絶対零度 未然犯罪潜入捜査 7月9日スタート 毎週月曜よる9時
2018.6.27 wed. Update

インタビュー #1 井沢 範人役 沢村 一樹さん

今回の企画を聞いたときに考えたことは?
正直、ピンときてなかったんです。いまも、あんまりピンときてないです(笑)。ただ、どうしてピンとこないのかというと、この「ミハンシステム」というのが誰にもわからないシステムだから。なので、このピンとこない感じがいいんじゃないかって自分では思っているんです。一応、発想としては前からあるじゃないですか、犯罪が起こる前に防げばいいんじゃないかっていう。でも、どうなんでしょうね。僕が子どものときに、「テレビ電話があったらいいよね~」って言ってたんですけど、実際に大人になってテレビ電話はあまり使わないっていう感じなので(笑)、本当にそれを使ったときにどうなるのかっていうのがわからないのがおもしろいのかなって思っています。
この『絶対零度』は、刑事ドラマの中でもかなり
ハードな作品ではあります。
そうですね。『絶対零度』というブランドになっているところがありますよね。でも、そこはあまり意識しないようにしてます。別物だと思っているので。ドラマの世界観というのは、僕たち役者ではなくて、作っている人たちの方が意識するもので、僕らはいまある物語に体をポッと預けるのが大事かなと思っているので。
相当、重い展開をしていきそうな予感もします。
ははは(笑)。聞くと、そんなに重いトーンにはしないとは聞いているんですけど……。月曜日の9時のドラマなので、そんなに重々しくやろうとは思っていないです、僕自身は。ただ、1話に1回、メリハリっていう言い方はちょっと違うかな、「アレ?」って思うところが、ちょっとズンとくる重さみたいなものがあるかもしれないですけれども。ドラマ全体としては、どうなんでしょう?  重くなりそうなんですか?
扱っている題材もそうですし、上戸彩さん演じる桜木泉との関係も含めて、
謎を残したまま展開していくところもあるので、
ストーリーとしては結構ハード目な感じなのではないかと。
確かにそうかもしれないですね。ミステリーということでいうと、ミステリー度は深いですよね、実際に。いろんなウワサを耳にしていまして(笑)、「最後はこうなるらしいよ」というウワサをちらほら聞くんですけど、「ええ!?」って思いましたから(笑)。
井沢範人というキャラクターに関しては、
監督からのリクエストはありましたか?
いまのところは特にないんですけど、「しっかり役を固めてからクランクインしましょうか」という話は出ていて。主要のメンバーで集まって、リハーサルみたいなことをやって、役をしっかり作ってから入っていこうっていう話にはなっています。
井沢は、ひょうひょうとしたというかコミカルな側面もあったりする
キャラクターですが、狂気的な部分も持っているキャラクターです。
そうなんですよね。だから、ひょうひょうとしているところは、あまりコミカルに演じようと思ってはいなくて。ただ、そんなに重々しくやるよりは、何考えているかわからない軽さみたいなものを出せるといいなと思っています。
本心がわからない感じです。
でも、よく言われるんです、プライベートで。「何考えてるかわからない」って(笑)。そういうものが出ればいいかな、と(笑)。あまり作り込まなくてもいい気がするんですよね。普通に、台本通りに、いただいたセリフを、特に色づけもせずに、普通のトーンで話してるだけでもう怪しく見えるって、自分では思ってます(笑)。
先ほど、リハなどをして固めてから、というお話がありましたが、
演じる上では、その方がやりやすいですか。
それとも現場の空気を感じながらやる方が演じやすいのでしょうか。
う~ん……。リハーサルをやりたいっておっしゃっているのは監督なので、多分監督が、僕らの頭の中にあるイメージを見たいんだと思うんです。僕はそんなに器用なタイプじゃないので、「ここ、もうちょっとこうしてほしい」って言われても、多分できないんですよ(笑)。だから、とりあえず僕の頭の中にあるイメージを監督にお見せして、一応、監督の中にあるイメージを見せてもらった上で、「で、どの辺でやりましょうか」っていうのを探る。腹の中じゃなくて、頭の中の探り合いというか。僕も、監督がどういう演出をされる方なのかわからないので。
もうすぐクランクイン(取材日は5月19日)。始まる前の心境は?
不安はないんですけど、早く始まってほしいですね。第一声を出すまで、なんかしっくりこないんですよ。その役で声を出してみないと。なので、リハーサルやってもらえるっていうのは、凄く良いことかもしれないですね、イメージを作りやすいので。
声を出して初めてピタッと重なる、という感じですか?
そうなるといいんですけどね。そこで、監督のイメージと僕の頭の中のイメージがあまりにも駆け離れていると、またやり直さなきゃならなかったりしますし、完全に作ったキャラクターにしちゃうと、上手くいかないこともあるので(笑)。
上戸彩さんの印象は?
僕は、11年前に他局なんですけど、上海ロケで彼女と一緒で、彼女は中国語のセリフが1/3くらいあって、あとの2/3は日本語で、すごく大変な現場だったんだけど、彼女はいつも溌剌としてやってるイメージで。さっき久しぶりに会って話したけど、全然変わってなかったです、その時と。ただ、それこそ『絶対零度』もそうですし、いろんな役を経験して、貫禄じゃないですけど、ちょっと自信みたいなものがついたんだなっていう、余裕を感じました。
役者さんのお仕事の不思議な面として、ある時期、ガッツリ一緒に
仕事したと思えば、何年も合わなかったりすることもありますよね。
上戸さんとはそれほどガッツリではなかったんですけど……。でも、そうですね、こんなに会わないとは思わなかったですけど。僕はもうすぐ51歳なんですけど、時間が経つのは早いので、11年っていうのは数字で見るとだいぶ長く感じるんですけど、ついこの間会ったような気持ちなんで。「久しぶり~!」とは言いましたけど、そんなに久しぶりとも思わなかったし(笑)。
今回のドラマに登場する、国民のビッグデータと過去の犯罪記録を解析
して犯罪を起こす可能性がある人物を選び出すという「ミハンシステム」
ですが、冤罪の可能性も含めてちょっと恐怖も感じました。
僕もさっきプロデューサー陣に確認したんですけど、良いシステムかどうかもわからないままでいいのかなと思っていて。やっている僕らも、「これは間違いない」「これがあれば完璧なんだ」じゃなくて、「本当にいいのかな?」って迷いながら。特に、横山裕くん演じる山内は、その葛藤がすごくあるので、そこをしっかり描いてるっていうのが、良いところだと思っているんです。視聴者の方たちと、「こういうのがあったらいいとは思うけど、本当にできるのかな?」とか「本当にいいのかな?」っていうのを一緒に考えてもらいながら。そうすると、「犯罪って何なんだろう?」とか「どういう気持ちで罪を犯すのだろうか?」ということも含めて、犯罪に対して考えることになると思うんです。「ああ、悪いヤツだ。コイツは捕まえなきゃいけない」っていう刑事ドラマばっかりなので、そういうきっかけになれば。僕自身が、この台本をもらってからずっと考えてるんですよ。そういうきっかけになればいいな、と思ってます。
確かに、普通は犯罪が起きてその報道を知って、
それに対して怒ったり悲しんだりするわけですけど、
このドラマはその前の段階の話ですからね。
そうなんです。もうちょっと違う犯罪だったり、罪を犯した人だったり、被害に遭った人だったりのことを考えるきっかけになればいいなと思います。
今は誰もがスマホを所有していて、
その便利さを享受しているわけですが、
そこには怖さや落とし穴があることも感じていると思うんです。
僕は、効率とか能率とかを考えてみるとすごく無駄がなくていいと思うんですけど、本当におもしろいものって無駄なものから生まれてくるような気がしているんです。映画が好きなんですけど、自分の好みの映画ばっかり観ちゃいますよね。でも、たまに違う映画に誘われたり、「これ面白かったよ」って言われて観る機会があったりしたときに、「ああ、こんな面白いものあるんだ」っていう時の喜びは、やっぱり大きいんですよね。自分の発想にはないところから得たものの方が、なんか刺激が大きいから、AIは限界があると思います。そこまで読めるAIが、もしかしたら出てくるかもしれないけど。「こういうのもお試しにどうですか?」みたいな。オプションで(笑)。
そこまで読まれてしまうのは怖いですよね。
それ見てハマっていったら……どうなんだろうな?「あなたのお似合いの人は、この方です」とか言われたら、そう思っちゃうかもしれないですよね。でも、それいいなあ(笑)。『君の名は』みたいに。「あなた、運命の人みたいですよ」っていって、向こうも「聞いてます」って言ったら成立しますよね。いいですね。
いいんですか?(笑)。
いや、わからないです(笑)。僕、結婚して子ども3人いるんですけど、「もっとお似合いの人がいます」って出たら、どうするんだろう?(笑)。まあでも、そこまではならないでしょうね。
今回ドラマは、アクションシーンも多いですね。
それも大きな見どころのひとつだと思うのですが……。
「割とハード目のアクションをやります」って聞いたんですけど、今回の現場に、僕が『仮面ライダーゴースト』をやったときに、ご一緒したスタッフさんがいらっしゃったので安心してます。その方からは、「それぞれのキャラクターでアクションは変えていきます」という話があってそれも楽しみですね。
一番カッコイイ沢村さんが見られるんじゃないか、と期待しています。
そうだといいですね(笑)。僕は、アクションシーンは結構好きなんです。ブルース・リーが好きだったので。一応、殺陣師の方には、「あの映画のあのシーンが好きなんです」っていうのは、伝えてあります。殺陣師の方も、「まさにそれを考えてました」っていうことでしたので。今回は、横山くんも本田翼ちゃんも、それぞれの殺陣があるので、それぞれのキャラクターの色が出るといいなと思ってます。
7月クール、暑い中での撮影になりますが……。
冬ドラマも大変です。でも、刑事モノは、夏にやっちゃダメだっていうのは、来年の「働き方改革」に入れてほしいです(笑)。僕は、何年も前から言ってるんです。「屋上のシーンっている?」って(笑)。しかも、真夏の屋上って地獄なんですよ。その話をしていたら、1話の冒頭のシーンは、ヘリポートでやりますって言われちゃいました(笑)。 でも、暑そうにやるので大丈夫です。それを「涼しい顔でやってください」って言われたら「ちょっと待ってください!」ってなりますけど。夏は暑いので、汗だくで、「夏でも刑事は捜査しますよ」というのが伝われば。
汗も伝わってくるんですね。
はい、現場っていう臭いがプンプン伝わるんじゃないですか(笑)。
最後に視聴者のみなさんへメッセージをお願いします。
これまでの『絶対零度』を応援してくださった方を裏切らない、また新しい作品にしたいと思っています。ちゃんと、上戸彩さんも出てますから。変化し続ける『絶対零度』を楽しんでいただけたらいいなと思います。そもそも、僕が月9をやる時点で、「えっ?」って思ってる人たちもいっぱいいると思うんですけど、それはしょうがないと思います。保守的な方にも、そうじゃない方にも、新しい『絶対零度』にしますので、楽しんでください。

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