8月30日 オンエア
海の恐怖!沖に流された家族を救え
 
 
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 アメリカ・フロリダ州にあるパナマシティビーチ。 週末になると、海水浴を楽しむ観光客が多く訪れる人気スポットである。 昨年7月、パナマシティビーチの近くに住むジェシカさんは、夫と夕方のビーチを訪れていた。 その日は波も高く、時刻は午後5時を過ぎていたが、週末ということもあり、多くの人がビーチに残っていた。
 その時!海水浴客たちが騒ぎ出した。 沖合に数人が取り残されているのを発見したのだ。
 
 
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 時間は、20分前に遡る。 1ヶ月前にパナマシティに引っ越して来たばかりのロバータさんは、家族で海水浴を楽しんでいた。 ところが…子供達が波にさらわれて流されてしまった。 夫のアルバートがライフガードを探して当たりを見回したが…どこにもライフガードの姿がなかった。 普段からビーチには、海水浴客の安全を守るライフガードが常駐しているのだが、5時を過ぎ、すでに帰宅した後だった。
 岸からは約50m、ロバータさん夫妻は、自ら助けに向かった。 荒波の中、何とか子供達の所まで辿り着いたのだが…いくら泳いでも一向に岸には近づかない。 それどころか、どんどん沖に流されていく!
 
 
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 その頃、海水浴客の通報を受けた警察官が駆けつけた。 新人警官が急いで助けに向かおうとするのを、先輩警官が引き留めた。 今行けば離岸流に巻き込まれ、戻れなくなるというのだ。
 離岸流とは、海岸に押し寄せた海水が沖へ戻ろうとする強い潮の流れのこと。 海岸の地形やその日の波の高さなど複合的な要因によって発生する。 大きいものは、幅30m、流れの長さは200mにも及ぶという。
 
 
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 実は、パナマシティビーチでは、離岸流により毎年多くの水難事故が起きていた。 だが、ロバータさん夫婦は1ヶ月前に引っ越して来たばかり。 離岸流のことを知らなかったため、助けようと海に飛び込んでしまったのだ。
 離岸流で最も怖いのは、その流れの速さ。 最大で秒速2mにもなるという。 秒速2mの流れを再現した実験では…競泳選手に力一杯泳いでもらったが…流されてしまった。 秒速2mの速さに逆らうには、100mを50秒で泳がなければならない。 100m自由形の世界記録は、約47秒。いかに速いかがわかる。
 
 
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 すぐさま 警察は、沿岸警備隊に救助を要請。 だが…夏のピークシーズンで救助要請が重なり、到着までに30分以上かかるという返答だった。
 4人はどんどん沖合へ…その地点の水深は約5m。 すでに足は着かず、岸に戻ろうと必死に泳ぎ続けていた4人の体力は、限界に近づいていた。
 ジェシカさんは助けに行こうとしたが、夫に止められた。 子供の頃から水泳が得意だったジェシカさんだったが、水難救助の経験は一度もなかった。 こんな時、あなたならどうしますか?
 
 
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 離岸流に流された一家を助けるためにジェシカさんがとった行動。
その実際の映像が残されている。
 砂浜から沖に向かって大勢の人が手を繋いでいる。 実は、ジェシカさんが周りの人々に呼びかけ、人間の鎖を作り、それをロープ代わりにして、ロバータさん一家を引き上げようとしたのだ!
 ジェシカさんは当時のことをこう話してくれた。
「助けなきゃって! あの時はもう必死でした。最初は数人程度の鎖だったんですが、ビーチにいた人たちが次々に救助に加わってくれたんです。」
ロバータさん一家を助けようと立ち上がった人は、約80人! 人間の鎖の長さは、70m近くになった。
 
 
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 順調に距離を伸ばしていた人間の鎖。 だが…あと一歩という所で、鎖の人数が足りなくなってしまったのだ。 その距離、わずか6m! すると、彼女は危険も顧みず、1人救助に向かったのだ!
 ジェシカさんは子供達を連れ、泳いで人間の鎖に戻った。 岸から約70mの地点では、離岸流の流れが弱まっていたため、戻ることができたのだ。 その後、同じ方法でロバータさん夫妻も救出。
 
 
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 しかし、なぜジェシカさんは人間の鎖というアイディアを思いついたのか? ジェシカさんはこう話してくれた。
「実は、アリがヒントになったんです。少し前にインターネットでアリが互いの体を掴みあって、水面を渡る映像を見て、私たちも手を繋いだら溺れている人たちの所まで辿りつけるんじゃないかと思ったんです。」
 そのアリというのが、日本でも話題になったヒアリ。 自分たちの巣が、スコールなどで水没した際に、互いの体を掴んで橋やいかだを作り、仲間を陸地まで避難させる習性がある。
 
 
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 まさにアリのごとく、大勢の人間が団結して起こした奇跡の救出劇。 そんなジェシカさんがこの日、自宅に迎えたのは…あの時助けたロバータさん一家だ。 実は2人は、家が近くだったこともあり、事故の後も家族ぐるみで交流を持っているという。
 ロバータさん夫妻はこう話してくれた。
ロバータさん「ジェシカとデレクの2人には本当に感謝しています。私たち家族の命の恩人です。」
アルバートさん「彼女たちがいなかったら、私たちは、ここにはいられなかったでしょう。」
 最後にジェシカさんがこう話してくれた。
「私1人ではどうしようも出来なかったと思います。ビーチにいた多くの人たちが、人間の鎖に協力してくれたおかげで起こせた奇跡だと思います。」