9月12日 オンエア
あと2日で安楽死 殺処分寸前の犬たちを救え!
 
photo photo

今から2年前、アメリカ南西部にある、アリゾナ州の動物保護団体のスタッフがSNSで衝撃の事実を知った。
アリゾナ州からはるか東へおよそ2400km、アラバマ州の動物シェルターで、23匹の犬が2日後に安楽死処分されるという。

photo

どこの州でも、シェルターに収容されて、6ヶ月が過ぎた犬は古い犬から殺処分されることになっている。 だからこそ、1匹でも処分される犬を減らしたいと、彼女たちは普段から、その6ヶ月間の間に里親を探す活動をボランティアで行っていた。 しかし、その23匹の犬はシェルターに連れてこられて、まだ一週間しか経っていなかったのだ。

photo

これには理由があった。 遡ること2ヶ月、アラバマ州で過去最高の降水量を記録する、ハリケーンが猛威をふるった。 これにより、被災したブリーダーやペットを飼う住民も、自分たちの避難に精一杯、多くの動物が保護された。 結果、どこのシェルターも、収容できる許容範囲を超えてしまったのだ! 状況は2ヶ月経っても変わらないどころか、その後も、飼えなくなったと捨てられる動物は後を絶たなかった。

photo

本来シェルターは、満杯の場合は受け入れを断るのだが、災害という事情を考慮し、特例として1週間だけ保護。 引き取り手がいなければ、安楽死処分することに。 シェルター側にも、やむを得ない事情があったのだ。

photo photo

さらにスタッフが、心を痛めたのが…犬たちの中に2匹のメスと、その2匹が産んだ10匹の子犬がいたことだった。 子犬は、免疫力が弱く、世話が難しい。 そのため法律で、生後8週間経つまで親元に置くか、もしくは獣医など特別な資格を持つ人間が育ててからでないと里親に渡せないと決まっていた。

photo

ところが…子犬は全部、生後4週間未満だった。 生後4週間ということは、仮にこの1週間で子犬を求める里親が現れたとしても、引き渡す事はできない。
そう、この子犬たちは、ほぼ確実に殺処分される運命にあったのだ!

photo photo

この事実を知った、アラバマ州のボランティアは、「何とか助けてほしい」と、SNSに書き込んだ。 子犬たちが殺処分される…その情報がアリゾナ州の動物保護団体に伝わったのは、期限のわずか2日前だった。 アリゾナ州の動物保護団体のスタッフは、子犬を育てる資格を持っている。 そのため、子犬たちを連れてくることさえできれば、助けられる。

photo

アリゾナの事務所から現地まで、直線距離で約2400km。 またハリケーンの被害を受けた道路の復旧が、遅れている場所も多く、今すぐ出発しても2日では到底たどり着けない。 それでも誰1人、諦めなかった。 アラバマ州やその周辺地域の動物保護団体などに協力を求めた。 しかし、どの施設も大型ハリケーンの影響で手一杯。 子犬を育てる資格を持つ者も手が空いている状況になく、受け入れの余裕など全くなかった。

photo photo photo

そんな時…スタッフが相談したのが、10年来の友人だった、アリゾナに住む ダン・ウィークス。 経営コンサルタントとして働きながら、アメリカ各地を講演して回る彼は、幅広い人脈を持ち、かつ、犬を四匹飼っている無類の犬好きでもあった。 ダンは知りうる限りの獣医や保護団体に連絡をした。 しかし…ダンの人脈をもってしても、引き取り手探しは難航を極めた。

photo photo

そこで、ダンはあることを思いつく。 実は、つい最近、セスナの免許を取ったばかりだった。 セスナであれば、一度にまとめて移動させることができ、しかも片道8時間、余裕で間に合う。 しかし、セスナのレンタルと、往復の燃料代を合わせると費用は最低でも60万円。 講演などで、多忙なダンだが、決してお金持ちではない。 親と同居して暮らす、26歳の若者だ。 しかし…ダンは決断した。 借金をしてセスナをレンタルしアラバマまで向かい、23匹の犬を運ぼうと。

photo photo

こうして23匹の犬すべてをダンがセスナで輸送し、アリゾナの動物保護団体で預かる手はずが整った。 さらに…善意の輪は広がっていく。 ダンの計画を聞きつけたマスコミが、このニュースを全米に報道。 すると現地アラバマ州で6匹の成犬の引き取り手が見つかった。 あとは、ダンが残った17匹の犬を運べば、任務完了だ。

photo photo

これはその時の実際の映像。
ダンは免許を取ったばかり。 セスナで2400キロを往復するとなると、1人では心もとないとプロのパイロットに協力を依頼した。 途中、給油を行い…8時間後アラバマへ到着。

photo

現地では、殺処分を免れ、シェルターから運び出されたワンちゃん達がボランティアの手に抱かれていた。 ダンも自ら、犬たちをセスナのケージの中へ。 子犬たちにストレスがかからないように、優しく移し替える。

photo photo

そして再びアリゾナへ出発。
8時間後…17匹の犬たちを乗せたダンのセスナが空港に到着。 こうして、トラブルもなく全ての犬たちが下ろされた。 長旅にもかかわらず、犬たちは元気そうだ。 そして…必死に、力強く、お母さんのお乳を吸う子犬たち。 その後、子犬たちは生後8週間になるまで、動物保護団体で親犬とともに育てられ、最終的に17匹全ての犬の引き取り手が見つかった。

photo photo

あれから2年、犬たちは今、どうしているのか?
この日、保護団体の事務所には、救出された多くの犬たちがいた。 実は、あれ以来、里親たちはこうして定期的に集まっているのだという。 そこには、ダンの姿もあった。 2年前、彼が助けたワンちゃんたちは、今も皆、元気に暮らしている。

photo photo photo

17匹の命を救ったダン、あの出来事がきっかけで、彼にもある変化が起きたという。 ダンの自宅を訪ねてみると…さすがは犬好き、ワンちゃんたちがお出迎え。
今も、たくさんの犬と一緒に生活しているダン。 すると、その中に…あの日、救出した犬もいた。 それがこのアテナ。 ギリシャ神話の、強い女神にあやかり名付けたという。

photo photo

実は2年前の、セスナでのレスキュー。 結局、燃料費などで当初の見積もりを上回り、100万円程かかったという。 しかし、集まった寄付金は30万円程、あとはダンの持ち出しだった。 それでも、彼は経営コンサルタントとしての仕事の傍ら、あれから何度もセスナを飛ばし、病気や怪我などで緊急を要する動物たちを搬送、その命を救っている。

photo photo photo

しかも未だに、費用の大部分をダン自身が負担しているという。 一体何故か?
「僕が負担することで、少しでも話題になってメディアに取り上げられれば、里親を希望する人が増えるかも知れない。命を救うためなら多少の負担は仕方ありません。」

photo photo photo

現在、ダンは動物を輸送する様子を撮影、世界中の人々が視聴出来るようにインターネットで配信もしている。 ダンの活動を知り、空港がセスナの燃料代を安くしてくれたり…また動物を引き取る際に泊まりになると、ホテルが宿泊代を安くしてくれたりと、支援の輪は確実に広がっている。 緊急搬送の依頼があれば、たとえ2匹の犬だとしても、ダンはアメリカ中、どこへでも向かう。 引き取り手のない動物がこんなにもいる、そのことを知ってもらうために。