今や日本中の人が知っていると言っても過言ではない国民的歌手。
だが、そのブレイクのきっかけとなった大ヒット曲にアンビリバボーなな秘密があったことはあまり知られていない。
そのアーティストは5歳でピアノを始めると、すぐに才能が開花、神童と呼ばれていた。
神童の神童たる証、それは中学生の時、寝ている間に夢の中で作曲し、目が覚めても曲を忘れずに記憶していたのだ!
少女時代に作った曲はなんと、1000曲にも及ぶという。
そんな彼女、当初はクラシックの作曲家を志していたが、音大卒業後に留学していたアメリカでポップスに出会った。
そして友人の勧めで自ら歌も歌い、そのデモテープをレコード会社に送ると…レコード会社から声がかかり、歌手として契約、デビューを飾った。
ファーストシングルはオリコン42位と、新人にしてはまずまずの成績。
もっと上を目指そう!もっといけるはず!
関係者一同一丸となっていた。
そんなときある企業から彼女にCM曲制作の依頼が!
このまたとないチャンスを逃すわけにはいかないと、歌詞にその企業の主力商品をアピールするワードをふんだんに入れ込んだ渾身の楽曲を完成させた。
そしてスタッフは曲をその企業に聞かせた。
すると…かなりの好感触。
だが、なぜかその後、他に候補曲はないのかと聞かれてしまった。 確かにこの日、彼らは2つの候補曲を持参していた。 だがその企業のために歌詞を書いていたのは1曲目だけで、2曲目は単にアーティスト本人やレコード会社が楽曲として気に入っていたので持ってきたものだった。
万全を期した1曲目で決定が出なかったということは、そもそも採用してもらうこと自体が見送られてしまうかもしれない…そんな最悪の展開がスタッフの頭をよぎる。
そんな中下された決断は…選ばれた曲は、2曲目!
なんとその企業は「じゃない方」をCM曲に選んだのだ。
そしてその曲を使ったCMが流されることになった!
すると…そのCMが話題沸騰!
曲は170万枚を超える大ヒット!
オリコン年間チャート第2位を記録!
その曲こそ、その企業が選んだのは「ロマンスの神様」!
アーティストはもちろん広瀬香美さん!
そして、その曲を使用したCMは、ウィンタースポーツ用品の開発販売を手がける企業の冬商戦に向けたCM。
このCM以降、その企業は毎年冬になると広瀬さんにCM曲を依頼。
すると…その後も次々に新たな冬の曲がヒットし、気づけば、彼女は『ウィンターソングの女王』と呼ばれるようになっていたのである!
ちなみに、元々の本命曲『How to Love』はその後アルバムに収録され、今やファンの間でも人気の一曲となっている。
その歌詞は、確かにウィンタースポーツ用品のCMにぴったりなものだった。
一方『ロマンスの神様』の歌詞には、スキーはおろか、そもそも「冬」を連想させる言葉すら、一つも入っていないのだ。
企業の広報部になぜあの時「ロマンスの神様」を選んだのか聞いてみると… 「特に理由はありませんが強いて言えば、直感でした」とのこと。 しかし、もしもその直感がなければ、この歌がCMで流れることもなく、広瀬香美さんがウィンターソングの女王と呼ばれるようになることもなかったのかもしれない。