インタビュー INTERVIEW

2024.04.02

インタビュー 01

“書けなくなったミステリー作家”黒羽ミコ役 
篠原涼子さん 
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 “解けなくなった刑事”森野徹役 
バカリズムさん

撮影現場の雰囲気は?

バカリズムさん(以降敬称略)凄く良い空気ですよね。

篠原涼子さん(以降敬称略)そうですね。ホットな感じで。

おふたりはこれから数か月、バディーを組むことになりますが……。

バカリズム役柄的にはまだギクシャクしているんですけど。ここからミコと森野がどうなっていくのかは、実は僕も先を知らないので……。

篠原逆に、「どうなるんだろう?」という感じです。

バカリズムカメラが回ってない部分での息はピッタリだと思います。

篠原さんは、映画『ウェディング・ハイ』で、バカリズムさん脚本の作品に主演されていますね。

篠原そうなんです。このドラマでバディー役をやらせていただくことになった時に、『ウェディング・ハイ』では脚本をやられていて、監督みたいな部分、演出的な部分もやられているので、そういった目線で見られたらちょっと困る……。

バカリズム見てないです(笑)。

篠原ちょっとドキドキしましたけど、私、本当にバカリズムさんの作品が大好きで、たくさん見ているんです。全部面白くて、「どうしてこんなにいろいろな才能があるんだろう?」と思っていたんです。だから、現場ではいつもバカリズムさんを観察しています(笑)。

バカリズムなんかね、すごい見られてるんですよ。ちょっと離れたとこでずっとニコニコしながら見てる(笑)。

篠原だって、ニコニコしちゃうくらい面白いんですよ。石で壁をほじっていたりしている姿とか(笑)。目が離せないんです。

バカリズムさんは篠原さんのことを「自分が高校生のころから第一線で活躍されていて、そのころからまったくイメージが変わりません」とおっしゃっていましたね。

バカリズムそうですね。もうずっと活躍されている方。ほぼ同世代なんですけど。

篠原東京パフォーマンスドールって知ってます?

バカリズムめちゃめちゃ知ってます!篠原さんはアーティストさんとしても活躍されていますし、何でも出来る方という印象。だから、最初は凄く緊張していたんです。それこそ『ダウンタウンのごっつええ感じ』も見ていましたし。ずっとスターだから、そんな方とご一緒できるなんて非常に光栄ですし、運が良いなと思います。

篠原私も運がいいなって思っています。バカリズムさんとこうやってお仕事出来るのは本当に嬉しいです。

バカリズムそういうことも気さくに篠原さんの方から言ってくださったりするので、めちゃくちゃ嬉しいです。

バカリズムさんから見て、現場での篠原さんの印象は?

バカリズム柔らかい印象というか凄く気さくというか、篠原さんの方からもしゃべりかけてくださるし。現場でも、ところどころで場を和ませてくださるのでありがたいです。

そういう関係性はテンポのいいセリフの掛け合いにも生かせそうですね。

バカリズムそうですね。役柄的には結構性格が合わない2人なんですけど、カメラが回ってないところではもう全然真逆と言いますか、凄く和やかで平和的な雑談をしています。

篠原猫かぶってるだけなんです(笑)。

ちなみにおふたりの中で一番盛り上がった話題みたいなのありますか?

バカリズム何でしょうね……セリフが結構多くて大変だから、2人でどうやってわからないようにこっそりセリフを短く省略するか……みたいなことを話し合っています(笑)

篠原覚えるのが大変だから、そっちに逃げちゃおうかな、みたいな。

バカリズムそうしたら、一箇所だけ篠原さんがごっそりセリフ飛ばしたんですよ。「行くなぁ」と思ったら、そこは普通に忘れていただけだったり(笑)

篠原噛み噛みになってしまったときも、「敢えて言わないで、OK出るまで待っていよう」と思っていたら、スタッフさんたちの会議が始まっちゃって……。

バカリズムバレちゃった(笑)。

今回の役に共感する部分があれば教えてください。

バカリズム篠原さんはどうですか?

篠原出来ていたものが出来なくなる、というところがミコも森野にもある共通点だと思うんですけど、実際自分自身も、今回の役みたいなほどではないけど、ちょっとわかる気がします。

そういうのが経験として少しでもあると、今回の役も作りやすかったですか?

篠原キャラクター的には明るくて図々しいというか、あまり何も考えないで物事を発言してしまう役。そういう意味ではちょっとしたミコの精神的な部分を大事にしたいとは思っていたので、役に立っているのかもしれないです。

バカリズムイップスという言葉はスポーツの世界でよく聞くんですけど、僕が高校時代野球をやっていたときに、僕だけでなく、チームメイトも割とよくなってしまうものではあったんです。そのときはまだイップスだとは自覚していなかったんですが、スポーツの世界でよくある現象として捉えていて。そこから割と大人になって「あれってイップスって言うんだ!」と。自分自身経験していることではあるので、割と共感できると思います。イップスになっているときって、「これがイップスだ!」って自覚してないことが多いというか、特定のことをやろうとするときにもの凄く急に慎重になってしまうというか、簡単に出来ていたことが今までみたいに簡単に出来なくなっちゃうみたいな。自分に置き換えて考えられているとは思います。

役柄の人間性とか性格に関してはいかがですか?

バカリズム森野は大分嫌な人間なんです(笑)。自分の性格よりも大分嫌な人間だなと思いながら、嫌な人間っぽくは演じています。イップスの部分はある程度共感できますが、森野の「何でそんなこと言うんだろう?」とか「何でそんな言い方するんだろう?」という部分は、それほど共感は出来ないです。

バカリズムさんは脚本家としても活躍されていますが、今回は俳優さんとしての出演です。ご自身の中で意識の違いみたいなものはありますか?

バカリズム自分が書いてないという強みがあるので、割と伸び伸びやれるというか、新鮮な感じで演じることに徹することが出来ています。もちろん演じる側としての責任はあるのですが、僕が脚本を書くと最近は「脚本バカリズム」って大々的に言われるんです。「全部お前の責任だ!」と言われているようでプレッシャーだったりするのですが、今回は責任の種類が違うので、ある意味気楽にやらせてもらっています。

他人が書いた本を見て、新たな気づきみたいなのがありますか?

バカリズムオークラさんは僕が10代の頃から知っている方ですし、昔からよく一緒に作品もやったりしてきたから「なんかオークラ節だな」と思ったりして。オークラさんの作風って、具体的にどこと言われると難しいのですが、本当オークラさんっぽい本で、それをフジテレビのこんないい時間帯でやらせてもらえるのは、すごく感慨深いですよね。

篠原さんから見て、役者としてのバカリズムさんの魅力は?

篠原バカリズムさんの作品を見たいなと思って検索したんです。で、ほとんど見てしまい、「もっと見たい!」って思っていたんです。そういう時に、今回このお話が来たので、「検索して画面の中で見ていたものを、生で、目の前で味わえるって、こんなに貴重なことない」と思いました。だからもう、毎日見逃せないんですよ。本当に幸せなことだなと思いますし、興味津々な方と共演できるっていうのは、作品も面白くなるだろうし、自分自身も刺激をいただいて頑張りたいなという気持ちになります。私の方からも、現場にスパイスを与えられたらいいなって思っています。

篠原さんはミステリーの小説家という役どころは初めてだと伺いました。役作りとして何か調べたり興味を持ったりしたことはありましたか?

篠原ミステリー小説家・作家の人ってどういう洋服を着ていたり、どういう発言をしたりするのかな、と思っていろいろと調べました。それをどういうニュアンスでやろうかなといろいろ考えたんですけど、それをいったん全部消しちゃいました。

バカリズム消しちゃったんですか?

篠原どっちつかずでグレーな感じで見せるのも新しいとは思いました。やってみたい方向性でもあったりしたのですが、でもそれって凄く中途半端なんじゃないかなって……。いろいろな方々の意見も聞いた上で結果的に全部なくしました。

なくした結果、どうなったのでしょうか?

篠原それは自分の中ではまだ分かってないんです。「これで大丈夫ですか?」って思いながら、今、生きてます(笑)。

バカリズムでも調べたことは無駄にはならないですもんね。いろいろ見た時点で吸収はしていると思うんで。

篠原吸収したものはどっかにあるんですけど出てきてないです、何にも(笑)。

バカリズムフォローすると、でもそんなこと言いながらもちゃんと黒羽ミコという人物はすでにちゃんと出来上がってますから。

今回は完全なオリジナルストーリーということで、最初に台本を読まれたときの感想と、それを受けて、視聴者の皆さんに是非見てほしいなと思ったところを、お願いします。

バカリズム僕は最初読んだときに珍しいパターンだなって思ったんです。ミステリーって見せ方が何パターンかあるじゃないですか。最初に犯人がわかっている状態で進んでいくものと、登場人物が推理していくのを追って見ていたら最終的に犯人がわかるもの。なんとなく自分の中にあるパターンのうち、「今回はこのパターンなんだ!」と、ちょっとした驚きがありました。「このパターンのときって、普通はこっち目線で追っていくよね」みたいなのが、今まで見たことのないパターンだった。特に第1話はそうでした。今まで自分が見てきたミステリー作品とは少し違うというか、似ているようで似ていないパターンだったので、新鮮でしたね。ただ、見どころはやっぱりミステリーでありながら、コメディーってついていますから2人の掛け合いがとにかく多いんですよ。セリフも多い。1話はずっとミコと森野が揉めてますから。

篠原見ている方はすごく楽しんでいただけると思います(笑)。

バカリズム2人ブーブー言いながらやっているんですけど、でもそこはこのドラマの見どころのひとつではあると思います。

篠原台本を拝見した時、ミステリーとしての謎が解けていく過程が面白いなと思いました。自分たちが想像していないようなところをちゃんと描いてくれるので、見ている方々も「こういうふうに謎が解けていくの?」と楽しんでいただけると思います。あと、事件の裏側も、犯人の人たちの心のドアを開いてそこの部分をちゃんと描いている。そういう美しい部分もあるので、嫌な思いで終わらない感じがしました。その一方で、ミステリーコメディーなので凄くヘンテコリンな面白い言葉もいっぱいある。そういうところも凄く好きだな、と思いました。