インタビュー

葵みどり役・石原さとみさん

『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』への出演を知られた時のお気持ちは?
最初に企画を見た時に、すごく嬉しくなりました。役としてもですが、関わったことのないジャンルの職業と言うか…。薬剤師さんにはお世話になっているはずなのに、具体的にどういうお仕事をなさっているのかが全然わかっていなかったんです。そこで、原作のマンガを読ませていただいたのですが、本当に面白くて。これを演じてみたいと思いました。出来て当たり前と思われてしまうお仕事で、なかなか気持ちの籠もった“ありがとう”を言われることがないのではないかと思いました。そんな薬剤師さんたちの普段は知ることが出来ない裏のお仕事の部分を描くドラマを見て、知っていただくことで、みなさんの“ありがとう”が今までより心が籠もったものになるのではないかと思います。そういう作品に出来たら良いなと希望が湧きました
みどりはどのように感じましたか?
原作のみどりは私より若いので、そのままの設定で作るなら私ではない方が良いと思いますと企画段階ではお伝えさせていただいていました。でも、私自身が薬剤師さんというお仕事のドラマを演じたいという気持ちが前のめりになっていたので、私がみどりを演じるならば、年齢設定を上げていただきたいとお願いしました。原作の葵の要素、薬の味や匂いへのオタクぶりや新薬も常に勉強している姿勢というか…みどりの夢中な感じは私に似ている部分もあると思いました。物事を深く知りたいという知識欲は私にもあるので、好きなキャラクターなんです。
原作を読まれて、病院薬剤師について知られたことは?
たくさんあります。まず、薬剤師さんに夜勤がある事は知りませんでした。また、私は長い入院をしたことがないので、患者さんが薬をきちんと服用しているかどうかを調べていることなどですね。3日間の入院をした時に、薬剤師さんや看護師さんが薬の服用などをメモとして残して下さっていて。それは、すごくありがたかったです。それでも深く関わったわけではなかったので、お医者さんたちと一緒に患者さんが自分らしくいられるようになるまでのケアを薬剤師さんもしているんだということにハッとさせられました。もしも入院することがあったら、お世話になるんだなと思いましたし、入院した時だけではなく、通院でお薬をいただく時も、いろいろ聞いても良いんだと思いました。
みどりたち薬剤師のユニフォームのデザインもされたそうですね?
打ち合わせの前までは、スクラブではなく白衣だと思っていたんです。リアルだと医師と間違えられないように薬剤師さんはすぐにシワが寄ってしまうような白衣を着用していると伺って。前を開けているのは医師なので前は閉めたりするなど、医師に間違えられないように努力しているそうなんです。そうしたら、制作チームのみなさんとスクラブにしようということになったんです。スクラブは手術衣や介護士さんもいらっしゃるので、そういう方たちとも間違えられないようなデザインにすることになりました。そこで、生地選びから参加させていただきました。張りがあって機能的な生地で、優しいけど甘すぎない色にして、ステッチや切り返しの線、ポケットの位置や大きさなどもスタッフさんやスクラブを制作されている会社の方々と一緒に決めさせていただけて、楽しかったです。
すでに、薬剤師のみなさんから大きな期待を寄せられていますが…。
たくさんの反響をいただけて嬉しいです。私の薬剤師の友人からもお医者さんや他の薬剤師のみなさんから期待されていると聞いています。それが、ものすごいので!この原作を絶対にドラマ化して欲しいと願っていた方々が多いんですよね。だからこそ“夢物語”のドラマにしてはいけないと思いました。現実をちゃんと伝えて行きたいし、問題定義も出来る作品にもしたいです。答えが出ないとしても、みなさんにも考えていただけるように作品が進んで行ってほしいと思っています。その中に働くことの喜びなども、描けていけたら良いですね。また、主治医のように、みなさんがかかりつけの薬剤師さんを見つけることが広まっていったら良いなとも思っています。実は先日、少し腰を痛めたんですけど、薬剤師の友人に連絡したら的確なアドバイスをしてくれました。かかりつけ薬剤師さんって、こういうことかな?と実感しました。ドラマチックではあったとしても、希望があふれるような作品にしたいです。
薬などの専門用語を覚えるのは難しそうですが。
1話の冒頭のセリフが決定稿を読んだら変わっていて(笑)。2つの薬品名があって、これは噛むなと思ってすごく練習していたんです。そうしたら、違う薬品名だったので“ウッ!”となりましたが、言いやすい薬品名に変わっていたので助かりました。耳馴染みが良い薬は商品名になっていたりするので、原材料名で言わなくてはいけなかったりします。ドラッグストアで売っていたり、CMで流れていたりする薬品名を言えたら良いな…とは、思います。また、薬自体がどういう効能があるのかを私自身が理解していないといけません。そこは、効能と投与量などもちゃんと教えていただきながら進めています。私、この作品が終わるまでに薬に詳しくなりそうです(笑)。
収録に入る前に何か準備されましたか?
薬剤師の友人たちと食事に行ったりして、今思っている事や仕事の現実を教えてもらっています。あと、とにかく葵は早歩きをするので準備運動をしておきました。薬剤師さんは、仕事中は立ちっぱなしになると監督から伺っていました。ですから、立ちっぱなしでも疲れない、動きやすいスニーカーも探しました。あとは、調剤の手際ですね。
今回の作品で楽しみになさっている事は?
薬剤師さんは夜勤もしますし、忙しくてご飯を食べる時間がないので、みなさんカップ麺などで済ませてしまうそうなんです。きちんとした食事が取れないので、イライラしてしまったり眠くなってしまったり、集中できなくなったりすると伺いました。ですので、ドラマの中での食事は良いものにしようということになったんです。良い物と言っても、ドラマで描く忙しさも変わらないので、手軽で実際の薬剤師さんも真似出来るようなものにしたいとアイデアを出し合っています。私はキンパが良いと思ったんですけど、少し匂うかな?(笑)。ドラマで食べているものを真似していただいても健康に良いものになったら良いなと思います。
みどりを薬剤師として突き動かしているものは何だと思いますか?
あきらめない事だと思います。なぜ薬剤師になったのか、などのバックボーンは、ドラマの中で描かれていくので見ていただきたいです。薬が患者さんの口に入る時、その人にとって一番良い飲み方や、その後の薬のケアまでに情熱を捧げます。実際の薬剤師さんも、患者さんが薬を飲んでいるかいないかを一目で見抜くらしいです。そういう事の大切さ、きちんと患者さんを診ていくことを重要視するのは、みどりの特技かもしれません。常に患者さんの今後を考えている様子を出していけたら良いです。

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