6月18日 オンエア
夢のようなサプライズ
 
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今から19年前の冬、4人の大学生がニュージーランド南部、オタゴ地方の山道をドライブしていた。
道に迷っているうちにガソリンがなくなり、立ち往生。

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翌朝、結局、車を押して山を下ることに。 彼らは車に「ランディー」と名付け、大切にしていた。 車を置いて、山から降りることは考えられなかったのだ。
なぜ、彼らは愛称をつけて呼ぶほど、一台の車を大切に思っているのか?

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4人はみな親元を離れ名門、オタゴ大学に進学した大学生。 費用が安く済む学生寮で生活し、アルバイトをしながら大学に通っていた。
彼らは冒険に憧れていた。 大自然に恵まれ、アウトドアが盛んなニュージーランド、冒険するには車は欠かせない存在だった。

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そして、大学での1年目も終わりに近づいた頃、ジェレミーが見つけたのが、ランドローバー車のオフロードカー。 既に製造から43年が経った中古車だったが、彼らにも手の届く値段だった。
ボディーにヘコミはあったが、かえって愛着がわいたという。 ランドローバーだから『ランディー』と、誰からともなくそう呼ぶようになった。

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なけなしの金を叩いて共同で買ったランディーに乗り、彼らは週末の度、各地へ出かけた。 故障すれば、自分たちで直す。 旅先で買ったお気に入りのステッカーも徐々に増えていった。

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そんな愛着がある車だからこそ、卒業後、離れ離れになっても、手放したくはなかった。 とはいえ、働きながら奨学金を返さなければならない彼らに、ランディーを維持していく費用の捻出は難しい。 そこで、ウィルの叔父さんが営む農場に、しばらく置かせて貰うことになった。

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しかし、ウィルが結婚し、オークランドの街で、狭いながらもガレージ付きの借家に住み始めたことで、ある可能性が浮上する。 卒業から9年、ランディをガレージに運んで修理することにしたのだ。

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しかし…修理は難航した。 製造から55年以上が経っていることもあり、車の命、エンジンを直すのに高額な部品が必要だった。 それだけではない、整備に要する部品のほとんどが製造中止になっており、手に入れることは困難だった。 金銭的にだけでなく、技術的にも、再び乗れる状態にまで彼らが修理することは絶望的だった。

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そして、卒業から11年が経った7月、ランディを手放すことを決意した。 お金が用意できるまでガレージに置くという選択肢もあった。 しかし修理すればまだ走るランディーを彼らはそのままにしてはおけなかった。 そこで…オークションサイトに出品。

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数週間後、ランディーを落札した新たなオーナーが車を引き取りに現れた。 保険会社に勤めるという男性、マキーだった。 そして4人の男たちは、現実を受け入れた。

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実は、ウィルの妻クレアも同じ大学の同級生、夫の想いを誰よりも分かっていた。 それだけに、夫の心にぽっかり開いた穴を、どう埋めてあげればいいのか、彼女も悩んでいた。
一方マキーは、ランディーを、修理工場へ運び、クリスマス休暇が始まるまでに車を直して欲しいと依頼した。

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無茶な依頼だったが、自動車整備士のトニーは、依頼を引き受けた。
車に貼られたステッカーから、前の持ち主の愛着が伝わってきたからだった。 それだけ愛された車を、もう一度蘇らせたい…職人魂に火が付いた。 だが、製造中止になって久しい車種の部品は入手困難で、新たに作らなければいけないパーツは、予想以上に多く、クリスマスまでにはどうやっても無理だった。

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一方、年が明けた1月…クレアは、久しぶりにみんなで集まってバーベキューでもしようとウィルに提案した。
自分を元気づけようとしてくれているに違いない…ウィルは、妻の心遣いが嬉しかった。
そして…バレンタインデーを5日後に控えたこの日、学生時代の仲間が久し振りに揃った。 みんなでテレビを見ていた時、画面がCMに切り替わった。 そこで、彼らは信じられないもを目にした!

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画面に流れたのは、ランドローバー社のCMだった。 しかも、ランディーと同じ車種。
だが、それだけではない、なんと貼られているステッカーや、ボディーの凹みまで、ランディーとまったく同じではないか! 走っているのも、学生時代にランディーに乗って旅をした、オタゴ地方の同じ場所、同じ道。

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そして、最後に映し出された字幕には…
「新しくなった。1957年製 ランドローバーシリーズ1」
「青年たちよ ハッピー・バレンタインズ・デイ」
「鍵はクレアが持ってるよ」

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すぐにガレージへ行くと…ランディーが置いてある!
しかも、完璧に修理された状態で。

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バレンタインデーのサプライズプレゼント…このアイディアを考えた人物こそが、オークションサイトでランディーを落札し、引き取りに来た男性、マキーだった。 彼は、実はメーカーの社員だったのだ。
サイトに書かれた、『我々の体の一部をお譲りする事になりました』という文章に心を打たれ、“次に使うべき”は、彼らの他にいないと思った。

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そしてランドローバー社御用達の整備士に修理を依頼。 クリスマスまでは無理だったが、バレンタインデーに必死に間に合わせた!
もう一人の仕掛け人が、妻のクレア。 車を引き渡してから程なく、マキーから連絡を受けたのだ。

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再び、ランディーのオーナーとなったウィルさん達。
ついに試乗、さてその感触は…
「エンジン音も最高!僕らがガレージで、必死に直そうと思っていた、その理想の形で、戻って来たんです。夢のようで、感謝でいっぱいです。」

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喜んだのは、彼らだけではなかった。
「素晴らしい車と、友情に出会えた。偶然のめぐり逢いに感謝したいです。」

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そしてウィルさんたちが書いた
『愛しのランディーへ/あなたのことは一生忘れません』
その一文は、関わった人たちみんなの心に、永遠に刻まれることとなった。