるんですよ。ミュージシャンから抜けちゃうと、ちょっと寒い感じになっちゃうから。ミュージシャンから一歩も外れないで、そのままで、って。そういう話をしてるんですけども。だから、僕も、やっぱり『HEY! HEY! HEY!』とかは相変わらず苦手ですよ。

井上
そうですか。 

小室
ええ。

井上
僕、今、チラッと話を聞きながらね、思ったんですけど。小室さんが言ってた、裸にされちゃうってフレーズでね、思ったんですけど。小室さんも、僕も、理屈はそうだとしても、裸にされちゃうのが嫌って感じがね、なんか違ってて。裸にされたって、裸にされて困るものでもあるなら立派なもんだけど、そんなものもないのに、裸にされちゃうのが嫌なんていう、感じがちょっと変じゃないかなって。そんなふうに小室さんなんかは思ってるのかな? て。今、思ったんですけどね。違います?

小室
いや、そんなことないですよ。難しいですけど、そういう話をしてると、自分はテレビで司会をやってる立場じゃなくて、ミュージシャン側の仲間と話してる感じになりますけどね。陽水さんは昔から本当にチョコチョコッとしかテレビに出演されませんけど。で、「ああ、利用してるんだな」と思って見てたんですよ、テレビを。

井上
あらあら、そんな、人を悪人みたいに…。

小室
ウマい使い方っていうんか。いいタイミングを考えてっていうか。

井上
そうですかね? 

小室
いい企画が挙がるまで待ってって感じなのかな? と思ってたんですけど。

井上
いや、いや。しかし、小室さんみたいにゲストだけじゃなくてね、司会っていうのかね、会を司って、一皮むけたっていうんですかね? 僕らの世代からいうと、素敵だなと思いますよ。それにふさわしい評価がね、あの……だんだん道徳の先生みたいになって……まあ、素敵ですよ。

小室
これ、陽水マジックなんですよね、やっぱり。その言葉、その単語、その声、そのスピード感で言われると、すっごく有り難い言葉をいただいている気分になりますから。

井上
いやいや。

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